アニメ化もされた「ちいかわ」(公式サイトより)

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人気ウェブ漫画「ちいかわ」には度々、実在する企業の食品が登場してX(旧ツイッター)でトレンド入りするなど大きな話題を呼んでいる。2023年はどのような食べ物が注目を集めたのか。全国津々浦々のメーカーの反応とともに紹介する。

小田原の老舗「かまぼこは厚めに切った方が美味しいことを分かっていらっしゃる」

イラストレーター・ナガノさんが手がける「ちいかわ」は、同名の主人公と「ハチワレ」や「うさぎ」との生活を描いた作品だ。22年には朝の情報番組「めざましテレビ」(フジテレビ系)でアニメ放送が始まったほか、「日本キャラクター大賞」グランプリを受賞。23年も勢いは衰えず、東京スカイツリー、阪急電鉄、福岡ソフトバンクホークスなど多岐にわたるコラボ展開がされている。

作品がもたらす影響はほかにも。実在の食品が登場すると、Xではファンの間で「真似してみた」といった購入報告が多数投稿される状況にもなっており、「ナガノ先生、食品業界への影響力が強すぎる」「絵力があるから全部美味しそうに見える」との声が出ている。取り上げられたメーカーが反応することも多い。

まずは2月17日。グルメなキャラクター「くりまんじゅう」が、米菓「柿の種わさび」をクリームチーズ「Kiri」にディップする形で酒の肴にした。ファンが次々にまねするなか、「亀田の柿の種」公式Xは、「早速、やってみました!想像のナナメ上をいく美味しさでした!」と写真付きで報告している。

くりまんじゅうは19日にも、分厚く切ったかまぼこをワサビ醤油で食し、その様子に「鈴廣(すずひろ)...かな...?」と呟くハチワレ。投稿を受けて神奈川・小田原の老舗「鈴廣かまぼこ」はXで、「ぶあつめカマボコ!かまぼこは厚めに切った方が美味しいことを分かっていらっしゃる」と反応した。

カツカレー&貝汁の組み合わせで「資さんうどん」に注目

8月19日に登場したのは「カツカレーと貝汁」。疲労困憊したちいかわは、汁を口にして「ハァーッ...」と一息つき、料理を出したキャラ「島二郎」が「貝のツーンとした感じが...な!!」と声をかけている。この組み合わせは北九州発のうどんチェーン「資さんうどん」で実現できるとXで話題になり、資さんうどん公式Xも「カツカレーと貝汁、どちらもありますね」「反響がスゴい」と漫画を引用リポスト。

ただ、カツカレーは全店舗で提供しているものの、貝汁については一部店舗で扱いがないという。その後の投稿では、「ちいかわさん、ちいかわを愛する皆さまのお陰で、 島二郎さんセットが大人気のようです(笑)ありがとうございます」と伝えている。

11月6日には、物語のキーアイテムとして「しるこサンド」が使われた。あずき、リンゴジャム、ハチミツなどで出来たあんを挟んで焼いたビスケットだ。愛知県小牧市を本社とする「松永製菓」は引用リポストで反響の大きさに感謝しながら、下記のように投稿した。

「ついつい手が止まらなくなるしるこサンド...おやつ時には、牛乳などの飲み物と一緒に食べるのがオススメです ぜひお気に入りのドリンクと合わせてみてくださいね」

日本経済新聞が12月7日に報じたところによると、ちいかわの影響で松永製菓の通販サイトには1日で1か月分の注文が殺到した。24夏には39年ぶりとなる新工場が完成するという。

いなりもち、いなりあげもちに「カトキチ」も

ハチワレが「いなりもち」や「いなりあげもち」と呼ばれる食べ物に驚き、ちいかわに息を切らして紹介したのは12月11日。「あげの中にもち!!すっごい『新しさ』だったから...すぐにしたかったんだッ...『共有』ッ」とハチワレはいう。

いなりもちを販売する「アイリスオーヤマ」公式Xは名乗り出るとともに、「これにチーズを挟んだりうどんにのせて食べたりすると美味しいんですよね...」と投稿。一方、いなりあげもちを出している福岡・直方の老舗「もち吉」も、「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」「まさかの登場でさすがにびっくりしすぎました」と興奮。アクセスが集中し、サイトが一時つながりにくくなった。

さらに14日の漫画には冷凍うどんが登場し、ちいかわ達は合わせて「いなりあげもちうどん」として楽しんだ。うどんのブランド名は「カトキチ」と注釈が記されている。

商品を手がける冷凍食品メーカー「テーブルマーク」は、「ちいかわに、カトキチ冷凍うどんが!反響いっぱいで、ぼくもうれしい!いなりあげうどん、いいね 今日はこれに決まりだね」とXで喜んでいる。