(漫画:©︎三田紀房/コルク)

記憶力や論理的思考力・説明力、抽象的な思考能力など、「頭がいい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があり、後天的に獲得している能力は少ないと考える人が多いのではないでしょうか。

その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当の西岡氏は、小学校、中学校では成績が振るわず、高校入学時に東大に合格するなんて誰も思っていなかったような人が、一念発起して勉強し、偏差値を一気に上げて合格するという「リアルドラゴン桜」な実例を集めて全国いろんな学校に教育実践を行う「チームドラゴン桜」を作っています。

そこで集まった知見を基に、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載(毎週火曜日配信)。連載を再構成し、加筆修正を加えた新刊『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』が、発売後すぐに3万部のベストセラーとなっています。第93回は東大医学部卒で、卒業後も過去3回の共通テストを受験会場で解いている宇佐見天彗さんに、受験本番前の心構えをお伺いしました。

過去3回受験会場で共通テストを解く


西岡:大学入学共通テストが1月に迫り、多くの受験生が最後の追い込みをしているシーズン。今回はそんな中で、30万人以上のチャンネル登録者がいて、数多くの受験生が観ている教育YouTubeチャンネル『PASSLABO』のリーダーの宇佐見天彗さんにお話を伺おうと思います。

宇佐見天彗さんは、日曜劇場『ドラゴン桜』の東大監修の1人で、東大医学部卒、卒業後も過去3回の共通テストをすべて受験会場で受験している猛者です。よろしくお願いします。

宇佐見:よろしくお願いします。

西岡:今回は『共通テストに向けた心構え』ということでお話を伺いたいと思いますが、実際、過去3回の共通テストをすべて受験会場で受験してみて、どのような所感をお持ちですか?

宇佐見:そうですね、やっぱりセンター試験のときとは全然違うな、と思うところが多いです。

問題の分量が多く、センター試験のときよりも難しく作られています。特に2022年度の試験では、数学が非常に難しく、平均点が100点満点中30点台まで落ち込みました(数学A)。あのときの試験会場の雰囲気は、とても悲壮感が漂っていましたね。『今までのどの過去問(センター試験・共通テスト合わせて)よりも難しい』と多くの人が考えたのだと思います。

西岡:今年で4回目の試験ですが、今年も、例年よりも難しい、なんだったら『今までで一番難しい試験』になる可能性も十分あるということですね。

宇佐見:その可能性はあるかと。あまり世間一般的には騒がれてはいませんが、去年の共通テストの英語リーディングの平均点は53.81点とかなり低かったです。

センター試験のときは200点満点でしたが、平均点が55%(110点)を切る年はほとんどありませんでした。こう考えると、やはり毎年1科目は、『今までで一番難しい試験』になる可能性があると考えられるかもしれません。

西岡:2021年は数学、2022年は英語ときていますから、2023年は国語が難しいかもしれませんね。


宇佐見:その読みは若干短絡的かもしれませんが、可能性はあると思いますよ。

自分のルールを決めることが大切

西岡:共通テストで点数を取るうえで、試験前にやっておくべきことは何だと思いますか?

宇佐見:やっぱり、自分のルールを決めておくことだと思います。例えば、一度選んだ選択肢を見直したときに、『なんだかやっぱり間違っていそうだ、こっちの選択肢が正しいんじゃないか』と考えたとします。

そういうとき、はじめに選んだほうと2回目に選んだほう、どちらを選ぶのか、その場で選択するのは判断力が求められます。ですが、共通テストというのは時間との戦いであり、1分1秒で5点10点が変わってしまうんです。

西岡:迷っている時間が長いとダメなんですね。

宇佐見:その分、試験で不合格になる確率が上がってしまいます。『迷ったら2回目に選んだほうを信じる』とか、そういう迷ったときのルールをあらかじめ決めておくというのが重要だと思いますね。

西岡:これに関しては『ドラゴン桜』の漫画の中でも触れられていますね。


※外部配信先では漫画を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください





(漫画:©︎三田紀房/コルク)

西岡:この漫画でも描かれている通り、あらかじめルールを決めておく、というのは大切かもしれませんね。ある意味、機械的に判断をくだせる状態のほうが、合格率は上がりそうです。

本番と同じリズムの生活を心がける

宇佐見:また、試験本番と同じリズムで生活する経験をするのも大事です。共通テストの時間割は、社会の次に国語、その次は英語となっています。

このリズムで試験問題を解く習慣がある人のほうが合格率は上がると思います。普段の練習から、試験のリズムに身体を合わせておく必要があります。例えば、私たちは共通テスト直前にYouTube LIVEで、本番と同じ時間割で、Z会から発売されている実戦模試の問題を解くという取り組みをしています。

西岡:共通テスト本番の流れに慣れることができるわけですね。よく、昼夜逆転している人は落ちやすい、と言いますが、試験本番が午前中から始まるため、夜型の生活をしている人は朝だと実力を発揮しづらい、ということも理由の1つだと考えています。朝起きてからの流れも、同じ日を作って、リハーサルをするのはとても有効な手段だと言えそうですね。

(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)