自分の事が「もっと好きになる」8つの小さな習慣
忙しすぎるとつい自分を蔑ろにしてしまうことがあります。時には自分を甘やかすことも大切です(写真:Ushico/PIXTA)
仕事に家事、育児にと休む暇がない人は多い。ついつい自分を蔑ろにしてイライラすることもあるでしょう。そんなときに自分のご機嫌を取る方法を知っていれば、イライラも即座になくなります。また、日頃から自分を愛でていれば不安定な自分もいなくなるといいます。
その秘訣を名門女子校、ノートルダム清心中・高等学校の神垣しおりさんにうかがいました(神垣さんの著書『逃げられる人になりなさい』を一部抜粋し、お届けします)。
毎日の生活で自分を応援
暮らしの中の何気ない習慣を変えたり、毎日に小さな楽しみをつくったりすると、それだけで新しい自分に出会えるような期待が生まれます。毎日の生活でそうやって自分を応援する工夫が、結果的に自分を愛し、いつくしむことにつながります。
ここでは、私が普段心がけていることの一部をご紹介します。
1つひとつは何気ないことです。しかし、思うように結果が出なくても、誰かが認めてくれなくても、幸せだと思える瞬間を積み重ねていくと、自分の可能性に希望を感じながら日々を過ごせます。
身近な植物と対話する
私の朝は、ガジュマル、ハイビスカス、ブーゲンビリアなどの南国植物や観葉植物、鉢植えの花々との対話からはじまります。
「おはよう、今日も元気でいてくれてありがとう」「あら、水をやりすぎた。ごめんなさい」「花びらが散ってしまった。これまでありがとう」など、葉や花の様子を見て心の中で声をかけながら、必要に応じて水をやります。つぼみが開くと、疲れていてもほっこりして笑顔になります。
以前は枯らしてばかりだったので、できるだけ育てやすい観葉植物から再チャレンジしました。枯れる原因は、水のやりすぎです。人間と同じで、むやみに与えればいいというわけではなく、対象の個性を見極めることが大切なのだと学びました。
私たちは、本当は大いなる存在に見守られています。しかし、悩みや心配事にしか目線が合っていないと、その恩恵を見逃してしまいます。自然の恵みを思い出し、視点を変えるためにも大切にしている朝の習慣です。
ベランダや庭で花や野菜を育てたり、キッチンでミニ野菜を栽培したりするのもおすすめです。
誰かにケアしてもらう時間を
髪を整える
2、3カ月に一度、美容院で髪を整えていただく時間は、ゆったりと落ち着いて、またリラックスできるぜいたくな時間です。
以前は美容院に行く時間も惜しく、髪は半年近く伸び放題だったこともありました。しかし今、人になにかをやっていただくこと、リフレッシュすることの大切さを改めて感じています。
ヘアスタイルを変えて気分を一新させ、自分を元気づけることができるのも、美容院ならではのよさです。
美容院での何気ない会話も、楽しみのひとつ。以前担当していただいた美容師さんは近所のグルメ情報をいつも楽しそうに教えてくださるので、聞いている私までうれしくなったものです。
美容院に限らず、しがらみや損得勘定なしに楽しいひとときを分かち合える方々との会話や出会いもまた、元気をくれます。
とくに、ほかの誰かの世話はしても、自分自身が誰かにケアしてもらう機会が少ない私たち女性にとって、このような機会は貴重です。美容院やマッサージなどで、人の力を借りて自分を癒やしたり整えたりする時間を作るのも、自分を愛することにつながります。
面倒なことは楽しむスイッチを入れる
たまった洗い物を前にすると、誰もが思わずため息をつきたくなるのではないでしょうか。億劫な気持ちを変えるために、スイッチを入れる方法を考えました。
気分の切り替えに役立つのが、流し台の前に置いている足つぼマットです。足つぼマットに乗ると足裏を刺激され、自然に気分がシャキッとします。
次に目を閉じてフーッと息を吐き、呼吸を整え、「さあ、きれいにしましょう」「よし、今から洗いますよ」と声をかけて洗いはじめます。洗っている間は、腹式呼吸を意識することも忘れません。
また、友人の海外土産でもらって以来、柄つきのスポンジを愛用し、少しでも片づけの時間が楽しくなるようにしています。
面倒だと思うのか、「さあ、やろう」と思うのかで、同じ時間が変わってくるので不思議です。
時間の流れやリズムを変える
手のケアで心も愛でる
肌が弱いので、手をケアするためにハンドクリームは欠かせません。作業の手を止めて、自分の肌の感触を確かめながらクリームを塗る。そんなちょっとした行為が、時間の流れやリズムを変えるのに役立ちます。とくに、よい香りのハンドクリームを使うと、香りの力で癒やされます。
女性は、アルコール消毒や手洗い、水仕事で手が荒れがちですから、こまめなケアは自分をいたわるひとつの身近な方法だと感じます。
食べ物から幸せをいただく
私にとってなによりの気分転換が、外食です。
普段はいいことがあったときに、ごほうびとして好きなものを食べるのかもしれません。しかし、私は気分が落ち込むと、普段がんばっている自分へのごほうびとして外食します。
とくに好きなのが、広島県民のソウルフードであるお好み焼きです。忙しさもあってひんぱんには行けないのですが、そのぶん外食やテイクアウトする際には、プロの技に感謝しながらいただいています。
家では、お気に入りの冷凍ナンをストックしておき、トースターでフワッと焼けたナンの甘さに幸せを感じています。「あぁ、おいしい」と噛みしめながら好きなものをいただく。そんな小さな幸せが元気をくれます。
愛しいものは目に入る範囲に置く
片づけは苦手ですが、好きなものを身近に置くことは意識してきました。日頃ともに過ごすものだからこそ、元気づけてくれるもの、思い出のこもったもの、優しい気持ちになれるものを選んでいます。
お気に入りのポーランド製マグカップで、コーヒーをいただくのが朝の楽しみのひとつです。
サラームで販売している刺繡製品も、バッグやポーチ、ペンケースなどを愛用しています。手刺繍の温かみを感じながら、製品をつくった女性たちや現地スタッフ、仲間の笑顔を思い浮かべ、物づくりの素晴らしさのお裾分けをいただいています。
また、フェルメールの絵画が大好きなので、拡大鏡や絵葉書などフェルメールグッズをそばに置き、作品の少女と目が合うと勝手に(もちろん心の中で)会話をしています。
ほかにも、イエスを抱き上げる聖母マリアの姿を表した像、ピエタもいつも目に入る場所に置き、聖母マリアの生き方を思い出しています。
人との時間・ひとりの時間を大切に
語らいの時間を大切にする
さまざまな方と語らう時間も、学びやリフレッシュの場として大事にしています。
会話を通して自分の知らない考え方や社会の一面を知り、自分自身の新しい一面について気づかされるのです。さらに気の置けない友人や仲間たちと他愛もない話をしながら和やかなひとときを過ごすと、またがんばろうと思えます。
家庭でゆっくり話す時間が取れなかったり、ギスギスした雰囲気が流れたりするときは、「ティータイムにしよう」と声をかけ、家族でリビングに集まり、お互いの状況を話すようにしてきました。この習慣は、夫と2人暮らしになった今も続いています。
孤独を味わう
心に余裕がなくなると人とのつながりを忘れてしまい、ふと寂しさや孤独感が訪れることがあるものです。ただ、そこで視点を変える習慣がいつしかできました。
どんなときも必ず、見守ってくれている存在がいると思い直せるようになったのです。
そのためにも、ひとりになって自分の心を見つめる時間を持つことも意識しています。誰かに見守られているという感覚は、ひとりでいるときに湧いてくることが多いように思うからです。
たとえば、仕事が手を離れてホッと一息ついたときや、部屋で静かに思案しているとき、あるいは、思いついたことをノートに書き留めたりしているとき、多くの人に支えられていると気づいてハッとします。誰かと語らう時間と同じくらい、ひとりで過ごす時間をできる限り大切にしたいと思っています。
(神垣 しおり : ノートルダム清心中・高等学校校長 NGOサラーム(パレスチナの女性を支援する会)代表)