ヘルシンキ市内の土産屋の前に置かれていたトナカイの剥製(撮影:佐谷恭)

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ひと足早く紅葉の季節を迎えたフィンランド・ヘルシンキを訪れた。日本から直行便で9時間以内で行ける同地は、"日本から一番近いヨーロッパ"だ。しかし、あまり知られていない場所でもある。遅めの夏休みとして、ふらりと出かけた際の体験をいくつか記してみようと思う。

 旅の醍醐味といえば、まず食べ物。フィンランド料理を具体的にイメージできる人は少ないだろうが、フランスのジャック・シラク大統領が「イギリス料理はフィンランド料理に次いでまずい」と酷評したことは記憶に新しいかも知れない。

 イギリス料理のまずさについては、約1年の同国滞在で個人的には確認したつもりでいる。首都ロンドンでは、インド料理など各国のウマイ物が食べられないことはないが、学食や田舎町のレストランで黒こげになったポテトやゆで過ぎてクタクタになったブロッコリを平気で出してくるところに、食へのこだわりのなさを感じたものだ。また、味付けがほとんどなされていないことが多く、ほとんどのイギリス人学生が、味見することもなく塩をふりかける姿を見て驚いた。大抵の料理は韓国語の「マシオプソヨ」(まずいの意味だが、字義的には"味(マシ)がない(オプソヨ)")という表現がぴったり来るのである。

 それでは、フィンランド料理はどうだったのだろうか。結論から言うと美味(おい)しかった。ヨーロッパのほかの国に比べても、満足できるというのが個人的な感想だ。きちんと味付けはされているし(それだけで判断してしまうのは期待値の低さかもしれないが)、食材も豊富だったからだ。少なくとも、滞在中に飽きることはなかった。

 今回の旅で特に印象に残ったのはトナカイ。これまでの旅でも珍しいものは何でも食べてやろうと、イモムシやヘビ、狗肉などを経験してきたが、トナカイ肉はクセがなくあっさりしていた。「特別なもの」としてではなく、普段の食生活に取り入れたいと本気で思った。煮ても、焼いても美味しいが、ミディアムレアのステーキや「ルイベ」風の刺身は絶品である。また、付け合わせに名産品のベリー各種が添えられ、トナカイの味を引き立てていた。日本でも北海道の幌延(ほろのべ)町というところに牧場があり、トナカイ肉の生産は可能だ。市場に流通することを祈りたい。

 最後に、注文時の注意事項を。多くのレストランではメニューが、「スターター」「メイン」「デザート」の順で並べられているので、ついつい1品ずつ頼みたくなるが、これは危険。1皿の量が多いのだ。メイン1皿で日本の2−3倍の量が食べられるので、抑え目に注文することを心がけたい。北欧はなかなか物価が高く、1品15ユーロ(約2250円)以上するところが多いが、食べ物のボリュームは値段に見合っていたと思う。気をつけて注文しても、食後は歩行困難なほどお腹がいっぱいになってしまった。(つづく

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