(漫画:©︎三田紀房/コルク)

記憶力や論理的思考力・説明力、抽象的な思考能力など、「頭がいい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があり、後天的に獲得している能力は少ないと考える人が多いのではないでしょうか。

その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当の西岡氏は、小学校、中学校では成績が振るわず、高校入学時に東大に合格するなんて誰も思っていなかったような人が、一念発起して勉強し、偏差値を一気に上げて合格するという「リアルドラゴン桜」な実例を集めて全国いろんな学校に教育実践を行う「チームドラゴン桜」を作っています。

そこで集まった知見を基に、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載(毎週火曜日配信)。連載を再構成し、加筆修正を加えた新刊『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』が、発売後すぐに3万部のベストセラーとなっています。第94回は子どもの自己肯定感が低くなってしまう言葉について解説します。

最近の親御さんは、自分の子どもたちに、どのようなことを期待している場合が多いのでしょうか?
最近私たちがインビザライン・ジャパン株式会社と協力して実施したアンケートでは、次のような結果が出てきました。



※外部配信先では図表・漫画を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください


(引用:カルペディア

親御さんが学校教育に期待することの第1位は「自信をもてるように、明るく前向きな思考(自己肯定感)を身につけられるようにしてほしい」となっています。


自己肯定感がない子どもたち


「個性や独自性」・「思考力や課題解決能力」よりも、「自信や自己肯定感」が上位にきているわけですね。

でも、これらの親御さんの願いに反して、最近の子どもたちの「自信や自己肯定感」は、どんどん減ってしまっていると思います。なぜなら、多くのご家庭が知らず知らずのうちに「自信や自己肯定感」をなくす教育をしてしまっているからです。


今回はこれについてお話ししたいと思います。

まず、こちらの『ドラゴン桜』の漫画をご覧ください。これは、生徒がテストでいい点を取ったことに対して、桜木先生がほかの先生たちにその秘訣をお話ししているところです。





(漫画:©︎三田紀房/コルク)





(漫画:©︎三田紀房/コルク)





(漫画:©︎三田紀房/コルク)

子どもに対して、「君ならできる!」という予言を本人にも周りにも言い続けたほうが、その子の自己肯定感が上がり、実際にその予言通りになる確率が上がる、ということですね。

これに関して、1つ勘違いしないでほしいのは、「その子が成功・達成できそうなことに関して予言をする」のと、「その子が成功・達成できるかどうかわからない、微妙なラインのことに関して予言をする」のとでは、天と地ほどの差があるということです。

多くの人は、例えば「私の息子は、この前英検準2級を取ったから、今度は2級が取れるだろう」というように、できそうなことに関して予言をします。「もしできなかったら、子どもが傷付くから」と考えて、その子が成功・達成する確率がかなり高いと思うことしか口にしない傾向があります。

でもこれを繰り返していても、子どもの自信や自己肯定感は向上しません。


みなさんも自分自身に置き換えて考えてほしいのですが、自信や自己肯定感は、「自分でも成功できるか・達成できるかわからないような、大きな壁」を超えたときにこそ、得られるものではないでしょうか?

「これはできるよね」と自分も周りも考えている、当たり前にできることや簡単に達成できることが達成できたところで、あまり自信や自己肯定感にはつながらないのです。

むしろ、この言葉は自信や自己肯定感をなくしてしまいます。親が確率が高いと思っていることが達成できなかったとき、「なんでこんなこともできないんだ」「自分はダメなやつだ」と思ってしまうからです。

達成できるかわからないことをあえて言う

子どもに言うのであれば、「その子が成功・達成できるかどうかわからない、微妙なラインのことに関して予言をする」必要があるのです。

「私の息子は、英語が得意だから、きっといつか英検1級を取って、将来は海外の人ともなんの気遅れもなく話せるはずだ」と、子どもが小さいときから言っておくのです。

昔、子どもに対して将来を期待するせりふとして、「末は博士か大臣か」というものがありました。今その言葉をあまり聞かなくなったのは、将来のことに関してしっかり考えて、あまり子どもに失敗させたくないという親御さんの気持ちの現れかもしれません。

でも、これはいい言葉だと思うんですよね。「末」なんてくらい遠い未来の話でも、予言してしまっていいのではないでしょうか。

実際、東大生たちに話を聞くと、小さいときから「お前は東大に行けるかもな」とぽろっと親御さんがいっていたのを覚えていて東大に合格したという人も少なくありません。


もしみなさんが自信や自己肯定感を持った子どもになってほしいと願うのであれば、ぜひ、未来のことに対してなんでもいいので、「君ならできる!」と言ってみてください。

(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)