Image: Dhilan87x / Shutterstock.com

暑すぎてヘリが飛べない時代に…。

最高気温が53度に達した灼熱のカリフォルニア州デスバレー国立公園に、6人のバイク乗りがたどり着いたのは7月6日のこと。酷暑にさらされたライダーのうち、1人が死亡、1人が地元の病院に搬送されました。4人はその場で処置を受けたそうです。

暑すぎてヘリが離着陸できない

通常、デスバレーのような遠隔地で救急医療が必要になった場合は、救急ヘリコプターが出動して患者を病院に搬送します。しかし、あまりにも暑すぎると、ヘリコプターが離着陸不能に陥ってしまうそうなんです。

翌7日、場所は変わって同州レディング。交通事故現場への出動を要請された救急ヘリコプターのパイロットは、現場付近が暑すぎて着陸できないとして出動を断る事態に。ワシントン・ポストの取材に、パイロットは27年のキャリアで初めての出来事だと話しています。

アメリカ各地でこの夏の極端な暑さは、ヘリコプターに搭載されているコンピューターや機械システムを過熱させ、故障を引き起こす可能性があります。しかし、今回の件は単なる機械的な問題ではなく、空気の密度が関係しているみたいです。

空気は温度が高くなると膨張し、冷たくなると収縮します。気温が高いと空気が膨張するため、密度が低下します。つまり、空気が薄くなります。空気の密度が低すぎると、ヘリコプターのブレードがつかめる空気が少なくなり、揚力を得にくくなるんです。そのため、より飛行が危険に、場合によっては飛行できない事態が発生するというわけです。

国立公園サービスによると、一般的に気温が46度を超えるとヘリコプターは安全に飛べなくなるとのこと。

飛行機も温暖化で危険に

また、暑さは民間航空機による空の旅をより危険なものにしています。気温が高いほど乱気流が発生しやすくなり、けがや死につながる恐れがあります。暑さによる乱気流はよく知られているため、パイロットの多くは早朝の飛行を望んでいるのだとか。搭乗客も乱気流は全力で避けたいですよね。

気候変動がこういった状況をさらに悪化させています。1979年から2020年までの晴天乱気流(雲や嵐のように視認できない気団の乱れ)のデータを分析した2023年の研究によると、激しい乱気流の発生頻度が55%増加していたそうです。

そして、気候モデルが将来的な晴天乱気流の発生頻度増加を過小評価している可能性も含め、今後はさらに悪化しそうです。飛行機嫌いにとっては悪夢のような未来です。

ここ数年、ヒートドーム(上部にふたをされてドーム化した高気圧が広い地域にわたって停滞し、熱が閉じ込められて暑さが増す現象)によって、アメリカ全土は記録的な猛暑に見舞われています。

化石燃料の使用を主因とする気候変動のおかげで、ちょっとずつ危険で生きづらい世の中になっていきますね。

(7月19日追記:初出時、ヘリコプターが安全に飛べなくなる気温を49度と記載していましたが、国立公園のプレスリリースに気温が2つ表記されていたため、確認したところ46度が正確な情報とのことでしたので、記述を変更しました)

キョウショウ エッグ(Kyosho Egg) マイクロヘリコプター モスキート TS057
5,056円
Amazonで見る
PR

「記録的な猛暑」でサーバーがダウン。有名サイトが見られなくなる