XFN-ASIAによると、中国の外貨準備高が今月中にも1兆ドル(約118兆円)を突破する見通しになっている中、同国のエコノミストや政策決定者の多くは、外貨準備をもっと先端技術や戦略的資源の輸入などに振り向け、多様化を図るべきだと提言している。最近でも、中国人民大学の趙錫軍教授(金融論)は、中国の共産党機関紙、人民日報とのインタビューの中で、中国は外貨準備をハイテク製品や戦略的資源などの輸入、外国企業の株式の取得、社会福祉制度の整備などに投資すべきとの考えを示している。

  2000年末に、1656億ドル(約19兆5400億円)だった中国の外貨準備高は、その後、急増し、今年9月末時点には9879億ドル(約116兆6000億円)に達している。現在、外貨準備は米国債が最大の投資先となっているため、外国為替市場のドルや米債相場が下落した場合、巨額な損失を受けることを懸念する声が多い。米調査会社のロウビニ・グローバル・エコノミスト(本社・ニューヨーク)のブラッド・セッサー氏は、米国債が中国の外貨準備の投資対象のうち70%を占めていると推計している。

  外貨準備が巨額に上っているため、多くの金融専門家は金融政策の障害や人民元の上昇圧力になると警告している。米国債以外の債券や金、油田開発などといった投資を提言する学者もいるが、香港の投資銀行、CICC(中国国際金融)の主任エコノミスト、哈継銘氏は、「中国政府には専門知識が不足しており、投資先を多様化する体制は整備されていない」と否定的だ。

  また、哈氏は外貨準備の1-2%が動くだけでも金融市場にとっては大きな影響を与えると指摘。国内の投資に使うべきと提言する学者もいるが、外貨を人民元に交換すれば、中国政府が警戒している国内流動性の過剰を一段と悪化しかねない問題もある。

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