星野リゾート「1250円モーニング」の超正直な感想

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星野リゾートOMO5 東京大塚の1250円モーニング(筆者撮影)/配信先サイトでは画像をすべて見られない可能性があります。その場合は、本サイト(東洋経済オンライン)でご覧ください

喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。

そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第56回となる今回、訪れたのは星野リゾートが運営する都市型ホテル「OMO5 東京大塚」です。

ひそかに飲食チェーンがしのぎを削っているジャンル、それがモーニングです。集客の弱い時間帯である午前中の売り上げを強化すべく、朝の数時間だけ提供される限定メニューの数々は、コスパ抜群かつ店の特色が強く表れ、どれも魅力にあふれています。

12月は家族や友達、恋人など、誰かと一緒に行きたいモーニングをピックアップ。今回はちょっと変わり種。星野リゾートが運営する都市型ホテル、「OMO5 東京大塚(おもふぁいぶ とうきょうおおつか)」の、朝メニューをご紹介します。

税込1250円という、ホテルモーニングとしてはリーズナブルな価格で、星野リゾートのムードを楽しみつつ、おいしい食事を味わえる。なんとも魅力的な朝時間を過ごしてきました。

星野リゾートの街ナカホテルOMO5 東京大塚とは?


星野リゾートの街ナカホテルOMO。1〜7までのランク付けがされている(筆者撮影)

高級ホテルや旅館を多数運営する星野リゾートが、2018年から新業態として開始したのが、街ナカホテル「OMO(オモ)」です。現在日本に17施設を展開し、北海道から沖縄まで観光旅行のハブとして機能しています。

「OMO」の末尾には1から7までの数字がついており、数字が大きくなるほどにグレードが上がります。今回ご紹介する東京大塚は、「OMO5」。星野リゾート的にはベーシックホテルの扱いですが、4つ星の評価を得ています。


オーダーカウンター。グレーと木目を基調とした内装は、温かみもありつつスタイリッシュです(筆者撮影)

モーニングを食べるカフェスペースは、受付やロビーとひとつながりで、開放感のある空間となっています。大きな窓からは太陽が射し込み、モルタルの床とグレーの壁紙に、温かみのあるブラウンの木目をかけあわせた、現代風のインテリアは、しゃちこばっていないのに安っぽくもなく、おしゃれだけど居心地は良好です。

壁にはポップな近隣地図が張り出されていたり、ホテルに隣接する都電荒川線の路面電車をモチーフにした、駅看板や吊り革、車掌帽などがディスプレイされていました。旅のテンションを盛り上げる遊び心も兼ね備えていて、まるでホテル自体が観光スポット。

グレードによってレベル感が大きく変わることもあり、ネット上では否定的な声もチラホラ聞く星野リゾートですが、筆者としては「ただのホテルで終わらせないあたり、さすが星野リゾート!」と唸ってしまう演出でした。


ロビースペースは、駅看板と吊り革で非日常感とローカル感を演出(筆者撮影)

OMO5 東京大塚のモーニングメニューはリゾットorアメリカンブレックファースト

「OMO5 東京大塚」のモーニングメニューの販売時間は朝7時から10時30分までです。


OMO5 東京大塚の朝メニューはアメリカンブレックファーストとリゾット(筆者撮影)

メニューは7種類。「アメリカンブレックファースト」と、「OMOrning(オモーニング)リゾット」で、全てにドリンクバーが付きます。

・アメリカンブレックファースト 税込1250円
・OMOrningリゾット チーズ卵 税込1250円
・OMOrningリゾット トマト海老 税込1250円
・OMOrningリゾット 生ハムジェノベーゼ 税込1250円
・OMOrningリゾット かぼちゃリコッタ 税込1250円
・OMOrningリゾット 鮭いくら 税込1250円
・OMOrningリゾット 深川あさり 税込1250円

ドリンクバーはホットアイス共に4種類ずつ。


(筆者撮影)

・ホットコーヒー
・カフェオレ
・ハーブティー
・緑茶deアールグレイ(ホット)
・アイスコーヒー
・緑茶deアールグレイ(アイス)
・アセロラ
・ゆずはちみつ

ドリンクバーのセレクトにも独特のセンスが発揮されていて、こういう小さなこだわりの積み重ねが「星野リゾートっぽさ」を作るのかもしれません。

おしゃれな艶消しのフードボウルは、メラミン皿だったり、廊下はよくみるとタイル柄のフロアシートを使用していたりと、ホテルニューオータニ等のモーニングにも足を運んでいる筆者としては、じっくり見ると「そんなにコストかかってないかもなぁ」と感じたりもしたのですが、じっくり見ないと気づきません(寝ぼけ眼の朝ですしネ)。


OMOrningリゾット かぼちゃリコッタ。サラダのココットのみ陶器製(筆者撮影)

全部にこだわっていたらコストがかかって仕方がない。「お金をかける部分とケチる部分のメリハリをつけて、コストカットした部分も、センスよく安っぽく見えないものを探すなど、こだわりが詰まっているあたりが、今の星野リゾートの隆盛の礎になっているのかなぁ」と、なかなか考えさせられます。

5種類のパンがバスケットにぎっしりのアメリカンブレックファースト

お待たせしました。前置きが長くなってしまいましたが、ここからが「OMO5 東京大塚」の朝食メニューのご紹介となります。今回は「アメリカンブレックファースト」、税込1250円をオーダーしました。


バスケットにパンが5個詰まった、OMO5 東京大塚のアメリカンブレックファースト(筆者撮影)

セット内容は以下。

・5種類のパン
・厚切りベーコン
・ソーセージ
・スクランブルエッグ
・サラダ
・スープ
・ドリンクバー

5種類のパンはメニューには内容の記載がないため、変更される可能性があるのですが、ハーフカットの食パン、ミニ・パンオショコラ、ミニ・メロンパン、ミニ・白パンのクロワッサン、だるま型のテーブルロールでした。

定番モーニングだけどちょっとスペシャル


パンだけでお腹いっぱいになりそうな、ボリューミーなバスケット(筆者撮影)

まずは見た目のインパクトがすごい。ひと目見て、バスケットにぎっしりどころか、ぎちぎちに詰め込まれたパンに圧倒されます。パンが5つも入っているという特別感は、税込1250円という安くはない価格であっても、気持ちが昂りすぎて「安い!」と感じてしまうほど。

そして、パン以外もスペシャルです。1cmはあろうかという厚切りのベーコンは、外周にこんがりと焼き色が付き、表面は油でツヤツヤと輝いています。口に含むと、焼き目は香ばしくて、噛むほどにジューシー。朝ごはんの定番のベーコンは薄切りと相場が決まっていますが、こんな豪華なベーコンならいつでも大歓迎です。


こんがりジューシーな厚切りベーコンと、粗挽きソーセージ(筆者撮影)

鮮やかな黄色が目を惹くスクランブルエッグも、ふわふわとろりの半熟具合は、弱火でじっくり丁寧に調理されたからこそ。サラダも定番のレタスやキャベツではありません。ほろ苦いベビーリーフと紫キャベツの甘酸っぱいラペに、ホクホク甘いひよこ豆を組み合わせてあり、さりげなくも洗練されていて、味はちゃんとおいしく、見た目は格段にかわいい。


ココットに入ったサラダは、いろどりも鮮やかで、見た目も愛らしい(筆者撮影)

隣のテーブル席にはインバウンドでやってきた、若い外国人のカップル。奥のカウンター席ではマックブックを開いて作業する、ノマド青年。なんだか絵に描いたようなベタなシチュエーションといえば、それまでですが、ドリンクで温かいハーブティーを飲めば、おしゃれ気分は絶頂に達します。

気分は勝手に「冬のパン祭り」…を満喫

「これが星野リゾートや! これがOMOや!」と浸りながら、パンをむさぼれば、「大塚、OMOのパン祭り」というワードが頭をよぎり、「ヤマザキ、春のパン祭り」のCMメロディーで脳内ループします。


厚切りパンに、厚切りベーコンとスクランブルエッグを載せてオープンサンドに(筆者撮影)

ハーフカットの食パンにいたっては、厚切りと定評のある「コメダ珈琲店」のモーニングで提供される食パンよりも厚切りと見受けます。これだけでもけっこうなボリュームなのに、ミニパンがあと4つもあるというのは、パン好きの筆者にとって、幸せすぎる拷問です。

最初は「食べ切れるかな?」と少し不安でしたが、パンがどれもおいしくて、スルスルと食べ切ってしまいました。トーストはもとより菓子パンにいたるまで軽く温めてあるので、頬張ると口のなかで香りが引き立ちます。


バスケットにはオリジナルロゴのグラシンペーパー。小粋な演出にグッときます(筆者撮影)

白パンやテーブルロールは水分多めのしっとりとした生地で、甘みと旨みをより感じますし、パンオショコラはバターの香りとサクサク食感とチョコレートの軽やかな三重奏を楽しめます。メロンパンは表面のクッキー生地の中からメロン香料の香りがふわり。

食パンはサックリ、ザクザクとしたイギリスパンで、小麦の味が濃厚です。先だって触れましたが、とにかく大きいので、バターといちごジャムを塗ったり、スクランブルエッグとベーコンを載せてオープンサンドにしたり、ちぎってスープにつけてふやかして食べたりと、あれこれアレンジを楽しみながらの完食です。


ミニサイズのパンと、玉ねぎの甘みたっぷりのコンソメスープ(筆者撮影)

OMO5 東京大塚は居心地極上の大塚の穴場


広く開いた窓は日当たり良好。4階ながら線路沿いで見晴らしも抜群です(筆者撮影)

筆者が「OMO5 東京大塚」に訪れたのは、12月の平日の朝9時半。最初は、朝食を食べる宿泊客や、チェックアウトで賑わう、多国籍でざわざわした空間でしたが、10時を過ぎたあたりから、みんな蜘蛛の子を散らすように、飛び出していきました。

カフェスペースの利用客もまばらになり、チェックインカウンターも、オーダーカウンターも無人になり、おしゃれなホテルのカフェブースが、ほぼ貸切状態に。宿泊客でなくても「OMO5 東京大塚」のカフェスペースが利用できることは、まだ知られていないようで、居心地極上のモーニングの穴場を見つけた気分です。


木製のパーツが、呼び出しの番号札がわりでした。コロンとかわいい(筆者撮影)

パンを5個も食べてお腹いっぱいになった状態で、ふんわりと幸せな気分に浸りながら、ゆっくりと時間を過ごせば、連れ合いとのおしゃべりもはずみます。大きな窓からは朝日が射し込み、眼下には路面電車が行き交い、なんとも贅沢な時間がそこにはありました。


壁に描かれたポップな街の地図。おすすめのお店や施設が紹介されています(筆者撮影)

編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。


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(大木奈 ハル子 : ブロガー・ライター)