旧二階派幹部が政治資金パーティーを開催 “会費2万円で70人弱”が参加した極秘パーティーの中身
「お疲れ様でございます。ご苦労様でした」
酷暑が続く8月2日の午前9時過ぎ、眼下に臨海副都心やレインボーブリッジを望む地上37階の高層ビルのペントハウスでは、自民党旧二階派幹部の「政治資金パーティー」が行われていた。パーティー終了後の午前10時過ぎ、“主役”は1階受付で、冒頭のように関係者に丁寧にあいさつをし、地下の駐車場に足早に消えていった。
主催者は山口壯自民党衆議院議員(つよし・69)。山口議員は’00年に初当選するや野田佳彦内閣で外務副大臣、岸田文雄内閣で環境大臣を務め、衆議院議員当選7回のベテラン議員だ。派閥の旧二階派では、’20年12月〜’21年10月まで10ヵ月の間、事務総長を務めた経験も持つ。
「会の名称は『山口つよしセミナー』となっていますが、会費は2万円で、内容としては政治資金パーティーと変わらないものでした。有名私大の教授も講師として参加。会場には、70人弱が足を運んでいたかと思います」(パーティーの参加者)
自民党派閥の一連の裏金問題で、二階派では二階俊博議員(85)の3526万円の不記載のほか、元会計責任者、二階議員の秘書が政治資金規正法違反で立件され、派閥解散に追い込まれた。山口議員の後を継いで事務総長を務めた武田良太議員(56)も1926万円の政治資金パーティー収入の不記載が発覚し、自民党から役職停止1年の処分を受けている。前任者の山口議員も刑事告発を受け特捜部の捜査対象になったが、不起訴。また、不記載も確認されなかった。山口議員本人も、自らのホームページで、
《事務総長を担っておりましたが、担っていた業務は派閥内の会合の調整や若手議員の指導育成であり、派閥の資金関係については全く関与していませんでした》(要旨抜粋)
と、疑惑を否定している。だが、一連の裏金問題を東京地検に刑事告発した神戸学院大学法学部教授の上脇博之氏は、その責任を追及する。
上脇博之氏が語る。
「事務総長というのは、言ってみれば派閥の金庫番に相当します。会計責任者を指導する立場にあたります。キックバックであれ裏金プールであれ、それを決める側なのです。ですが、おそらく事務方が庇って証言が得られなかったので起訴できなかったのでしょう。そこに付け込んで、つまり政治家個人は反省していないから、また政治資金パーティーをやっている。政治資金パーティーは、企業が買った分は誰もチェックできませんから事実上の企業献金、裏金の温床です」
当日の受付の看板には、『山口つよし事務所御席 37階』とあるだけで、主催者が政治家なのか誰なのか一見しただけではわからず、本誌以外に取材陣も見当たらなかった。まさに「ひっそりと行った」という表現がふさわしい。
「後ろめたいと思う気持ちがあるから、こういうやり方をしているのでしょう。確かに山口議員は不起訴になりましたが、裏金問題を徹底的に調べるためにも、検察審査会への申し立ても検討しています」(上脇氏)
6月に政治資金規正法改正案が成立し、裏金問題は一旦の区切りを迎えた。以降、自民党議員は続々と政治資金パーティーを再開している。しかし、本当に裏金はなくなったのだろうか。「喉元過ぎれば」で終わらせてはならない。政治資金パーティーを巡る裏金疑惑の、徹底した事実解明が求められている。