北朝鮮収容所で9千人死亡「国家への不満増大、懲罰強化で」
人権蹂躙の温床と指摘される北朝鮮の管理所(政治犯収容所)の収監者数が、昨年と比べ約9000人減った約19万人であると、デイリーNKの内部情報筋が伝えている。北朝鮮当局の社会統制強化により新規の入所者が増加したが、死亡者数の方がさらに多く、トータルで収監者数が減ったというのが情報筋の伝言だ。
収容施設事情に詳しいデイリーNKの北朝鮮内部情報筋によると、今年6月末現在で国家保衛省と社会安全省が集計した政治犯収容所の収監者数は約19万人だ。これは昨年の収監者数と比べ約4.6%減少した数値だ。
管理所別の収監者数は、▲14号(价川)3万9300人余り▲15号(耀徳)3万4000人余り▲16号(華城)2万1000人余り▲17号(价川)3万9600人余り▲18号(北倉)2万3800人余り▲25号(清津)3万2100人余りなどだ。
情報筋は「人員変動の主な原因は新型コロナウイルス感染症以後、政治的不満要素の増加にともなう入所者増加と、国家の強力な懲罰生産課題および統制による死亡者発生のため」と説明した。
昨年に比べて人員が減少したのは14・15・17・25号管理所で、ここで死亡者が多数発生したものと見られる。
反面、16・18号管理所は昨年に比べて収監者が増加したことが把握された。
情報筋は「18号管理所で収監人員が増加した原因は、国家に対する内部不満要素の増加と政治的意見表出者および政策反対者が急増したこと」とし、「今年初め、社会統制を強化し国家転覆につながる小さな要素も初期の段階で速やかに取り除くため、収容能力を拡大しろという指示があった」と説明した。
(参考記事:若い女性を「ニオイ拷問」で死なせる北朝鮮刑務所の実態)
また、16号政治犯収容所には今年、家族連れや子ども、高齢者が多く入ったとも説明した。
これと関連して彼は「以前は家族単位で送られる例が多かったが、今は親戚まで含め一族がぜんぶ送られてくる」とも伝えた。北朝鮮の「連座制」の対象が直系家族にとどまらず、親戚までをも含む広い範囲に適用されているということだ。 社会統制の水位を高め、政治犯に関する連座制度を強化している可能性がある。