驚くべきバイタリティー

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 昨年、世を騒然とさせた、歌舞伎俳優の市川猿之助、本名・喜熨斗孝彦被告が両親の自殺をほう助した事件。歌舞伎界にとっては大ダメージとなった一方、一昨年に性加害スキャンダルを起こした香川照之の私生活にも変化が起きていた。年下女性と再婚し、男子が誕生していたことが昨年夏に分かったのだ。

(以下、「週刊新潮」2023年8月17・24日号をもとに加筆・修正しました。日付や年齢、肩書などは当時のまま)

【再婚相手の写真を見る】「ホリプロタレントスカウトキャラバン」に出場した際のAさん

 いまだ「市川猿之助一家心中事件」の余波に揺れる澤瀉屋(おもだかや)。その歴史は、まるでそれ自体が一本の歌舞伎の演目であるかのような苛烈さに満ちている。無論、主役の一人は香川照之(57)だ。澤瀉屋を率いてきた偉大な父との別離と相克、愛憎半ばする再会、和解。そして嫡男の誕生と、46歳での梨園入り――。波乱に富んだ彼の人生に加えられた新たなページ。それは、澤瀉屋の未来につながる「一幕」となるはずだ。

驚くべきバイタリティー

極秘に再婚

 香川は1995年に元CAの女性と1度目の結婚をして1男1女に恵まれたものの、2016年12月に離婚。

「その後、30代の銀座ホステスとの交際が取り沙汰されたりもしましたが、実はここへきて20代後半の一般女性と極秘に再婚。昨年末には二人の間に男の子が生まれています」(事情を知る梨園関係者)

 香川と最初の妻、知子さんとの間に生まれた長男は市川團子(19)である。今年5月、自宅で自殺を図って病院に搬送された猿之助の代役を見事に務め上げたことをご記憶の方も多かろう。11年前、香川が市川中車として息子の團子と共に歌舞伎界入りしていたことが、澤瀉屋の危機を救ったのだ。しかし、團子だけならまだしも、香川自身も歌舞伎の世界に飛び込むという判断は、知子さんにとっては寝耳に水だったようである。

「梨園の妻は、公演中は劇場ロビーに毎日立ってひいき筋にあいさつをしなければならないし、季節ごとのお礼状書きなど、夫を支える“裏方”としての仕事が山ほどある。ましてや知子さんは梨園のしきたりなど全く知らない普通の主婦。いきなり全てをこなせと言われても無理があります」(歌舞伎界関係者)

追い打ちとなった猿翁との同居

 そんな知子さんにさらに追い打ちをかけたのが、香川の父、猿翁との同居。夫婦間の溝は修復不能なところまで深まり、最終的に離婚に至るのである。

 その猿翁に対してこれまでに香川が抱いてきた心情は、他人にはうかがい知れない。65年12月、当時三代目猿之助を名乗っていた父と、女優・浜木綿子の長男として生まれた香川。しかし、ほどなくして父は踊りの師匠・藤間勘十郎の妻で、初恋相手でもある藤間紫と不倫関係に陥り、香川が3歳の時に離婚。以降、藤間と結婚した父とは断絶状態にあり、歌舞伎とも無縁の生活を送っていた。成人し、父の許を訪れた香川に向かって、「いまのぼくとあなたとは何のかかわりもない」「あなたは私の息子ではない」と言い放つ猿翁は、彼の中に“大きな壁”として存在し続けていたに違いない。しかし、知子さんと結婚し、長男の團子が誕生すると心境に変化が生まれる。

〈長男が生まれたことで、先祖代々歌舞伎俳優の家に生まれて、その血を受け継いでいる責任感も同時に生まれたんですね。私から二代続けて、歌舞伎から離れてしまっていいのだろうか――と〉(「演劇界」12年7月号)

澤瀉屋にとって明るいニュース

 03年に脳梗塞を患って以降、療養生活を送っていた猿翁と同居を始めたのは11年。同年9月に記者会見を開き、息子と共に歌舞伎界入りすることを表明した。会見に同席した猿翁が、元妻の浜木綿子に対して、「浜さんありがとう。“恩讐の彼方”にありがとう」と述べる場面は、見る者の心を揺さぶらずにはおかなかった。

 45年ぶりの父との和解と、46歳での歌舞伎界入り。澤瀉屋の歴史に残る前代未聞の出来事を成し遂げた香川の剛腕には感服する他ないが、元妻の知子さんはその“犠牲者”といえるかもしれない。香川は彼女と離婚後もドラマに映画、歌舞伎と多忙を極める生活を送ってきた。

「香川さんはただでさえ歌舞伎の世界で覚えなければいけないことがたくさんある。その上、ひいきの方々への対応といった、通常なら奥さんがやることまでお一人で全部やらなければならなかったのは、本当に大変だったと思います」

 そう話すのは、歌舞伎評論家の上村以和於氏である。

「主人が安心して歌舞伎に打ち込むために支えてくれるような奥さんと再婚したのだとすると、香川さんにとっては非常にありがたいことに違いありません。また、その再婚相手との間に男児が生まれたのなら、猿之助の件で揺れている澤瀉屋にとって明るいニュースになるでしょう」

 古典演劇評論家の水落潔氏も言う。

「歌舞伎役者にとって奥さんの存在は非常に大きい。ごひいき筋をうまくまとめたり、主人に代わって事務的な交渉事も行う。主人が言いにくいことを松竹に対して要求したりするのも奥さんの仕事です」

「ホリプロタレントスカウトキャラバン」のファイナリスト

 香川を支える再婚相手のAさんは現在26歳。香川より31歳も下の新妻は、果たしてどんな女性なのか。

 千葉県出身のAさんの中学時代の同級生は、

「彼女は女子の間でかわいいと評判でした。化粧っ気がないわりに目鼻立ちが整って見えて、肩甲骨下くらいまで伸びたサラサラの黒髪ロングがトレードマークでした。性格はどちらかといえば大人しく、アニメの話をよくしていました。男子ウケより女子ウケが良い子でしたね」

 そんな彼女の経歴における特筆すべき点。それは、16歳の頃、女優の石原さとみや綾瀬はるからが輩出した「ホリプロタレントスカウトキャラバン」のファイナリストに選出されたことだ。残念ながらグランプリは逃したが、その美貌は彼女のSNSの写真を見ても明らか。女優の吉高由里子に似た美人だ。

子供を産んだことをアピール

 高校時代の同級生の保護者が話す。

「当時から芸能活動を頑張っていたと聞いています。京都への修学旅行とホリプロスカウトキャラバンの最終選考の時期がかぶり、旅行を途中で抜けて帰って行った。後日聞くと、最終で落選してしまったということで残念がっていましたね。高校を出た後は東京にある白百合女子大に。大学時代は演劇やミュージカルだけではなく、歌舞伎もよく見に行っていました」

 大手芸能事務所に所属するも、ミュージシャンのMVや映画にチョイ役として出演するのみで、目立った活動をすることはなかったようだ。そんな彼女のSNSには、2年前からトヨタ自動車の関係会社に勤務している旨の記述がある。トヨタといえば、香川は一時期「トヨタイムズ」編集長としてCMに出ていたことがあるが、これは偶然だろうか。

 Aさんの知人は、

「2年くらい前、俊子は“今はだいぶ年上の人と付き合っているんだ”と言っていました。去年の末、インスタグラムのストーリーズに病院の天井の写真を投稿していたので心配して連絡したら、“世田谷に引っ越した”“実は結婚したんだ”と返ってきました。相手が誰とは言っていませんでしたが、あの投稿は子供を産んだことをアピールするものだったのでしょう」

 東京・世田谷区には香川が暮らす自宅がある。

発表する機会を逸した

 千葉県内に住む、Aさんの祖母は次のように語る。

――Aさんはご結婚されて、お子さんも生まれた?

「そうそうそう」

――昨年末に生まれた?

「はい、そうです」

――生まれてすぐに抱っこしたんですか?

「そうですよね」

――香川さんはごあいさつに来られた?

「あ、そうそう。会ってはいるけども」

――生まれたお子さんは歌舞伎の世界に入る?

「分かんない」

 香川の所属事務所に取材を申し込んだところ、以下の回答が寄せられた。

「弊社所属の俳優、香川照之が昨年入籍し、一子をもうけましたこと、ご報告させていただきます。諸般の事情によりお知らせが遅れておりますが、お相手が一般の方ということもあり、これ以上の詳細を控えさせていただきます」

 再婚と男児の誕生。おめでたい話にもかかわらず現在まで公表しなかった背景には、現在、香川が置かれている状況と関係があるのかもしれない。

歌舞伎の演技を評価する声も

 銀座高級クラブのホステスに対する“性加害”トラブルが本誌(「週刊新潮」))報道で発覚したのは昨夏。クラブのママの髪の毛をわしづかみにしながら、満面の笑みを浮かべる写真は強烈なインパクトを世に与えた。

 その影響は甚大で、テレビやCMなどを次々降板。さらに今年5月に猿之助の事件が起こり、再婚・出産を発表する機会を逸してしまったのだろうか。

 ただし、新妻の支えあってのことなのか、猿之助事件以降の歌舞伎の演技に対しては、評価する声も聞かれる。

「梨園関係者の一部は中車さんを“まだまだ”と酷評しているようですが、私はある程度評価しています」

 と、先の水落氏。

「今年の『六月大歌舞伎』で、近松門左衛門の義太夫狂言『傾城反魂香(けいせいはんごんこう)』で又平という役を演じましたが、これが非常に良かったですね。のびのび演じておられました」

 先の上村氏もやはり「傾城反魂香」での演技を評価しており、

「俳優・香川照之としての才能・華には何の疑いもありませんが、その才能が歌舞伎の舞台にストレートに結びつかない部分が確かにある。しかし歌舞伎といえど、映画やドラマの仕事と通じるところは当然あるわけで、それが発揮できる役・演目であれば舞台で輝く役者さんなんだなと。それが見えた『傾城反魂香』でした」

舞台復帰を願う松竹

 一方、心中事件以来、歌舞伎の舞台から遠ざかっている猿之助は7月31日、勾留されていた原宿署から保釈された。スーツを身にまとい、集まった報道陣に一礼、原宿署の方向にも頭を下げてから迎えの車に乗り込んだ猿之助は、都内の有名病院に入院した。今後、父親の市川段四郎さん、母親の延子さんに対する自殺ほう助の罪で裁かれることになる。

「初公判は9月中旬から10月半ばくらいの間に開かれると思います」

 と、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士が見通しを語る。

「執行猶予は付くと思います。今回、極めてスピーディーに東京地裁が保釈を認めましたよね。保釈の流れとしては、まず1人の裁判官が保釈を決定。その後、検察側が不服のある場合は準抗告する。すると、今度は最初の裁判官とは別の、3人の裁判官の判断に委ねられることになります」

 猿之助のケースでは、その日のうちに準抗告が棄却された。

「この対応が、今後の刑事裁判の行方を占うことにもつながります。というのも、実刑が濃厚なケースだと、通常、簡単には保釈を認めないのです。即日で保釈が認められた猿之助被告の場合、それだけ実刑になる可能性が低い、つまり“執行猶予事案”と東京地裁がみていることがうかがえます」

 スポーツ紙記者によると、

「執行猶予付きの判決が下される可能性について報じられると、松竹は安堵していました。猶予期間が明けたあかつきには、あわよくば舞台復帰、それが無理でも裏方として歌舞伎に関わってほしい、との思いが松竹にはあるのです」

“出家したい”

 また、事件の影響で6月公開予定だった映画「劇場版『緊急取調室 THE FINAL』」が公開延期となっているが、

「執行猶予が付けば、撮り直しではなく、公開される可能性もあります」(同)

 ただし、繊細な性格で知られる猿之助が、今回のような事件を起こした上で舞台復帰できるかどうかは不透明。その上、

「猿之助は、原宿署に勾留されている間に香川照之や松竹の関係者と面会し、“出家したい”との言葉を漏らしたともいわれています。実際、彼は天台宗の敬虔(けいけん)な信徒で仏教への造詣が深く、比叡山延暦寺との縁もある。公判が終わったら、真っ先に延暦寺の関係者に今後のことを相談するのでは、とみられています」(前出・梨園関係者)

 猿之助が歌舞伎界を去れば、澤瀉屋の再建は香川と團子、そして新たな「男児」が担うことになるのか。

 市川猿之助によるスキャンダルは歌舞伎ファンのバイブルともいえる「かぶき手帖」にも飛び火。歌舞伎俳優のプロフィールや家系図をはじめ、演奏家や演出家、振付家の紹介ページが人気で、毎年売れ行きは順調だったが、発売中止に。今年は歌舞伎界にとって巻き返しの一年になるのだろうか。

デイリー新潮編集部