12球団でただ一人の契約未更改に(1月26日時点)

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厳戒態勢のキャンプに?

 もうすぐ球春到来。キャンプインまで1週間を切った25日、多くのプロ野球ファンは驚いたはずだ。千葉ロッテの佐々木朗希(22)が、23年シーズンからプロ野球選手会を退会していたというのである。

【写真】背中でモノを語るようになった? 佐々木の成長が伺える球場での写真(千葉ロッテマリーンズの公式Instagramより)

 いまだ契約未更改の佐々木を巡る騒動は、一向に収まる気配がない。そもそもの発端は昨年末、佐々木が24年シーズンオフに、ポスティングによるメジャー移籍を球団に訴えたことだった。メジャーでは契約金制限の適用年齢が25歳からと労使で定めており、仮に佐々木が24年オフに移籍しても、契約金と年俸込みで上限が年間500万ドル(約5億5000万円)程度の、マイナー契約からのスタートとなる。なにより、ポスティングで移籍する場合は、球団の許可を得なければならない。

12球団でただ一人の契約未更改に(1月26日時点)

「この騒動は入口(ポスティング直訴)と出口(メジャー移籍)だけがはっきりしていて、その経緯に不明な点が多いと思っていました。それにしてもまさか、選手会を退会していたとは…。メジャー移籍を強行するための伏線だったのでしょうか。佐々木の“相談役”とされる、IT関係者も絡んでいるのか。球団としてはまず契約を更改して、将来的にポスティング移籍は認めるけれども時期はまだ、という姿勢を崩していません」(スポーツ紙記者)

 2月1日から始まるロッテのキャンプは石垣島で行われる。どうやら佐々木は自費で参加ということになりそうだ。

「佐々木がプロで初めて迎えた、2020年のキャンプ以来の厳戒態勢が敷かれるのではないか」(ベテラン記者)

 当時、かなりの報道陣が集まったが、佐々木の取材に関して球団から報道陣に対して、囲み会見はするが、移動や休憩時などに側にいって話を聞く「ぶら下がり取材はNG」との要請が出ていたという。

「高校3年生なので、まだうまく自分の言葉で話せないから、というのが球団側の説明でした。会見方式なら球団広報が横にいて、足りない部分をすぐに補えますからね。キャンプ地の石垣島には、いわゆる“ハメを外せる”ようなお店は少ないのですが、先輩選手たちにも、夜に佐々木を連れまわさないようにとのお達しも出ていました。今回のキャンプはどうしたって佐々木が話題の中心です。でも、取材対応があるのかどうか。ファンも含め、球団関係者以外との接触は相当厳しく制限されることになるのでしょう」

キャンプ中にも話し合いを

 球団としては、キャンプ中に佐々木とじっくり話し合う時間を作りたいだろう。将来的にポスティング移籍を認める方針とはいえ、契約の話だけを急いだら、佐々木が態度を硬化させるかもしれない。

「チームメイトであり21年から主将を務める中村奨吾(31)や、ベテランの荻野貴司(38)らが佐々木の話を聞いてあげて着地点を見つけるのも一つの手かもしれません。そこに吉井理人監督(58)が加わることも十分、あり得るでしょう。まさか携帯電話を取り上げるわけにはいかないので、個人的に連絡を取ることは避けられないでしょうが、“支援者”たちと距離を置いた状態で、時間をかけて話をしたいと思っているのではないでしょうか」(前出・スポーツ紙記者)

 ロッテは「2025年に常勝軍団になる」という球団目標を立てている。その実現のためには佐々木が必要であることは間違いない。またロッテのみならず、佐々木をNPBのエースに育てることを目標に、1年目は登板機会はなし。2年目は間隔をあけて起用。さらに先発登板する際にも「球数制限」をつけてきた。プロとして十分な体力がつく前の投球過多は、故障の原因にもなりかねないからだ。

「1年目のキャンプから気になっていましたが、佐々木は中距離、長距離走が苦手。理由は単に足が遅いのではなく、基礎的な体力、スタミナがないのでしょう。だから、他の選手に比べてバテるのも早い。その印象は今も変わらないので、あと2、3年は基礎体力をつけて、それからメジャーに行く方が賢明だと思います」(前出・ベテラン記者)

 今回のキャンプ中、2月24、25日に韓国のロッテジャイアンツとの練習試合が行われる予定になっている。

「いずれかの試合で佐々木が先発することは、重光昭夫オーナー(68)の強い希望であると、韓国で大きく報じられています。試合当日は、韓国メディアも取材で訪れることになっています」(球団関係者)

移籍強行で思い出すあの投手

 球団スタッフにとっては、何かと大変なキャンプとなりそうだが、先のベテラン記者によると、

「騒動が長引くようならどうするのか、あれこれスタッフと雑談していたのですが、こんなことを言う人がいました。“ウチは伊良部の件”で免疫がありますから、大丈夫ですよ”と」

 伊良部の件とは1996年7月から翌97年5月まで、およそ11か月にわたって繰り広げられた騒動である。ロッテ投手だった伊良部秀輝が、球団にヤンキースへの移籍を直訴した。調整法などを巡り、当時の広岡達朗GM(91)との確執もあった伊良部だが、投手の主力であり、戦力面と営業面からも伊良部を球団が放出できるはずもなかった。

 伊良部は代理人を立て、引き続き交渉を続けたが、球団は97年1月、2選手獲得の交換条件として、業務提携を結んだパドレスに伊良部の交渉権を譲渡する。しかし伊良部は入団拒否を明言。日米間の野球機構も巻き込んでの大問題となったが、パドレスとヤンキースが話し合い、パドレスが選手獲得などを条件に伊良部の保有権をヤンキースに渡すことになり、最終的に三角トレードの形で伊良部のヤンキース入団がかなった。

「この問題がきっかけとなり、日米双方が協議して、FA以外でプロ経験者がメジャー移籍できる方法として、入札によるポスティングシステムが生まれたのです。騒動の最中、伊良部はかなり強硬な態度に出て、球団を怒らせました。確執があったのは確かですが、球団とすれば、伊良部の気持ちにも配慮し、時間をかけて話し合いをするべきだったという反省もあります。この経験を、今回はどう生かせるか…」(前出・ベテラン記者)

 果たして今回の結末はどうなるか……。

デイリー新潮編集部