安達祐実さんプロデュースの「Upt」

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バブル経済期の1980年代後半から90年代前半、東京・原宿には芸能人の名を掲げた「タレントショップ」が軒を連ねた。グッズは大人気で、京都・嵐山や長野・軽井沢など観光地にも店舗を構えていたのだ。

そして現代、タレントのサイドビジネスは、飲食店の商品監修やプロデュースコスメが多い。その理由を、識者に聞いた。

「梅宮辰夫漬物本舗」は今も20店舗

かつて原宿の竹下通りには、タレントショップが乱立していた。人気だったのは、加藤茶さんや山田邦子さんら、当時のバラエティー番組の人気者たちの店だ。日本テレビの番組「天才・たけしの元気が出るテレビ」のショップもあった。タレント自身がオーナーを務めるケースのほか、芸能事務所が経営する、名前を貸して別の経営者を立てる店舗もあったようだ。

故・梅宮辰夫さんの「梅宮辰夫漬物本舗」は、本人監修の漬物やふりかけ、グッズを販売し、現在でも観光地を中心に20店舗を運営している。

その後、日本経済の低迷と不景気が長く続くと、各地にあったタレントショップは次々に閉店していった。

益若つばささんは2008年に立ち上げ

それから30年後の現代、タレントの飲食店監修やプロデュースコスメ、インフルエンサーマーケティングに姿を変えている。

2008年から手掛けているのは、女性ファッション誌「Popteen」の元モデル、益若つばささん。コスメブランド「CandyDoll」を立ち上げた。近年では、2020年に藤田ニコルさんプロデュースの「cimer」、元HKB48の指原莉乃さんが2021年に「Ririmew」をスタート。青山テルマさんの「mythm」と安達祐実さんプロデュースの「Upt」は2022年、元・モーニング娘の辻希美さんが監修する「illuN」は2023年から、チェーンストア「ロフト」で販売されている。

「化粧品は化学製品」なのがカギ

投資に詳しいセカニチ(南祐貴)さんに、プロデュースコスメの仕組みを取材した。「芸能人プロデュースコスメがもうかる、最も大きい理由は原価率です。化粧品は『化学製品』で、実はこれは原価がとても安いことで知られています」と明かす。

「例として、基礎化学品に使われるベンゼンの原価は1トン当たり10万円前後。100グラムに直すと10円になります。ベンゼンは化粧品などの原料となっており、これがプロデュースコスメの素材です」

商品の原価の安い化粧品業界では、広告が重要になるとセカニチさん。ケースバイケースだが、プロデュースコスメも、芸能人の知名度が欲しい製薬会社や化粧品メーカーが企画を打診し、芸能人プロデュースの商品としての広告効果を狙っている側面があるという。「このなかで、一番もうかるのは企画する化粧品メーカーとなるのが、プロデュースコスメの実態です」と述べた。