華南アメリカ商工会議所の年次調査は、中国進出企業の楽観度を占う材料としてメディアの注目を集める。写真は2月27日の記者会見の様子(同会議所のウェブサイトより)

中国南部に進出したアメリカ企業などで組織される華南アメリカ商工会議所は2月27日、会員企業を対象に毎年実施しているアンケート調査の報告書を発表した。それによれば、2023年に「中国で得られた収益を再投資した」と回答した企業は全体の66%にとどまり、前年の調査より14ポイント低下。アメリカ企業の対中投資意欲が後退している実態を示唆した。

この調査結果は、2023年10月9日から12月31日の間に会員企業から得られた183通の回答の集計・分析に基づいている。華南アメリカ商工会議所にはアメリカ以外の企業も加盟しており、アンケート調査の回答企業の49%がアメリカ系、26%が中国系、25%がヨーロッパや香港などその他の国・地域の企業だった。

再投資率がコロナ期より低く

過去の調査を振り返ると、中国で再投資を行ったと回答した比率は(新型コロナウイルスの世界的流行が始まる前の)2019年が78%、コロナ禍が始まった後の2020年が74%、2021年が79%、2022年が80%だった。

それらに比べて、2023年の66%という数字は落ち込みぶりが際立つ。アメリカ系に限れば対中投資意欲の後退はさらに顕著で、再投資を行ったとの回答比率は57%と前年より19ポイントも下がった。

それだけではない。今回の調査では、回答企業全体の40%が「今後3年間に中国事業を拡大する計画はない」と回答。この比率は前年より9ポイントも上昇し、過去最高を記録した。


華南に進出したアメリカ企業のセンチメントは複雑に揺れ動いている。写真は華南アメリカ商工会議所が本拠を置く広東省広州市(イメージ)

投資金額も大きく減少している。「回答企業が今後3年から5年の間に計画している中国での再投資額は合計約109億5000万ドル(約1兆6480億円)と、前年の調査結果に比べて4割減少した」。華南アメリカ商工会議所のハーレー・セアディン会長は、記者会見でそう述べた。

中国からの全面撤退は否定

もっとも、会員企業による対中投資のリターンは依然高水準であり、「中国からの全面撤退を選択する企業はない」とセアディン会長は強調した。報告書によれば、回答企業の88%は中国事業の損益が黒字であり、46%は予算を上回る利益を上げている。


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さらに、回答企業の62%が「中国以外の国・地域に投資の重点を移す計画はない」と表明。「中国市場にコミットし続ける」と回答したアメリカ企業の比率は66%に上り、アメリカ以外の国・地域の企業よりも高かった。

アメリカと中国の外交関係についても、さらなる悪化を懸念する声は減りつつある。報告書によれば「今後1年間の米中関係を楽観している」との回答が全体の44%を占め、2022年の比率より17ポイント上昇した。

(財新記者:王婧、周勇勤)
※原文の配信は2月27日

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