韓国で「J-POP人気」が急上昇中 現地で「日本のアーティスト集結」公演には「前例ない」と驚きの声
若い世代を中心に
K-POPが日本の音楽市場で存在感を示す中、韓国では若い世代を中心にJ-POPアーティストの人気が急激に高まっている。昨年12月にYOASOBIがソウル公演を開催。チケットは1分で完売という凄まじさで、急きょ2日連続公演となった。
年明けの2024年1月にはAdo、3月には羊文学、Reol(れをる)、amazarashi、4月にはKing Gnu、5月にはEve、RADWIMPS、6月には新しい学校のリーダーズ、imase、YOASOBI、7月にはLiSA、8月にはミイナ・オカベと来韓公演が続いている。さらに、9月にはOmoinotake、11月には優里、12月にはOfficial髭男dismと続く。
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日韓のエンタメ事情に詳しい音楽ライターがこう話す。
「コンサート会場の大小はあるにせよ、日本アニメを見てJ-POPに興味を持つ韓国の若者が増えていることが背景にあります。King Gnuは『劇場版 呪術廻戦 0』、Reolは『るろうに剣心 −明治剣客浪漫譚−』、RADWIMPSは新海誠監督の映画『君の名は。』『天気の子』『すずめの戸締まり』、新鋭バンドのamazarashiは『僕のヒーローアカデミア』、LiSAは『鬼滅の刃』など各アーティストがアニメ主題歌と連動しています。Omoinotakeについては、二階堂ふみ主演、チェ・ジョンヒョプ共演のTBS系ドラマ『Eye Love You』が韓国でもNetflixで配信され、9週連続トップ10入りしたことで主題歌『幾億光年』の知名度が上がりました」
J-POPで最近、韓国で爆発的な反響を呼んだのが、NewJeansのメンバー・ハニが6月に東京ドーム公演で披露した松田聖子の大ヒット曲「青い珊瑚礁」だ。1980年に発表された日本の爽快なポップソングが、韓国のアイドルによって再発見され、韓国に飛び火。カラオケで歌われる日本の楽曲の1位を記録した。同曲については、4月から韓国で放送された歌番組「日韓歌王戦」の中で、日本チームが披露したことも人気を呼ぶきっかけだったという。
日本のアニメや70〜80年代のシティポップの人気が、韓国で予想以上に拡大している状況に驚く日本人は多いだろうが、さらに驚きのニュースが報じられた。
レトロでロマンチック
韓国・ソウル郊外のコンベンションセンター・KINTEX HALLで、11月に開催される3日連続ライブイベント「WONDERLIVET 2024」に、数多くのJ-POPアーティストがラインナップされたのだ。第1弾として発表されたのは、AKB48、新しい学校のリーダーズ、Creepy Nuts、Little Glee Monster、MAN WITH A MISSION、milet、Reol、Saucy Dog、Tani Yuuki、キタニタツヤ、UNISON SQUARE GARDEN、水曜日のカンパネラ、yamaら。
「会場となるKINTEX HALLでは、過去にSBSテレビの年末特番『歌謡大典』が開かれました。収容人数は3000〜4000ですが、最大6000人まで可能といいます。これほど多くの日本のアーティストが韓国に集結するライブイベントは、前例がありません。韓国におけるJ-POPの勢いを感じさせる歴史的な公演になるでしょう」(前出の音楽ライター)
ある日韓音楽関係者は「K-POPの勢いばかりが強調されていますが、韓国国内では飽和状態になりつつあり、一部ファン層からは飽きられている傾向が出てきました。そんな中、動画配信で日本のカルチャーやグルメを紹介する韓国系ユーチューバーが激増。コロナ後は、円安の日本に渡る若者が続出し、日本のカルチャーに興味を持ったことも背景にあります」と分析する。
また、J-POPに関心のある韓国人男性はこう話す。「K-POPは世界に進出するため英語タイトル曲ばかりなのですが、J-POPだと例えばYOASOBIなら『夜に駆ける』『群青』、King Gnuなら『三文小説』、Adoなら『うっせぇわ』など、レトロでロマンチック、そして文学的なフィーリングがあります。これがとても新鮮に聞こえるんです」。
日本人も気付かないような魅力がJ-POPにはあるようだ。韓国のグローバルファンダムプラットフォーム「b.stage」を展開するスタートアップ企業・bemyfriends Japanの金壮鎬(キム・ジャンホ)取締役本部長がこう語る。
「J-POPアーティストの来韓公演への期待はますます高まっています。ショート形式の動画やチャレンジ動画が、MZ世代だけではなく全世代から高い人気を集めているからです。imaseやあいみょんの場合、 ショート動画による曲のハイライト部分が人気のきっかけとなり、チャレンジ動画の再生回数や韓国国内チャートの上昇まで連動している状況です。ここ数年の日韓関係の改善も大きな要因と考えられますね」
J-POPアーティストにとっても、韓国での公演実績が世界に向けてのアピールになるという。Adoが歌うような“新時代”が日韓の音楽シーンで急激に広がり始めたのかもしれない。
デイリー新潮編集部