インテリアを一気に格上げするペンダントライトの吊るし方と選び方

今、住宅系のYouTube界隈を騒がせている男がいる。動画チャンネル『ジュータクギャング』の押村知也だ。設計から建築、インテリアコーディネイトに至るまで住宅に関するすべてをこなす住宅のスペシャリスト「住空間クリエイター」である。歯に衣着せぬ彼の発言は、わかりやすくて痛快。『ジュータクギャング』は、更新のたびに視聴者の心をつかみまくっている。
ペンダントライトと聞いて、すぐに形が思い浮かぶ人は、普段からインテリアに興味のある方だろう。ペンダントライトとは、吊り下がっているような形をした照明のこと。これを住宅における美の象徴、装飾として重要視しているのが押村だ。
◆つけなくてもいい。が、しかし……
ペンダントライトを語るにあたり、押村は「インテリアにおける美しさを表す『装飾』」であり、「裸電球を吊るしてシンプルで機能的とする世界感」とは真逆だという。「美しくてかわいくて愛でられることが最重要」と説く。
「ペンダントライトを家につけたい、飾りたいとおっしゃるのは、経験上女性が多い印象です。家族でいえば奥様ですね。男性は大抵『どっちでもいい』と言います(笑)。必要なものなのかどうかがわからない、という感じです。とくに考えたことがないんでしょう。ちなみに、僕も『どちらでもいいですよ』と言います。部屋の照明については、別にダウンライトを付けますから。ペンダントライトはあくまで装飾であって、付けるかどうかは好みの問題なんです。僕は装飾が好きなので当然、ペンダントライトも大好き。しかし、必ず付けなければならないとも思いません。本格的につけようと思うなら、一灯あたり10数万円以上するものが多いので、ご家族で考えてもらったらいいと思います」
◆「目線の高さ」に吊るのがペンダントライト
そんなペンダントライトだが、扱う際には絶対に忘れてはならないポイントがあるという。
「大切なのは『高さ』です。日本人は『頭に当たりそう』だという理由で、どうしても高く吊りがちなのですが、それは間違い。ペンダントライトは『目線の高さ』に吊るものです。なぜなら、そもそもデザインが真横から見るようにつくられているから。上のほうに付けて、下から見上げるものではないのです」
では、なぜ日本では、正しいペンダントライトの吊り方が普及してこなかったのか?
「それは設計士に問題があって、例えば、家を新築する際に、どこにダイニングテーブルがきて、どの位置にペンダントライトを吊るすか決めないままに家を建ててしまうので、とりあえず頭が当たらない位置に吊ってしまう。本来であれば、設計をする段階で、家具が決まっていて、このポイントにこのペンダントを吊ってちゃんと『美しく愛でられる』ように設計しなければならない。お客さんも、頭上にあるペンダントを見上げて、そういうものかと思って、そのまま暮らす人が多いからです」
◆デザインに優れたものを探すなら、やはり海外製
押村によれば、ペンダントライトについては前述の男女の違いもあるが、海外と日本の差も大きいという。
「海外はペンダントライトの歴史も深く、照明や空間の美しさを重視する文化が続いています。取り付ける場所もキッチン、ダイニング、リビング、吹き抜け、寝室など幅広い。一方、日本はペンダントライトの歴史が浅く、そのほとんどが天井につけるシーリングライトです。海外に比べると、とにかく明るい部屋が大好きで、雰囲気より利便性を大事にしている印象を受けます。と言いますか、そういった照明しか経験がない」
歴史の深さとデザインの美しさを考えると、押村が選ぶのはやはり海外製。お気に入りのものをいくつか教えてもらった。