中国の地方都市では、新築住宅の在庫が過去最大の水準に激増している。写真は不動産大手の碧桂園控股が江蘇省の三級都市で分譲した高層住宅(同社ウェブサイトより)

中国各地の都市で新築住宅の在庫が急増している。とりわけ目立つのが地方都市の増加幅の大きさだ。市場調査会社の中指研究院のデータによれば、「三級都市」や「四級都市」と呼ばれる地方都市の新築住宅の在庫消化期間は、10月末時点で26.3カ月と過去最長を記録した。

2023年の中国の住宅市場は、新型コロナウイルスの防疫対策が2022年末に緩和されたのをきっかけに、年初から春頃にかけて一時的に市況が上向いた。しかしその後は再び下降に転じ、月を追うごとに悪化している。

(訳注:中国の不動産統計では、北京、上海、広州、深圳の4大都市を「一級都市」、省都クラスの大都市を「二級都市」、比較的発展した地方都市を「三級都市」、その他の地方都市を「四級都市」と分類するのが一般的になっている)

大都市でも新築在庫が増加

中指研究院のデータによれば、新築住宅の在庫消化期間は8月以降、都市の規模の大小にかかわらず長期化している。7月末と10月末の数値を比較すると、一級都市は11カ月から12.7カ月に、二級都市は14.8カ月から17.7カ月にそれぞれ伸びた。

これに対し、三・四級都市の在庫消化期間は7月末の19.7カ月から10月末には26.3カ月に膨らみ、2年分を超えた。新築住宅の在庫消化期間に一律の適正水準はないが、中国の不動産業界では一般的に14カ月前後が妥当とされている。

現時点の新築在庫は、すでに一級都市を除いて妥当な水準を超過している。三・四級都市に関しては、仮に新築住宅の新規供給がストップしたとしても、既存の在庫を消化するのに2年以上を要する計算だ。


中国の地方都市の多くでは、新築住宅の売り出し価格を大幅に下げても買い手がつかない状況だ(写真はイメージ)

証券大手の安信証券は11月22日に発表した調査レポートのなかで、三・四級都市の不動産市場では住宅販売の成約件数と成約価格が同時に下がっていると指摘。大幅な値引き販売が常態化したにもかかわらず、多くの地方都市で取引が停滞していると分析した。

地方都市の11月の販売面積3割減

新築住宅の在庫が急増している主因は(消費者の先行き不安の高まりに伴う)需要の縮小であり、供給の増加ではない。中指研究院のデータによれば、2023年1月から11月までの期間に中国の100大都市で販売された新築住宅の月間平均面積は前年同期比5%減少し、近年の同じ期間と比較しても低水準にある。


本記事は「財新」の提供記事です

さらに11月単月のデータを見ると、住宅市場の惨状が一層際立つ。同月の100大都市の平均販売面積は直前の10月より8%、前年同月比では14%減少。三・四級都市に限れば、10月比で11%、前年同月比で32%もの落ち込みを記録した。

(財新記者:牛牧江曲)
※原文の配信は12月5日

(財新 Biz&Tech)