ものごとの「解像度」が高い人の特徴とはいったいどういったものなのでしょうか(写真:kikuo/PIXTA)

近年、「解像度」という言葉がビジネスシーンで使われるようになりました。では、「解像度が高い・低い」とは具体的にどういうことなのでしょうか? 『「解像度が高い人」がすべてを手に入れる 「仕事ができる人」になる思考力クイズ51問』から一部抜粋・再構成のうえお届けします。

そもそも「解像度」って何?

解像度とは本来、画像を紙に印刷したり、Web上にアップしたりするときなどに使用される用語です。

解像度が高ければ画像は細部まで鮮明に見えますし、逆に解像度が低ければ画像はボケボケになり、何が写っているのかもよくわからなくなります。

近年、この「解像度」という言葉がビジネスシーンで使われるようになりました。

「解像度が高い」とは、思考が鮮明な状態、「明確な像」を持っている状態を言います。一方で、「解像度が低い」とは思考にモヤがかかっていて、現状のことも未来のことも、何も見えていない状態。

意味合いとしては、「物事への理解度が高い・低い」「物事を詳細に表現できる・できない」といった意味で使用され、解像度が低いとは、

・話に「具体性」がなく、ふわっとしている

・誰でも言える「安易な意見」しか言えない

・「話がいまいち、ピンとこない」と言われる

などの状態を表現したりします。

これまでも「考えが深い」など類似の言葉はあったのにもかかわらず、わざわざ「解像度」という、「思考」とは別の言葉を使うようになったということは、既存の言葉では表現できないニュアンスがあったということです。

それが「見えている・見えていない」という概念でしょう。

「解像度が高い人」は「鮮明な画像」のように物事が細かく、広く「見えている」。「解像度が低い人」は「ぼやけた画像」のように、思考が曖昧で、ほとんど何も「見えていない」。

この「見えている・見えていない」という状態を表現するためには、既存の言葉では難しく、「解像度」というたとえが必要になったのだと考えられます。

では、より具体的に、「解像度が低い」と仕事においてどんな困りごとが発生してしまうのか。ここではまず、「解像度」をより深くご理解いただくために、こんなにもさまざまなビジネスシーンで、多くの人が「解像度」が低くて悩んでいる、という話をしていこうと思います。

話に「具体性」がなく、ふわっとしている…

さて、ひとくちに「解像度が低い」と言っても、その特徴は1つではありません。「解像度が低い人」の特徴は以下になります。


(『「解像度が高い人」がすべてを手に入れる 「仕事ができる人」になる思考力クイズ51問』より引用)

では、その1つ目の特徴とは何でしょうか。それが「話に『具体性』がなく、ふわっとしている……」という点です。

この特徴は、仕事の場面でどんな風に現れるのでしょうか。具体的なシーンで見ていきましょう。ここでの主人公はあなたです。あなたがこの登場人物になったと仮定して、読み進めてみてください。

【SCENE1 上司への提案】
• 登場人物: 上司(人事部長)、あなた(人事部 採用担当)
• 内容: どの求人媒体を利用すべきか?

あなたは中小企業に勤めるビジネスパーソン。近年、会社の業績は良好で、事業拡大を見込んでいます。

会社の拡大に伴い、採用を活発化することになりました。採用担当であるあなたの出番です。

人事部長:「さて、〇〇さん、採用人数を大幅に拡大するよう、社長から指示があった」

あなた:「そうですか。すぐに求人を出す必要がありそうですね」

人事部長:「そうなんだ。〇〇さんはどの媒体に出したらいいと思う?」

あなた:「うーん……。AかBの媒体がいいんじゃないですかね……」

人事部長:「それはどうして?」

あなた:「いやぁ……、有名ですし……」

人事部長:「そもそも、求人媒体を決めるには、『どんな人を採用したいか』が基準になるよね。○○さんは、どんな人を採用すべきだと思う?」

あなた:「ええっと……、優秀な人ではないですかねぇ……」

人事部長:「優秀な人? 例えば、どんな人?」

あなた:「……」

言葉を詰まらせてしまうあなた。そこに部長から、少しドキッとする質問が飛んできました。

人事部長:「〇〇さん、採用担当として、『採用すべき人物像』はちゃんと見えていますか?」

思考の「画素数」を増やす

もちろん、「採用すべき人物像」はあなた一人で決められるものではありません。心のどこかで「いや、そんなのは、人事部長か社長が決めることでしょ?」と言いたくもなってしまいます。

しかし、もしあなたが「仕事ができる人」になりたいと思っているのであれば、このままではマズそうです。


採用担当として「仕事ができる人」を目指すのであれば、「採用すべき人物像」について、具体的なイメージを持って、具体例をポンポンと出せるようになる必要がありそうです。

「採用すべき人物」は何歳くらいの人なのか。これまでどんな業界にいて、どんな職種に就いて、どんな経験を積んできた人でしょうか。仕事に対してどんな考え方を持っていて、それはどんな言動として現れ、どんな仕事習慣を持っているのか。

前提として、会社の事業方針や採用すべき人の役割、職種、業務内容は何か。あなたの頭の中に、「一人の人物像の絵」がありありと浮かぶまで具体化する必要がありそうです。

このような「話に『具体性』がなく、ふわっとしている……」という悩みは、「解像度」のうちの「具体化思考力」が足りないせいで、思考の「画素数」を増やしていく必要があります。

(権藤 悠 : 株式会社キーメッセージ代表取締役社長)