「様々な情報があふれている現代でも、ほとんど認知されていない食文化が地方にはある!」と、鼻息も荒く語る缶詰博士の黒川氏。

前置きなしに話しだすのはいつものことですが、取りあえず聞いてみましょう。何のことですか?

「北海道の釧路市では、酒を呑んだあとのシメにつぶ貝を食べる文化があるそうです。何とうらやましい!」

→これまでのお話はこちら

ホテイフーズコーポレーション / 焼つぶ 北海道産 55g 324円

まずは新商品を試食

先日、ホテイフーズのM氏に教えてもらった衝撃の事実。北海道釧路市では、酒を呑んだあとのシメとしてつぶ貝を食べるのが常識だという。

「私も知りませんでしたが、“シメつぶ貝”で町おこしもやっているそうです」とM氏。知らなかった!

どうしてそんな話になったかというと、ホテイフーズの新商品のひとつが「焼つぶ 北海道産」というものだったから。北海道産のつぶ貝(アヤボラ)を特製ダレで味付けし、炭火で焼きあげてあるという。釧路の話も気になるけど、まずは新商品を試食せねば。

焼つぶ 北海道産の内観(常温で開缶)

匂いを嗅いだだけでよだれ

イージーオープンのフタをぱかっと開けると、とたんに香ばしい匂いが拡散した。

これはあの、あれです。江ノ島とか九十九里とか、そういう海辺の町で漂っている浜焼きの匂いであります。焼いた貝の匂いに、しょう油が焦げた香ばしい匂い。嗅いだだけでよだれが出てくる、そういう匂いであります。

つぶ貝の様子

貝のうまみと焦がししょう油

つぶ貝はひとつひとつが大きくて嬉しい。M氏によると、原料のつぶ貝はサイズがまちまちで、揃えるのが大変なのだそうだ。

そのままいただくと、食感はプリプリ&モチモチ。貝類特有のうまみに焦がしたしょう油の風味が加わって、次第に狂おしいような気持ちになる。

そのまま食べ尽くしそうになるのをぐっとこらえて、一度冷静になる。釧路市民はこれをシメに食べるというから、シメにふさわしいアレンジをしてみたい。さて、どうするか?

キノコなどと合わせてグリルに

つぶ貝の名産地

かくのごとし。耐熱容器にエリンギとブロッコリー、缶汁を入れて魚焼きグリルで焼き、火が通ったところでつぶ貝をOn。バターを乗せてから20秒だけ焼いて缶成とした。つぶ貝を焼きすぎないための二段階加熱であります。

加熱によってつぶ貝はふっくらし、あらためて炭火焼きの香りが立った。貝のうまみが溶け込んだ缶汁は、一滴も残さずエリンギとブロッコリーが吸い込んでいる。バターも相性抜群であります。

さて、釧路市民はなぜ、つぶ貝をシメにするのか。ネットで調べたところ、市内に「つぶ焼き かど屋」という飲食店があり、昭和41年からつぶ貝焼きを提供している。

食べ物は他にラーメンしかなく、酒呑みたちは焼きたてのつぶ貝に舌つづみを打ちつつ、ラーメンをすすっているという。そこが“シメつぶ貝”の発祥となったそうな。

わかったような、よくわからない話だけど、釧路はつぶ貝の名産地でもある。豊富な資源がシメになっているわけで、うらやましい限りであります。

缶詰情報

ホテイフーズコーポレーション/焼つぶ 北海道産 55g 324円

全国のコンビニやネットショップなどで購入可

缶詰博士 かんづめはかせ 昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。初のエッセイ本「缶詰だよ人生は」(本の泉社刊)も絶賛発売中!公式ブログ「缶詰blog」とFacebookファンページも公開中。 この著者の記事一覧はこちら