都内唯一の酒蔵!   東京港醸造「江戸開城  夏酒」で気分爽快

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こんにちは。
「オレンジページ日本酒部」部員の、ニックネーム・酔い子です。

この頃は天候不順などもあり、季節のOn Timeがわからなくなっていますね。
食材にしてもそう。季節に先がけて出回る新物・「走り」を味わうのは、日本のすばらしい食文化ですが、5月中ごろスーパーで枝豆を見かけたとき、 「え、もう? いまから食べてたら、真夏のOn Timeには食べ飽きちゃうじゃーん」なんて買いもしないのに心の声を発したりしておりました。

今回は、それこそ5月にはほぼ酒販店に出揃った「夏酒」に注目!
季節には早いし、梅雨だってまだだけど……なんて思いもせず、ハイ、速攻で購入しました。

「走り」もなにも、結局いつだって好きなものに走るだけという、私なりです。

そこで、6月の推し酒は、こちら!

ロックで爽快! 「純米吟醸原酒 江戸開城 夏酒」(東京・東京港醸造)


それにしても、お店の冷蔵庫を見て、夏酒の種類の多さと、すでに完売している商品もあることに驚き、周回遅れのような気分になった私。夏酒はさわやかな色みのラベルが多く、見ているだけで気分が上がります。
夏酒は、アルコール度数が通常の16度前後に比べ、14度くらいのものが多く、飲み口はさわやか。ほどよい酸味があって軽快な印象です。
この「江戸開城 夏酒」は、ボトルこそどっしり重厚ですが、白地のラベルにメタリックなブルーの文字が潔く、<東京 芝の酒>という文字に「えっ?」と思う人も多いかもしれません。



グラスに注ぐと、ハーブのような香りがほのかに立ち、グレープフルーツやライムのような柑橘系のさわやかな酸味と軽やかな甘みに、はっとします。 屋外でのBBQやキャンプ場、お祭りや花火大会に持ち込みたくもあり、クーラーのきいた部屋で料理に合わせてスマートに飲みたくもあり……!
純米吟醸の原酒はロックアイスを入れても味がくずれないので、大きめのグラスでくいっと飲むのもおすすめです。キリッとスカッと。うまみもあってとにかく爽快。

そして、あとに残る心地よい酸味から、魚介系のサラダやカルパッチョ、野菜のマリネやレモンを絞ったフリットなどが食べたくなります。公式サイトでは、たことの相性のよさも書かれているので、たこ好きの私としてはニヤニヤ。
日本酒ビギナーの人は、このお酒から飲み始めたら、きっと日本酒が好きになるはず! ぜひぜひ、お試しくださいませ。

「江戸開城」を醸している東京港醸造は、<東京 芝の酒>とあるように、港区芝にある、23区で唯一の酒蔵。
都内に酒蔵!? 
そう、JR田町駅から徒歩8分くらいのオフィスビル群の一角にあります。

酒蔵の歴史は古く、江戸時代後期の1812年に「若松屋」の屋号で創業。どぶろくや焼酎を製造し、当時は薩摩藩の御用商人となって蔵は繁盛していましたが、明治時代末期、戦時下において幾度となく繰り返される酒税の引き上げ等に耐え兼ね、1909年あえなく廃業に。
しかし、それからおよそ100年の歳月を経て、2011年に先代が築いた歴史ある酒造業を復興させたいという、「若松屋」7代目の現・社長、斎藤俊一さんの長年の思いが結実し、芝の地で「東京港醸造」が復興・開業しました。

杜氏を務めるのは、この道約46年の寺澤善実さん。寺澤さんは、かつて京都・伏見の大手酒蔵に勤務し、清酒業界の高齢化や、人口減少による将来的な人材不足に対応するため、技術の機械化・自動化を構築する業務に20年間携わり、数々の商品を生み出してきたエンジニア。酒造りでは、既存のしくみに捉われず、個性ある酒を追及し続ける挑戦者でもあります。

開業当時、メディアでも話題になりましたが、仕込み蔵は社長の住居だった4階建てのビルを改装し、床面積171平米という極小スペースでスタート。工程に合わせて上から下に動線を取り、少人数で回せるよう、培った技術で可能なところは機械化してコンパクトに設計。限られたスペースで造れる分だけを造り、原酒を中心に年間を通して酒造りを行っています。

仕事で初めて蔵を見せていただいたとき、「え? ここで?」「どんなお酒になるんだろう」「仕込み水は水道水を使うんだ!」と、どこを見渡しても目がパチクリ。
規模も造りのスタイルも、これまで見聞きしてきたものとまったく違うけれど、私たちにとっては「おいしい、また飲みたい」がすべて。出荷される純米大吟醸、純米吟醸の味わいに魅了される人が多いのは、固定観念を覆す寺澤さんの技術あるがゆえと感じ入ります。


「江戸開城 夏酒」を持って写真に納まってくださった寺澤さん。「東京での酒造りは地価の高さもあり、コスト面を考えると不利なことばかり。けれど、小スペース、小仕込みだからいろんなチャレンジができるんです」。
サステナブルな酒造りによる無洗米での酒造り、東京の街をイメージした<東京シリーズ>の酒「六本木」のリリース、渋沢栄一翁がモデルになった新一万円札発行に合わせ、東京北区が推進しているプロジェクトでプレミアム日本酒「飛栄」を醸すなど、まだまだ新規プロジェクトがたくさん。これからも寺澤さんから目が離せません。

「純米吟醸原酒 江戸開城 夏酒」データと取り扱い店についてて
〇原材料名:米(国産)、米こうじ(国産米)
〇精米歩合:60%
〇アルコール分:14度
〇価格:720㎖ 2255円〜
〇取り扱い店: http://tokyoportbrewery.wkmty.com/shoplist/
■東京港醸造株式会社: http://tokyoportbrewery.wkmty.com/
https://terasawa.tokyo/index.html
https://www.facebook.com/terasawa.jozo
■tpb by tokyo port brewery:https://www.facebook.com/tokyoportbrewery/

「江戸開城 夏酒」と合わせたのは、たこのサラダ


夏酒のキリッとした軽快さには、やはり大好きなたこを合わせました。ライム果汁を絞り、オリーブオイルとからめてマリネ。たこの甘みが酸味を包み込んでお酒の味わいと一つになるのは夢ごこち。なにしろたこ好きなもので、気持ち的にはかなり盛ってます。 ライムの代わりにすだちでも。



たこは少し厚みを持たせて切り、嚙みしめながらいただくのがおすすめです

たこのサラダ


材料(2人分)
ゆでたこの足 160g
ライム 1/2個
エキストラバージンオリーブオイル 大さじ1
塩 少々
好みで粗びき黒こしょう 適宜 
ベビーリーフ 適宜

作り方
(1)たこは、厚さ7〜8mmに切ってボールに入れる。
(2)ライムを絞り入れ、オリーブオイル、塩少々を加えて混ぜ合わせる。そのまま5分ほど置いて味をなじませる。
(3)器にベビーリーフを広げ、たこを盛りつける。食べるときに好みで粗びき黒こしょうをふる。

東京港醸造から徒歩1分のビルの10階にある直営店「tpb by Tokyo port brewewy」では、落ち着いた雰囲気で酒蔵のお酒と料理を楽しめます。詳細は上記「純米吟醸原酒 江戸開城 夏酒」データと取り扱い店についてからどうぞ。

最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。
次回から少しお休みをいただきます。再会(再開)を楽しみに!

profile
オレぺ日本酒部*酔い子/比留間深雪
(株)オレンジページ コトラボ推進部スーパーバイザー。編集部に在籍中、雑誌、ムックを制作するかたわら、日本酒の魅力にひたすらはまり続け、酒蔵との交流が人生の財産となる。現部署では、体験型スタジオ「コトラボ」で料理レッスンを中心とした講座やイベントの企画・運営、企業の研修業務等に携わり、日本酒との接点を模索する日々。会社公認のオレぺ日本酒部は今年で8年目に突入。部活動を通して日本酒の味わいや楽しみ方を発信している。地方の産品を求め、道の駅めぐりが趣味。