ベンチで厳しい表情を見せる田中将大

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バッシング回避が裏目?

 プロ野球楽天の田中将大投手(35)が1月22日に、越年していた来季の契約更改で交渉に臨み、2億1500万円減の推定年俸2億6000万円プラス出来高でサインした。2021、22年に日本球界最高の9億円だった年俸はわずか2年で、実に70%超の減額となった。

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 特に、昨年はシーズンで不振に苦しみ、オフには後輩の安楽智大投手の「パワハラ問題」で自身の関与が取り沙汰されるなど、大きなイメージダウンを被るとともにチーム内での立場も微妙になった。13年に24勝0敗と神懸かり的な成績を残し、球団史上初の日本一に貢献した田中と、楽天の蜜月関係は「終わりの始まり」と見る向きが少なくない。

ベンチで厳しい表情を見せる田中将大

 スポーツメディアによると、田中は契約更改後の記者会見で「(契約の)条件だったりは12月の頭ぐらいにまとまっていた」と語った。サインが遅れた理由としては、海外への渡航や自主トレーニングとの兼ね合いでタイミングが合わなかったことを挙げ、交渉でもめていたわけではないと示唆した。

 確かに、昨オフの契約更改も越年となった。しかし今オフ、越年したことがこれだけ紙面を賑わした根底には、やはり「安楽問題」の存在がある。

 昨年11月下旬の問題発覚後、複数のメディアで安楽と絡め、田中をバッシングする記事が相次いだ。ヤンキース時代から記者に注文を付けるなど、自身が書かれた記事に敏感な田中が1月22日に自身のXに投稿した「何を信じるかは自由ですけど、今オフは特に酷(ひど)いですわ」との意味深なコメントの対象は、一連の批判記事との見立てがもっぱらだ。

 元楽天球団の関係者は、田中バッシングが長引いた背景を説明する。

「12月頭と言えば、パワハラが判明し、球団の対応が注目されていた安楽の自由契約が決まった直後です。ここで田中が契約更改の場に姿を現せば、メディアやファンの問題への関心度がピークのところでの取材対応になっていました。騒動が収まるまで時間を置いて、ほとぼりを冷まそうとしたところは、少なからずあったでしょう。同じように大幅ダウンだった昨オフは条件面で難航していたようですが、その時と今オフは越年の背景が全く違っていたと思います」

メジャーでも日本も貴重な「イニングイーター」への不可解な仕打ち

 それにしても、三顧の礼で迎え入れた田中に対し、楽天は昨オフに続き、大減俸とした。楽天復帰後の3年間は4、9、7勝と勝ち星は伸び悩んだものの、打線の援護との兼ね合いもある。

「特に復帰1年目はメジャー帰りのレジェンドの登板時には打者が萎縮して、点を取れない試合が続いていました。本人の責任だけではないところはあります」(チーム関係者)

 一方でメジャーでは高評価を受け、田中もこだわるイニング数は約155、163、約139とチームではトップクラスだ。日本球界で見ても規定投球回に到達する投手が減っている昨今、貴重な「イニングイーター」となった。

「メジャーならこれだけの減俸を食らうような評価にはなりません。日本の他球団でも、ここまで年俸を下げるでしょうか? 楽天が何か他の評価軸で田中をみているとしか思えません」(米大手マネジメント会社の代理人)

 楽天の田中に対する、容赦ない減額提示には、楽天ならではの特殊な事情があるようだ。

「大きなところでは、親会社が楽天モバイルの失敗による経営不振で、球団の資金にも余裕がないことが挙げられます。三木谷(浩史)オーナーの肝煎りで復帰した田中といえども、無傷ではいられないということです」

 さる楽天球団関係者は、さらに続ける。

チームメートの不満抑制も狙い

「以前からチームでは年俸の格差に対して、一部選手から不満が出ていました。他球団からFAで獲得した選手や、田中のようにオーナーに特別扱いされる選手だけが好待遇になっていたからです。(22年オフの契約更改で)島内(宏明)が複数年契約中にもかかわらず、条件を不服として減額してでもFAになることを求めた、信じられないようなことが起きましたが、これもそのことをよく表していました。田中に、より厳しい条件を提示することで、他選手の不満を抑えたかったこともあります」

 そこに、看過することができない「安楽問題」が重なった。

「安楽を可愛がっていた田中の存在がパワハラを助長したなどとともされていた中で、球団が選手に行った調査では、田中に責任が飛び火しないようにすることが前提にありました。看板選手がパワハラの一因になったとみられることを、回避したかったからです。田中は年長者としてパワハラへの意識の甘さこそ認めたのですが、関与していたのかどうかはうやむやで終わりました。結局、安楽一人が責任を負う形で自由契約になりました。田中は球団に借りをつくったと言えるので、交渉ではなかなか強く(金額面を)主張できなかったと思います」(同前)

 球団に守ってもらった代償を、支払うしかなかったようだ。

メジャー復帰は厳しいが

 田中は日米通算200勝の大記録に、あと3勝というところで今季を迎える。05年に球界に参入した球団にとっても創設20周年の記念すべきシーズンで、球団から初めて名球会投手を輩出するビッグイベントである。

「本来、こういうおめでたいシーズンの前に年俸は大きく下げないものです。田中の屈辱感は察して余りあります。会見で語っていたように、巻き返しへの強い気持ちに偽りはないでしょう。今季、復活を遂げて減額分を取り返すだけではなく、オフにはメジャー復帰は難しいかもしれませんが、他球団に獲得の好感触を感じ取れば、既に持っているFA権を行使しての移籍も選択肢にあるとみています」(在京球団編成担当)

 長く続いた田中と楽天の蜜月関係は終焉に向かっているのかもしれない。

デイリー新潮編集部