知識ゼロから投資を始め、FIREを達成した櫻井かすみさん

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 投資によって若くして資産1億円を超えてFIREした、投資の学び舎「トウシナビ」代表を務める櫻井かすみさん。著書『投資への不安や抵抗が面白いほど消える本』(Gakken)も話題の彼女に、前編では、会社勤務とデイトレードが過酷すぎて救急搬送、投資詐欺で300万円失うなど、踏んだり蹴ったりの20代の人生を紹介した。
 後編では、自身の体験をもとに、初心者でもスムーズに投資に成功できるコツを教えていただいた。

◆まずは人生の5大固定費を見直す

 投資に成功した櫻井さんは、「お金に対する不安は消えました。仮に無一文になったとしても、イチからまた資産を形成していけるという自信はあります」と語る。

 これは、家庭環境に恵まれ、特別な才能を持っている人だけが達成できることではない。FIREとまでいかなくても、ある程度の経済的自由を得るチャンスは、誰もが等しく与えられている。ということで、ここからは、未経験だが投資に興味がある方向けに、ファーストステップとして何をすべきか、櫻井さんからのアドバイスとなる。

投資の基礎を学ぶ前に、まずは自分の経済状況の把握から始めましょう。収入は毎月いくら入ってきて、毎月何にいくら使っているのかから始めます。本にも書いていますが、人生の5大固定費というのがあります。これは、光熱費、通信費、車の維持費、住宅費、保険料の5つの出費を指します。多くの人は、固定費をよく把握していないものです。請求明細も見ず、何となく漫然と毎月払っているのですね。しかも、お金が不足気味な人ほど見ていません。ここにメスを入れるのです」

◆なかでも保険の見直しを!

 中でも保険の見直しをしたほうがいいそうだ。入っている保険の保障内容も知らない、同じ内容の保険に複数入っているパターンはよくあるという。

「それらを吟味して、解約すべきものは解約してしまいましょう。こう言うと、『あと数年したら、払った額と同額の解約返戻金となるから、そこまでは頑張ろう』とか『解約したら、今まで払ってきた保険料が無駄になっちゃう』など、反論してくる人がいます。でもそこは、スパッと損切りをしたほうがいいのです。

 そしてスマホ。大手キャリアから格安スマホに乗り換えても支障なければ、乗り換えてしまいましょう。1か月あたりの節約額は、たいしたことはないかもしれません。ですが、一家全員が乗り換えると1か月あたり1万円を超える節約になることも。1年で見れば12万円以上ですよね。スマホ乗り換えは、手続きが面倒そうという心理的ハードルはあります。でも、その手続きは最初の1回だけですので、そこは頑張ってみましょう」

◆なにはなくともNISAから着手

 このように固定費を見直して、削れるものは削った上で投資に目を向けることになる。櫻井さんは、次のように語る。

「手始めはやはりNISAです。月々の収入の2割を投資するのが目安です。月収30万円であれば6万円ですね。そしてボーナスが入ったら、余力の金額はできるだけつぎ込むといいです。それから、投資のためのお金をプールする口座を、1つ設けることをおすすめしています。給料やボーナスが入ったタイミングで、その口座にお金を移すことで、自然にお金が貯まる仕組みを作ってしまうのです」

 長期的な視点の投資信託とは別に、おすすめしたいのが、金(きん)と個別株だという。

◆全投資額の1割は「金と個別株」に

「景気後退やコロナ禍のような、社会的なショックが起こったときは、株は売られて価値は下がってしまうので、金のような現物資産は、分散のために保有する意味はあります。目安としては全投資額の1割程度。ここ25年で9倍近く上がっていますが、だからといって半分ぐらい突っ込んだらいいのかっていうと、決してそうではないと思っています。