体操界で異例の順位変更! 女子ゆかでルーマニア17歳の繰り上げ→銅メダルをIOCが認定「わずか4秒が運命を変えた」【パリ五輪】

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五輪でまさかの降格となっていたバルボス。その採点が覆った。(C)Getty Images

 世界的な論争を巻き起こし、政界にも余波が及んでいた騒動が新展開を迎えた。

 現地時間8月11日、国際オリンピック連盟(IOC)は、パリ五輪の体操女子種目別ゆかでジョーダン・チャイルズ(米国)が獲得していた銅メダルをルーマニアのアナ・バルボスに授与すると発表した。

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 IOCも結果を覆す、まさに異例の展開だ。

 そもそも波乱めいた一大騒動だった。去る8月7日に行われた体操女子種目別ゆかでチャイルズの最終試技が終わり、3位が確定したバルボスが歓喜の雄叫びを上げた直後だった。米国側が採点の見直しを要求。これによって、13.666点だった得点が13.766点に変更され、チャイルズが5位から3位に浮上。13.700点を出していたバルボスは4位に転落したのだ。

 この判定結果にルーマニア側は憤怒。マルチェル・チョラク首相が自身のFacebookでルーマニアの女子選手たちが不名誉な扱いを受けた今回の 体操界の不祥事を受けて、私は パリオリンピックの閉会式に参加しないことに決めた」と“ボイコット”を公言。同国体操連盟もスポーツ仲裁裁判所(CAS)に訴える事態となっていた。

 そして10日にCASは訴えを認可。これを受けてIOCは「銅メダルをアナ・バルボス選手(ルーマニア)に再配分する」と公表。さらに「私たちは再奉納式と銅メダルの返還に関してアメリカのオリンピック・パラリンピック委員会と協議するため、ルーマニアと連絡を取っている」と次なる動きについても言及した。

 この展開に落胆から一転して歓喜するのは、ルーマニア・メディアだ。日刊紙『Gazeta Sporturilor』は「バルボスがメダルを取り戻すという体操界では前例のない異例の措置だ」と大々的に報道。CASが「米代表チームの抗議は『1分以内』という規定から4秒超えていた」と結論付けたことを伝え、「わずか4秒が運命を再び変えた。これは体操界において、本当に前例のない決定だ」」と興奮気味にリポートした。

 なお、今回の決定に対して米国体操連盟と米国オリンピック・パラリンピック委員会は「チャイルズの床運動の難易度に関する採点は誠意を持って行われたものだった」とし、再び訴える意向を示している。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]