NHK紅白歌合戦の公式X(Twitter)より

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 11月13日に今年の「NHK紅白歌合戦」の出場歌手が発表された。どんな内容になるのか、視聴率はどれくらい取れそうか、民放のテレビマンに予想してもらった。

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 ベテランプロデューサーが出場歌手の一覧を眺めて言う。

「若者に人気のMrs.GREEN APPLEやYOASOBI、あいみょん、Official髭男dism、緑黄色社会、Ado、ano(あの)、そして“首振りダンス”で話題になった新しい学校のリーダーズといったところは押さえています。民放の音楽祭でもきっちり数字を取っていますから、彼らがブッキングできてとりあえずホッとしているでしょう」

NHK紅白歌合戦の公式X(Twitter)より

 お馴染みとなった“けん玉”の三山ひろし、“巨大衣装”の水森かおりもいる。

「紅組にはSuperfly、milet、MISIAと圧倒的歌唱力を誇る面々も集まりました。さらに、坂本冬美、天童よしみ、石川さゆりという大物もいます」

 白組は予想された通り、旧ジャニーズ事務所に所属するタレントが一人もいなくなった。

「昨年は司会陣の一人を務めた櫻井翔 のほか6組がジャニーズ勢でしたから、NHKがいかに彼らを頼りにしていたのかがわかります。今年はそのツケが回ってきたということでしょう。ジャニーズの代替という声もある初出場の“すとぷり”は、昨年3月にリーダーの“ななもり”が内縁の妻から不倫やモラハラを告発され、彼はグループでの活動を休止。SNSではその過去をほじくり返され、旧ジャニーズのファンから『ジャニーズがダメで、すとぷりがOKなのは線引きがわからない』などと指摘されています」

K-POPとアミューズ頼み

 そこでNHKが旧ジャニーズの代わりに頼ったのがK-POP勢とアミューズだ。今年出場するK-POP関連グループは6組。5人組・女性グループのLE SSERAFIMが昨年に続いて2回目の出場となり、初出場は8人組・男性グループのStray Kids、13人組・男性グループのSEVENTEEN、TWICEの日本人メンバーが組んだ3人組・女性ユニットのMISAMO。そして、K-POP流のオーディションを経て日本で結成された9人組・女性グループのNiziUが4回目、11人組・男性グループのJO1が2回目の出場となる。

「このうちStray KidsとMISAMO、そしてNiziUの3組は、韓国の芸能事務所JYPエンターテインメントに所属しています。それより多いのがアミューズ勢で、今年は福山雅治、星野源 、Perfume、6年ぶり2回目のエレファントカシマシ、そして昨年まで3年連続の司会から歌手として初出場となる大泉洋の5組です」

 なんだかジャニーズ枠を他に事務所に割り振っただけのようにも見えてくる。

「若い人はともかく、K-POP勢を知らない中高年はかなりいると思います。特に白組には、重鎮と呼ばれる人が見当たりません。最多出場は郷ひろみですし、最高齢はさだまさし。中高年の視聴率を獲得したいのなら、卒業した北島三郎や五木ひろし、森進一に復活してもらったほうがいい」

 それだけに、紅白史上最低の視聴率を記録するのではないかと予想されているという。

視聴率30%割れか

「最高視聴率81・4%を記録したのは60年前の1963年です。以来、数字が下がり始めたため89年に前半・後半に分けた2部制を採用したものの、かえって下降は加速しました。前半は30%台が多くなり、2006年には30%を割る寸前の30・6%を記録。後半で50%以上を記録したのは99年の50・8%が最後で、一昨年には34・3%を記録しています。今年はこの記録を下回るのは確実と見られており、前後半とも30%超えすら危ういのではないかという声もあります(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯:以下同)」

 NHKに打つ手はあるのだろうか。

「昨年は、12月に入ってから松任谷由実 with 荒井由実、加山雄三 、純烈の応援ゲストとしてダチョウ倶楽部と有吉弘行、桑田佳祐 feat. 佐野元春, 世良公則, Char, 野口五郎、さらに安全地帯らを小出しにして、前半31・2%、後半35・3%となんとか史上最低を免れました。今年も同じような手を打ってくるはずです」

 まずは伊藤蘭の単独初出場が気になるという。

「今年はキャンディーズのデビュー50周年ということでベスト盤を発売しましたが、NHKとしては朝ドラ『ブギウギ』のヒロイン・趣里の母親として目を付けたのでしょう。趣里は笠置シヅ子の『ラッパと娘』をフルコーラで熱唱して絶賛されたばかり。彼女を企画コーナーに出演させ、母親の伊藤と父親の水谷豊、さらに『ブギウギ』で服部良一をモデルとした羽鳥善一を演じる草なぎ剛が加わればテッパンです」

 そして26年ぶりに返り咲いた藤井フミヤ。

年間高視聴率ベスト10も無理

「今年は司会陣の一人としては有吉弘行が選ばれました。彼が猿岩石としてミリオンヒットを記録した『白い雲のように』は、藤井フミヤの作詞です。これに作曲の弟・藤井尚之が加わり、猿岩石の復活となる可能性もあります」

 とはいえ、昨年、有吉は純烈に加わる形で「白い雲のように」を披露している。

「今年は『進め!電波少年』(日本テレビ)の出演メンバーを集めて大同窓会という手もありますが、なかなか難しいでしょうね」

 果たして盛り上がるのだろうか。

「桑田佳祐やユーミンといった隠し球も、昨年、使ってしまいましたからね。最低視聴率を免れるには、毎年、噂だけが流れる松田聖子と中森明菜の歌姫復活共演くらいしかないと思います」

 かなり厳しい状況のようだ。

「今年はWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が高視聴率を記録し、全7試合が40%超えでした。加えて、試合に付随して放送されたテレビ朝日の『サタデーステーション』が38・2%(3月11日)、『サンデーステーション』が34・0%、『報道ステーション』が43・6%(3月16日)を記録。これだけで年間高視聴率のベスト10が埋まってしまいます。年間ベスト10に『紅白』は入れないかもしれませんし、ひょっとすると今年1月3日の『箱根駅伝 復路』の29・6%にも敗れる可能性が出てきました」

デイリー新潮編集部