マイクロソフトの12.4型モバイルノートPC「Surface Laptop Go 3」(以下、Laptop Go 3)」は、Surfaceシリーズの中で携帯性重視のクラムシェル、12.4型モバイルノートという位置づけになります。

クラムシェルタイプの12.4型モバイルノートPC「Surface Laptop Go 3」

○持ち運びやすく人前で使っていて気分の上がるデザイン

Surface Laptopシリーズを振り返ると、2022年10月に15型と13.5型の2ラインを持つ「Surface Laptop 5」が発売され、Laptop Goの従来モデルである「Surface Laptop Go 2」との性能差が広がっていました。今回のLaptop Go 3はこの差を縮めるものとなり、ハードウェアのおもな強化ポイントはCPUの変更です。

Laptop Go 3は外に持ち出して人前で使うことを意識したエレガントなデザイン。スモークの効いたメタリックで、4つの正方形のロゴ部分だけが鏡面仕上げになっています。レビュー機の本体カラーはセージでした。緑系でありながら、光の加減でほのかに青っぽくも銀色っぽくも見える点がおしゃれです。

ロゴも含めてシンプルで飽きにくいデザイン

真横から見たところ。液晶画面の展開は約135°まで。ぺたりと開きはしませんが一人で使うぶんには問題ないでしょう

画面は12.4型、アスペクト比は3:2、解像度は1,536×1,024ドットと、フルHD(1,920×1,080ドット)と比べて少し縦方向に長い画面です。例えばWebブラウザで表示する縦方向の情報量が増え、使い勝手は良好。近年はこのアスペクト比3:2のノートPCが増えており、好評です。また、左右と上のベゼル幅は7mmで10点マルチタッチに対応します。

モバイルノートは本体サイズの関係でキーボードが窮屈な製品もありますが、Laptop Go 3は実測で約19mmのキーピッチを確保。Enterキーが細長いのがやや気になる程度で、タイピング感はまずまず。タイプ時に音が静かなのも気に入りました。スペースキーの左右の「A」と「あ」のキーは、「無変換」「変換」相当でそれぞれ英語と日本語を切り替えます。タッチパッドは広くて操作しやすく感じました。

フルサイズキーボードとタッチパッド

電源ボタンは指紋認証機能を兼ねています

モバイルノートで最も気になるのは重さというユーザーも多いでしょう。Laptop Go 3は本体の重さ1,130g、ACアダプタを合わせて1,300gちょっと。12.4型としては飛び抜けて軽くはないものの、重いというほどでもない、標準的な重さです。バッグに入れて持ち歩いてもそれほど気になりません。

重さの実測値は1,118gと、スペック値の1,130gを12g下回っていました

本体とACアダプタを合わせた重さは1,332g。ACアダプタの最大出力は65Wです

ACアダプタはコンパクトで携帯性は優秀

○負荷の大きな作業は本体に熱がたまりやすい

レビュー機のCPUは第12世代Intel Core i5-1235Uでした。省電力性能に優れたミドルクラスのCPUで、Pコアが2基、Eコアが8基の合計10コア構成。PGP(Processer Base Power)は15W、MTP(Maximum Turbo Power)は55Wです。従来モデルのLaptop Go 3では第11世代Intel Core i5-1135G7を採用しており、最新CPUに置き換えたことで性能強化を図ったといえます。

メモリは4GB/8GB(LPDDR4-4266)から、16GB(LPDDR5-5200)に倍増し、メモリクロックも向上。ストレージやグラフィックス周りは据え置きとなっていて、ディスプレイ性能も変化はありません。

CPU-Zで見たCPUの情報

GPU-Zで見たグラフィック情報

Surface Laptop Go 3(レビュー機)のおもな仕様は以下の通りです。

製品名:Surface Laptop Go 3

OS:Windows 11 Home

CPU:第12世代Intel Core i5-1235U

メモリ:16GB(LPDDR5-5200)

ストレージ:256GB SSD

光学ドライブ:なし

グラフィックス:Intel Iris Xe Graphics(CPU内蔵)

ディスプレイ:12.4型PixelSenseタッチスクリーン(1,536×1,024ドット、縦横比3:2、148ppi)、10ポイントマルチタッチ、Corning Gorilla Glass 3

カメラ:720p HDフロントカメラ

インタフェース:USB-C 3.2×1、USB-A×1、3.5mmヘッドホンジャック、Surface Connectポート

ネットワーク:Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1

セキュリティ:ファームウェアTPM 2.0、Windows Hello、指紋リーダー付き電源ボタン

バッテリー:41WH、バッテリー駆動時間は通常用で最大15時間

サイズ/重さ:幅278×奥行き206×高さ15.7mm/約1,130g

カラー:セージ

Laptop Go 3を使っていて気になったのは大きく2点。専用の電源ポート(Surface Connectポート)が用意されていて、ケーブルを本体後方へ流す向きでしか接続できないため、はっきり言って取り回しにくいこと。それと本体底面が割とすぐに熱を持ち、負荷の高い作業をしていると不安になることです。

インタフェース類は、USB 3.1 Type-A、USB 3.2 Type-C(DisplayPort、充電)、ヘッドホン端子のみとかなり絞られています。Type-C端子は充電にも使えますが1つしかないので、ほかの周辺機器を使うときは排他利用です。小型のUSBハブを携帯しておくとよいでしょう。

右側面の奥に電源ポート(Surface Connectポート)を配置

左側面にはUSB 3.1 Type-A、USB 3.2 Type-C(DisplayPort、充電)、ヘッドホン端子のみ

○ベンチマーク

CPUとグラフィック周りのベンチマークテストですが、レビュー機固有の問題だったのか全体的に結果が安定せず、まれに極端に低いスコアが出ることがありました。よって各テストを3回〜10回ほど計測し、中間値を掲載しています。

PCMark 10 : 4,165

PCMark 10 Essential : 8,143

PCMark 10 Productivity : 5,290

PCMark 10 Digital Content Creation : 4,554

CINEBENCH 2024 Multi : 299

CINEBENCH 2024 Single : 69

CINEBENCH R23 Multi : 4,825

CINEBENCH R23 Single : 819

CrystalDiskMark 8.0.4 x64 Seq1M Q8T1 Read : 3,502.07

CrystalDiskMark 8.0.4 x64 Seq1M Q8T1 Write : 2,525.32

3DMark Night Raid : 10,156

FFXIV:漆黒のヴィランズ(1,280×720ドット/最高品質): 6,135「やや快適」

FFXIV:漆黒のヴィランズ(1,280×720ドット/最高品質)は「6135」のスコアで「やや快適」でした

安定しない原因はよく分からず、あくまで印象としては、ベンチマークを繰り返して本体が熱を持ったまま計測すると、数値のブレが大きくなったように感じられました。かなり慎重に実行しましたが、結果は正直いまひとつ。なにかボトルネックになっている場所がありそうです。個体の問題かもしれず、機会があれば追試したいところです。

バッテリー駆動時間に関しては、電力消費の大きいYouTubeの4K動画を連続再生してみました。途中から本体がかなり熱くなりましたが、滑らかな再生を維持したまま、約8時間で電源が落ちました。

少々厳しい部分も見受けられましたが、高額になりがちなモバイルノートの中で実売15万円を切る価格帯でこれだけのパフォーマンスを持っているのは魅力的です。気分を高めてくれるシャープなデザインも個人的にはとても好み。携帯性重視で手ごろな価格のモバイルノートを探している人には、有力な選択肢になるでしょう。

著者 : 諸山泰三 もろやまたいぞう PC雑誌の編集者としてキャリアをスタートし、家電流通専門誌の編集や家電のフリーペーパーの編集長を経験。現在はPCやIT系から家電の記事まで幅広くカバーするフリーランスのライター兼編集者として東奔西走する。地元である豊島区大塚近辺でローカルメディアの活動にも関わり出した。好きなお酒にドクターストップが掛かり、血圧を下げるべく、体質改善に努める日々を送る。 この著者の記事一覧はこちら