遠目に朝市通りの火災が見えた(チャンス@pyongkichi1212さん投稿の動画から)

写真拡大

石川県で発生した最大震度7の大地震(令和6年能登半島地震)で、輪島市河井町の観光名所「輪島朝市通り」で火災が発生し、報道によると、約200軒が燃えて焼け野原状態になった。

日本三大朝市の1つとして知られ、約1300年の歴史があるという。火災の様子は、X(旧ツイッター)上で動画投稿され、その惨状に嘆く声が相次いでいる。

姉夫婦とまだ連絡が取れないと危機感→一夜明け無事確認

朝市通り周辺の家々から、赤い炎が次々に噴き出している。

黒い煙が渦を巻き、時々閃光が走ると、爆発したような大きな炎の柱が上がる。

石川県の大地震で、2024年1月1日夜は、テレビニュースなどでこんな映像が繰り返し流れた。

輪島市内に親や姉、妹がいる東京在住の「チャンス」さん(@pyongkichi1212)は1日夜、母親が1人で暮らす実家が被災した様子を動画に投稿した。床に食器棚から落ちた皿などが散乱しており、同市で震度6強だった揺れが大きかったことが分かる。その後、輪島朝市通りから炎が上がる様子を遠目から撮った動画も投稿し、「もういい加減にして」とやり場のない怒りをぶつけた。

チャンスさんは、姉夫婦とまだ連絡が取れないと危機感を露わにして、「なんという元旦......」と嘆いた。翌2日朝になると、炎から白い煙が立ち上る夜空に、火の粉が不気味に舞っている様子の動画も投稿した。これは、友人が撮影したといい、「まだ家族とは連絡取れず。ただ無力感」とつぶやいた。

そして、この日午前9時30分過ぎになって、朝に輪島朝市通りを撮ったとみられる別の動画を投稿し、こう報告した。

「姉夫婦無事と妹より入電。とりあえずは一安心も親戚や友人の安否がまだ。これは妹が先ほど送ってくれた輪島朝市通りの様子です」

動画を見ると、通りは、一面焼け野原になり、所々で火がくすぶっていた。その後、「家族は皆無事です。私は東京で今回は帰省してません」と状況を説明した。

「今は道路が寸断されているので現地に行けません」

家族が被災した状況について、チャンスさんは1月2日、J-CASTニュースの取材に応じた。

その説明によると、チャンスさんの妹は地震当時、友人の家で新年のあいさつをしていて、大地震に遭遇した。母親は当時、1人で実家にいたが、近所の人と一緒に避難所となっている公民館に移動して無事だった。

姉夫婦については、携帯電話がずっとつながらなかったので、夜通し心配していた。しかし、2人がそこから高台に避難していたことが分かったとした。

安否が分からない人もいる友人は、家が全壊したり、半壊したりしたとの連絡が来たことも明らかにした。

そのうえで、チャンスさんは、こう訴えた。

「(全壊・半壊の家は)今ニュースで報道されているよりかなり数は多いと思います。現地はとにかく物資が全て不足している様です。報道をお願いします」

自身や家族の今後については未定だとして、「今は道路が寸断されているので現地に行けません」と心配を募らせている様子だった。

火災のあった輪島朝市通り付近では、同時に多くの家が倒壊しており、通り近くには、根元から倒れた7階建てとみられるビルもあった。

報道によると、通り付近は、道路が陥没するなどして消防車が近づけず、2日正午近くになって、やっと火災が鎮圧状態になった。ただ、生き埋めになった人もいると報じられ、自衛隊の支援も得て救助活動が進められている。

輪島朝市は、海産物や輪島塗の工芸品などが並ぶ名所で、4日には初市が予定されていた。朝市通りがある河井町には、輪島市出身の漫画家・永井豪さん(78)の作品フィギュアなどを展示する「永井豪記念館」や、NHK朝の連続テレビ小説「まれ」のロケセットなどを展示する「輪島ドラマ記念館」がある。地元紙「北國新聞」によると、両館とも今回の火災で全焼したという。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)