「イライラしてキレる夫を、もう許さない」妻の決断と、夫が変わるまで<漫画>
夫婦関係がうまくいかない…と悩んでいませんか?でも「100%うまくいってる夫婦」なんて存在しない気もします。

「夫婦はそもそも他人。“問題があること”を前提に、どうリカバリーするかが重要だと思います」と言うのは、エッセイストの犬山紙子さんです。犬山さんが自身の体験、そして多くの夫婦を取材してわかった「リカバリーのヒント」とは?

(以下、文章は犬山さんの著書『すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある』を再構成したものです)

◆「キレやすい夫」と妻の壮絶エピソード

●水谷さるころさん×野田真外さんのケース

今回お話を伺ったのは、漫画家の水谷さるころさんと、映像演出家の野田真外さん夫婦。おふたりはともに一度離婚してからの事実婚。今は息子さんと3人暮らしで、はたから見ると家事も育児もフェアに分担し、生活を楽しんでいるように見えます。

ですが、実はコミュニケーションの大きな問題があったそう。それは、野田さんの「キレる癖」だったそうです。

<まずは、キレやすい野田さんが変わるまでのエピソードを、水谷さんのエッセイ漫画『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』から抜粋します。この漫画には、夫婦がぶつかりながら解決策を見つけていく様子がリアルに描かれています>

◆ケンカはガチでしたほうがいい

結婚した後もコミュニケーションをアップデートしてきた、さるころさん&野田さん夫妻。漫画でも描かれたその方法と考え方を、おふたりに聞きました(インタビューは2018年)。

さるころ「ケンカの頻度はどんどん減っていて、いまは3か月に1回とかですね。ケンカの発端は一貫していて、野田さんがキレるから(笑)。でも、ひとりがキレているだけでは、実はケンカは成立しないんですよ。ケンカが成立しない状態が離婚リスクだということは前の結婚で実感していたので、ガチでケンカするようにしています」

野田「ケンカって『お前が悪い』『いやお前が悪い』という話にしちゃダメなんです。相手の人格に問題があるという話になると、感情的になってしまうから。ケンカになるのは、どちらかの人格に問題があるからではなく、コミュニケーションに齟齬(そご=くいちがい)があるからなんです」

◆キレられたら、その場で理由を聞くべき

さるころ「暴言を吐かれたり、キレられたりしたときは、その場で『何を思ってそんなことを言ったんだい?』と相手に確認することが大事だと思います。

私も以前は、イライラしている相手に何を言ってもしょうがないから、いったん我慢して、落ち着いたなと思ったときに『ああいうのはよくないよね』って言うのがオトナな態度だと思っていました。そういう態度が正しいと思っていたんですが、それは違うなって。
なぜなら、キレる人がキレ続けるのって、キレても許してもらえるからですよね」

全国のイライラしやすい人は、ギクッとしたのではないでしょうか。もちろん私もです。
「私のイライラに傷つきながらも許してくれる人がいる」ということなんだ……。

野田「キレる側としても、”許されて当然”と思っている部分があるんですよね……厄介なことに。彼女の言うとおり、キレることは加害行為なんですが、本人としては、むしろこっちが被害者だという気持ちでいっぱいなので」

さるころ「そもそも、相手を攻撃するときに自分が悪いと思って攻撃をする人はほとんどいないんですよ。何かひどい目に遭った、のカウンターとして攻撃してしまうわけで」

◆我慢したあげくに爆発していた夫

では野田さんがキレる原因ってなんなのでしょう?

さるころ「何か思ったとおりのことができなかったときに、何も言わずにどんどん我慢してイライラを募らせて、それが爆発する感じだよね」