天の川銀河中心の密度の高い領域、50光年の幅をウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラが撮影
Image: NASA, ESA, CSA, STScI, S. Crowe (UVA)

天の川銀河の中心部には超大質量ブラックホール、高温ガスの雲、そして宇宙の大部分の起源を知る助けとなる巨星など珍しい天体の数々が存在しています。

この混沌とした領域を、科学者たちはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を使って異なる波長で観測。銀河系中心部の一角をかつてないほど詳細に捉えたキラキラと輝く画像からは、新たな特徴が明らかになりました。

いて座Cという領域

JWSTの最新画像は、超大質量ブラックホール「いて座A*」の300光年先にある星形成領域「いて座C(Sgr C)」を含む天の川銀河の密集した中心の一区画を撮影したショット。

天の川銀河の中心と地球との距離は2万5000光年ほどと、厳しい環境での星形成を観測するには十分な近さになります。

シャーロッツビルにあるバージニア大学の学部生で、観測チームの主任研究員Samuel Crowe氏はリリースの中でこうコメントしています。

「これまでこの領域の赤外線データでは、ウェッブで得られる解像度と感度水準のものはなかったので、今回初めて見る特徴がたくさんあります」

Image: NASA, ESA, CSA, STScI, S. Crowe (UVA)

なんとも煌びやかな天の川銀河中心の構造を見ていきましょう。

観測された特徴や構造

幅が50光年の領域には、推定50万個の星々が存在しています。その中には赤ちゃん星、すなわち原始星(まだ形成中で質量が増加していく星のこと)の星団があり、暗黒雲の中からかがり火のごとく輝くアウトフロー(ガスの流れ)を生み出しているとのこと。

この星団の中央部には、質量が太陽の30倍もある巨大な原始星があります。

原始星たちは雲から生まれ、そのうち周りの成長した星々に加わります。

原始星が形成されつつあるこの大きな雲はとても密度が高く、後ろの星からの光が遮られてしまっています。そのため実際よりも密度が低いように見えますが、画像の範囲内で最も密集した領域になるそう。小さな暗黒雲も、このカオス状態の中でぽつんと穴のように散らばっています。

シアン色の部分は、暗黒雲をぐるりと囲い込む電離水素の大規模な放射で、幅は25光年に及びます。NASAいわく、電離水素は若い巨星から放出されたエネルギー光子による可能性もありますが、これほど広大な領域は珍しいので調べる必要があるそう。

この画像には別の不思議な特徴、電離水素の中でそれぞれ異なる方向を向いている針のような構造も写っていました。

「銀河中心部は密集していて無秩序な場所です。星を形成しつつある荒れ狂っていて磁気を帯びたガス雲があり、やがて流れ出る風、ジェット、放射は周囲のガスに影響を及ぼします」と、アンダルシア天体物理学研究所でこのプロジェクトの共同研究者であるRubén Fedriani氏。

「ウェッブはこの厳しい環境についてのデータをたくさん与えてくれましたが、私たちはまだ調べ始めたばかりなのです」

と、リリースの中で述べていました。

Source: NASA