坂本農水相(写真・共同通信)

 コメ不足が深刻をきわめていた9月3日の閣議後の会見で、記者から「いつからスーパーにコメが並ぶのか」と質問された坂本哲志農林水産相は、「昨日、スーパーに行ってみて、店員さんの話では、『水曜日には入る予定』ということを言っておられました。早晩この米不足状態は解消すると思っています」と呑気にも店員情報を発表し、国民の怒りの火に油を注いでしまった。

「この会見内容がSNSで拡散されると、たちまち坂本大臣に批判が殺到。小沢一郎衆院議員も6日、事務所のXに《物価高が家計を苦しめる中、米すら買えない状況になっても他人事の大臣。利権ばかり見て国民生活を顧みない政治は許されない》とポストしていました」(社会部記者)

 これに危機感をもったのか、農水省は“鎮火”に奔走しているようだ。そのひとつが、農林水産省の公式YouTubeが公開したおよそ1分の動画だ。

「もともと農水省は若手の職員がYouTubeを使って積極的に農水産品をアピールしてきましたから、その流れでコメ不足解消のために制作したのでしょう。

『BUZZ MAFF』というYouTubeアカウントで動画が公開されていますが、そのなかの『新米リポート』というシリーズが話題になっています。日本各地の新米の状況を報告する内容です。

 ある動画では、農水省の女性職員が新潟の稲作農家を訪ね、稲刈りが終わったばかりの田んぼに立ち、『新米の季節がやってきた!』と元気いっぱいに腕を振り上げ、『すごい、たわわに実っていますね〜。もうすぐ消費者の方にもどんどん届くと思います』と、わざとらしいくらいに宣伝しています。

 農家の男性も『今年はとても作柄がよくてね』『これから消費者の方にも届くと思うので安心していただきたいな』と嬉しそうに語り、ほかにも『絶賛出荷中!』と新米の出荷が順調であることを伝える動画もあります。これらは9月に入って急ぎ、収録されたと言われていますが……。

 今、消費者が欲しているのは、いつ米が店頭に並ぶのかなど、具体的なスケジュールでしょう。ネット上では、“米が届くアピール”に過ぎないと、むしろ国民の怒りを加速させてしまっているようです」(ジャーナリスト)

「国民に安心してもらいたい」という意図はわかるが、Xには、このピントずれまくりの動画について批判のポストが数多く寄せられている。

農林水産省がYouTubeチャンネルで「もうすぐ新米が届くと思います」と新潟の田んぼで女子職員が叫ぶ ただのアホだ …》

《この動画を見たヨメの怒りの捨てゼリフ「茶番」 グダグダ言ってるけど、まさにいまコメがないんだよ。この状況をなんとかしろよ》

《農水省は備蓄米の山をYoutubeで流せはいいのでは?》

《違う 違う そうじゃ そうじゃな〜い〜》

 国民が欲しているのは、スマホの中ではなく、店頭に並ぶ実物の米だ。