肝臓を守りながら、太りにくい飲み方をご紹介します(写真:ペイレスイメージズ1(モデル)/PIXTA)

長野県佐久市立国保浅間総合病院「スマート外来」では、患者の8割が3カ月で約5圓慮採未函∋號担里硫善に成功しています。

著作の「肝臓から脂肪を落とす」シリーズが累計6万5000部を突破し、指導する食事メソッドにより多くの患者を減量に導いている肝臓外科医・尾形哲氏がこのたび、『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』を上梓。本書から一部抜粋・再構成してお届けします。

糖質ゼロのハイボールでも太る

アルコール由来の脂肪肝が増加傾向にある中で、肝臓を守りながらお酒を一生楽しむために知っておきたい、太りにくい飲み方について紹介しましょう。

糖質制限ダイエットが広く知られるようになり、「糖質ゼロのお酒なら飲んでも太らない」と誤解している人がいます。焼酎やウイスキーを炭酸で割ったハイボールは、たしかに糖質はゼロ。しかし、ビールをやめて糖質ゼロのハイボールにしたから太らない、とはいえません。アルコール自体に糖質同様、カロリーがあるからです。

焼酎やウイスキーなどの蒸留酒は、日本酒やビールなどの醸造酒と比べて、“アルコール度数がはるかに高い”という落とし穴があります。たとえ炭酸水で割ったとしても、ビールよりも摂取する純アルコール量は多くなりやすいのです。

しかも、糖質量1gに対して発生するエネルギー量が約4㎉なのに対し、純アルコール量1gに対して発生するエネルギー量は約7.1㎉。2倍とはいかないまでも、同じ1gで発生するエネルギー量は、アルコールのほうが多くなっています。

市販品の350㎖缶でビールとハイボールのカロリー比較をしてみましょう。


図:ビールとハイボールのカロリー比較/出所:『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』

糖質を含むけれどアルコール度数5%のビールと、糖質ゼロでもアルコール度数7%のハイボールを比べると、アルコール度数が高いハイボールのほうが高カロリーです。

市販品だけではなく、アルコール度数48%のウイスキー1:炭酸水4の比率で割って自作しても、ハイボールのエネルギー量は100㎖当たり47㎉で、同量のビールの39㎉を上回ります。

このように、アルコール度数7%のハイボール350㎖缶のエネルギー量は、コンビニのおにぎり1個分(約170㎉)と同程度。糖質ゼロだからといって、決して太らないとはいえないのです。

お酒は“4度目の食事”と考える

太らない飲み方のために、糖質よりも“純アルコール量”に注目するようにしましょう。純アルコール量は、アルコール度数とお酒の量から算出することができます。

純アルコール量=アルコール度数(%)×量(㎖)×0.8÷100

例えば、アルコール度数12%赤ワインをグラス2杯(250㎖)分飲む場合、純アルコール量は12%×250㎖×0.8÷100=24gと算出できます(※0.8は比重)。

ちなみに、純アルコール量1gで約7.1㎉なので、赤ワインをグラス2杯のエネルギー量は24g×7.1㎉=170.4㎉になります。


図:お酒の純アルコール量とカロリーの求め方/出所:『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』

このように算出してみると、飲み会でビール(500㎖)1杯とハイボール2杯、日本酒おちょこ3杯分飲んだ場合の総カロリーは632㎉。ドリンクだけで、お弁当1個分に相当するカロリーになるのです。加えて高カロリーなおつまみをたくさん食べれば、脂肪が増えるのも当然です。

“お酒は4度目の食事”と考えるべきで、飲み会が事前にわかっている場合は、前日の食事量を減らしたり、翌日の朝食で主食を抜いたりする(朝食自体を抜くことはおすすめしません)などで調整するとよいでしょう。

「寝酒」では深く眠れず、脂肪も増える

眠れないからとお酒に頼る人もいるようですが、「寝酒」の習慣はとても危険です。

アルコールには鎮静効果があり、寝る前に飲酒をすることで就床から入眠までの時間が短くなります。この作用で眠れるように感じることがありますが、睡眠後半ではむしろ眠りが浅くなることが知られています。アルコールの利尿作用も相まって、途中で目覚めることが増えてしまうのです。


図:寝酒と不眠の悪循環/出所:『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』

ちなみに睡眠中は、起きているときよりもアルコールの分解が遅くなり、太りやすいことにも注意です。

肝臓では中性脂肪よりもアルコールの分解を優先するため、体内にアルコールが残っていると中性脂肪がエネルギーに変換できないのです。そのため、酔いが覚めにくいだけでなく、脂肪が蓄積されやすくなるわけです。


図:睡眠時と起床時のアルコール分解比較/出所:『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』

上図は、飲酒後に起きているグループと、飲酒1時間後から4時間眠ったグループに分け、血中アルコール濃度を調べた研究結果です。飲酒後に眠ったグループは、起きていたグループの約2倍のアルコールが体内に残っていたと報告されています。

眠れない理由はさまざまでしょうが、眠れない人とお酒に頼る人には共通する部分があります。真面目でがんばり屋な人ほど、疲れているのに眠れず、お酒に頼りがちになります。いい人や優等生タイプの人もストレスをためやすく、自律神経のバランスを乱して眠りが妨げられます。誰かに頼ることもできずに、お酒の心地よいほろ酔い感にハマってしまうのです。

寝酒をする人は特に日本人に多いといわれています(※)。理由を特定することはできませんが、日本人は不安を感じやすい「不安遺伝子」を持つ割合が多いことが明らかになっていて、それも影響して眠れず、お酒への依存を高めてしまうのかもしれません。

※Constantin R Soldatos,et al. Sleep Med. 2005;6(1):5-13.


図:不安遺伝子の所持率比較/出所:『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』

上図は、ポジティブさに関わる「セロトニントランスポーター遺伝子」の、日本人とアメリカ人の遺伝子タイプの割合を示したものです。セロトニントランスポーター遺伝子のうち、日本人はセロトニンが働きにくい“不安遺伝子を持つ割合が高い”ことが示されています。

よい/悪いの判断は別として、日本人は些細と思われることでも不安を感じやすく、それがきっかけで不眠に陥ったり、お酒に頼ったりする可能性があるわけです。しかし、寝酒が習慣になるとアルコールへの耐性がついて、飲酒量が増える原因にもなります。

“眠れないからこそ、お酒を控える”のが大切です。睡眠前はお酒ではなく、リラックス効果があり、ノンカフェインのハーブティなどがおすすめです。また、ストレスで疲れた脳には「アクティブ・レスト」といって、ゆるく体を動かすことで脳を休める方法も有効です。ぜひ、お試しください。

二日酔い予防のウコンが肝臓に負担をかける

ところで、二日酔い対策として、肝臓ケアを目的にウコンのドリンクやサプリメントを飲んで備える人はいませんか? 実は、その飲み会前のルーティンは、肝臓にかかる負担を大きくしている可能性があります。


図:肝障害の起因薬物/出所:『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』

上図は、2005年に日本肝臓学会が、民間薬や健康食品など、健康保険で承認されていないものによる薬物性肝障害の調査を実施したものです。その結果、原因で最も多かったのが「ウコン」で、全体の4分の1程度も占めると示されています。

ウコンのサプリやドリンクを飲んでいる人の多くは、飲酒量も多いと想定され、原因がウコンであるかを確実に突き止める方法はありません。ただ、少なくともウコンによる二日酔い予防や肝機能改善などの効果を示す科学的根拠は十分ではないのです。

自分が普段飲んでいる量を知ること

私が担当する外来では、肝臓への負荷を減らすために、ウコンに限らずサプリメント類は一切やめてもらっています。それだけで肝臓の数値が改善する人もいます。

ウコンに頼らず二日酔いを予防するポイントは、血中アルコール濃度を上げすぎないことです。


飲酒時はお酒と同量以上の水をこまめに飲んで、脱水を防ぎましょう。また、先におつまみを食べるようにして、空腹のままお酒を飲まないようにすると、アルコールの吸収が緩やかになります。

飲んで帰ったらすぐに横になりたいでしょうが、可能なら我慢して、少し起きているほうがアルコールの分解時間が早まります。脂肪の蓄積も防げるので一石二鳥ですね。

とはいえ、二日酔いの最善策は牋みすぎない〞ことに尽きます。日頃から飲みすぎていると自覚のある人は、飲んだお酒から純アルコール量が示されるスマホアプリもあるので、自分が普段飲んでいる量がどれくらいなのかを知るところから始めましょう。

(尾形 哲 : 肝臓外科医)