ひろゆき「会議の発言が苦手な人が激変するコツ」
言わずに後悔したり、後から議論を蒸し返したりするくらいなら、その場で口を挟んだほうがいいのです(『ひろゆきさん、そこまで強く出られない自分に 負けない話し方を教えてください』より)
会議で裏付けの甘い意見ばかり通る。口がうまい人ばかりが重宝される。意見を聞いてもらえない。あるいは話し合いにすら入れない。不用意な発言で周りが静まり返る――。
うまく意見を言えないという悩みを感じている人に向けて、「論破王」としても知られるひろゆきさんが指南する「タイプ別 相手に負けない方法」。新刊『ひろゆきさん、そこまで強く出られない自分に 負けない話し方を教えてください』より一部抜粋、再構成して4回連載でお届けします。第2回は【慎重・考えすぎタイプ】の攻略法。
悩むぐらいなら慎重に構えてばかりではダメ
【慎重・考えすぎタイプ】慎重でしっかり調べてからでないと動けない。自分の発言内容を吟味しすぎて、相手の話を聞いているうちに自分の発言機会を失うことも。
自分が言っていることが正しいかどうか慎重になり、話すタイミングを逸してしまう。「口がうまい人」にひそかに不満を持っている。
会議で反対意見を持っているけれど、その根拠がこれでよいのかなどと悩んでいるうちに話が進んで、結局何も言えないまま決定してしまう──ということが起きやすいのが、このタイプです。
こういうのは、生き方の問題になるんです。もちろん、発言することを我慢したほうが得だと思うのなら我慢し続けたほうがいいでしょうし、慎重に生きることをモットーにしているのであれば、それはそれで否定はしません。
でも、後になって発言できなかったことをウジウジ悩むぐらいだったら、慎重に構えてばかりいては、ダメです。
言わずに後悔したり、後から議論を蒸し返したりするくらいなら、その場で口を挟んだほうがいいと思います。
特に、すでに決まってしまった後で結論を覆そうとすると、反発も大きくなるため相当なエネルギーが必要になります。そもそもそんなことをして文句を言われないのは、それなりのポジションの人だけだと思います。
このタイプの人には、「伏線を張る」というやり方を紹介しておきます。
会話の中で引っかかりを感じたとしても、その段階ではまだ自分が納得できる意見を口にできない場合には、無理にそこで最終意見を出す必要はありません。その時点では、「なんか引っかかるんだけど、言い方が難しいので、ちょっと考えさせてください」などと、とりあえず振りを入れておくだけでいいんです。要は、伏線を張っておくのですね。
その後、ほかの話が進行している最中にスマホでググったり、ChatGPTに聞いたりして考えがまとまったら、「すみません、先ほどの話をしていいですか」などと切り出して、考えを述べればいいのです。
時間稼ぎだけではない効果が得られる
この「伏線を張る」というやり方には、たんに時間稼ぎの効果があるだけではありません。心理学に「ツァイガルニク効果」と呼ばれるものがあるのですが、人には続きを知りたくて仕方がなくなる心理があり、中断されたものへの記憶は鮮明になりやすいということが実証されています。
テレビ番組でよく「続きはCMの後で」と出てくるのも「ツァイガルニク効果」の一種です。番組の気になるところでCMに入ると視聴者は続きが気になり、チャンネルを変えにくくなるわけです。
会議中も「少し考えてみます。後で発言させてください」と前もって伏線を張っておくことで、「何の話なんだろう?」とみんなの興味をひき、いざ話し出す時に聞いてもらいやすい雰囲気が作れます。そして、「調べてみたんですけど、こういうデータがあるんですよ」と発言すると、「え? どれどれ」と聞いてもらえるのです。
また、このやり方であれば、新たに調べたデータを用いて議題の方向をひっくり返すということをやっても、「この人の話は、ちゃんと聞いたほうがいい」という評価になったりするんです。結果、その後、発言力が増したりします。
具体例をビフォーアフターで考えてみましょう。
<Before:ここがダメ>
(『ひろゆきさん、そこまで強く出られない自分に 負けない話し方を教えてください』より)
A:この件については、こういった調査結果があるので、こんな感じでこう進めていきたいと思いまして……。
B:(あれ、そのデータは随分前のデータだから、ちょっと違和感があるな。最新のデータはどこで見たんだっけ?)
(※ここでさっさと発言しよう)
部長:いいじゃないか。スケジュールについては、どう考えているのかな?
A:制作部にも話しておりまして、もし部長にこのプロジェクトの了承をいただけるのであれば、1カ月後には進められるだろう、とのことでした。
B:(ん? 最近の災害で資材の調達が難しいって聞いてるけど、大丈夫かな。そんなにタイトなスケジュールを組んで大きなトラブルにつながるんじゃ……。いや、考えすぎか?)
(※これも気づいた時に話そう)
部長:じゃあ、連携して進めてくれ。(会議室から出ていく)
A:ありがとうございました。
B:ちょっと待ってよ、気になる点がいくつかあるんだけど……。
(※ここまできて覆すのは難しい)
A:もう部長がいいって言ったんだからいいでしょ。これで進めるから!
<After:こう変わった!>
(『ひろゆきさん、そこまで強く出られない自分に 負けない話し方を教えてください』より)
A:この件については、こういった調査結果があるので、こんな感じでこう進めていきたいと思いまして……。
B:(あれ、そのデータは随分前のデータだから、ちょっと違和感があるな。最新のデータどこだっけ?)
(※気づいたら発言の準備!)
部長:いいじゃないか。
B:あの、新しいデータだと状況が変わっている気がするので、ちょっと確認させていただいてもいいですか?
(※とにかく違和感があることを伝える)
部長:もちろん。議論は進めていてもいいかな。
(※この間検索して調べる)
スケジュールについては、どう考えているのかな?
A:制作部にも話しておりまして、もし部長にこのプロジェクトの了承をいただけるのであれば、1か月後には進められるだろう、とのことでした。
部長:そうか、ではすぐ進められそうだね。
気になることは確認
B:すみません。先ほどのデータの件です。
(※わかったらタイミングを見て発言しよう)
Aさんの出してきたデータは2010年のものでしたが、最新のデータを見ると、ユーザーの購買行動が変わっておりまして、よりオンラインでの購買が増えていると思われます。すると、Aさんのプランについては見直しが必要かもしれません。
部長:確かにそうだな。
B:また、最近の災害で資材の調達が難しいと、調達部の山田課長から聞きました。大事なプロジェクトになると思いますので、やみくもに急ぐのではなく、調達部とも連携をとり、慎重を期したスケジュールを一度出してもらったほうがよいのではないでしょうか?
(※気になることは確認。誰の話なのかも明確にする)
A:それについては調達部とも話し合ったうえでのスケジュールだから大丈夫です。
B:であれば私としては問題ございません。
(※問題がなければそれでかまわない。懸念点は伝えておくことが大事)
部長:まあ、間違いの起こらない体制はとってもらいたいね。基本的には了承をするつもりだけど、一度2人で話し合って、再度計画書を見せてもらえるかな。
(ひろゆき : 元2ちゃんねる管理人)