この記事をまとめると

■中古車の価格は個々の車両の状態以外に車種の人気度で変わる

■年式の高い中古車を安く購入するならフルモデルチェンジしたあとの先代モデルがおすすめ

■ところが納期が長いモデルになると下取り車も出まわらないので中古車価格も落ちにくい

中古車の価格は需要と供給で決まる

 新車の価格は、同じ車種の同じグレードであれば共通だが、中古車は車両によって価格が変わる。中古車は個々の状態が異なり、なおかつ中古車市場の人気にも左右されるからだ。人気が高ければ価格も上昇し、人気が下がれば安くなる。

 人気度を正確に表現すれば、中古車の需要と流通台数のバランスだ。中古車需要の割に流通台数が少なければ価格が高まり、流通台数が増えると価格は下がる。

 そして、既存の車種がフルモデルチェンジを行って新型になると、それまで現行型として売られていた中古車は先代型に変わる。つまり、旧型だから魅力が下がって中古車価格も安くなる。

 また、フルモデルチェンジを行った新型車が好調に売られると、下取りされた先代型が、中古車市場に多く流通する。中古車の流通台数が、需要の割に増えるために価格が下がる。

 つまり、既存の車種がフルモデルチェンジを行うと、魅力の低下と需給バランスの変化というふたつの理由により、市場に出まわっていた車両の中古車価格は下がる。したがって比較的年式の高い中古車を安く買いたいときは、そうしたモデルを狙うと良い。

 ただし、中古車を購入したあと、短期間で売却する場合は、先代モデルとなるため売却額も安くなる。もともと流通価値の下がった中古車を買っているからだ。その一方で中古車を長く使うなら、フルモデルチェンジ前に買っても売却額が安くなるから、気にする必要はない。

人気モデルは新型が出ても価格が下がりにくい

 注意したいのは、フルモデルチェンジを行って中古車価格が下がるまでに、少し時間を要することだ。新車の販売に伴って下取り車が増えて、その車両が中古車店に並ぶまでには半年程度の時間がかかる。よって新車を発売して6カ月を経過したころから、先代型の中古車価格が下がり始める。

 今後登場する新型車であれば、N-BOXのような納期があまり遅延しない大量の販売を目的にした車種は、上記のパターンに沿って中古車価格が下がる。すでに販売されている車種では、現行セレナやステップワゴンもそこに含まれる。セレナの中古車も、そろそろ安くなり始める。

 しかし、ランドクルーザーやアルファード&ヴェルファイアのように、納期が長い車種は、フルモデルチェンジを行っても先代型の中古車価格が下がりにくい。むしろ先代型の中古車価格が高まる傾向も見られる。フルモデルチェンジしていても新車を買いにくいため、ユーザーの関心が先代型に向くからだ。

 その結果、新型の高人気につられて、先代型の中古車価格まで高まってしまう。

 また、先に述べたとおり、新型車が好調に売られる(納車される)ことで、従来型が多く入荷して中古車価格を下げる。しかし、新車の納期が長いと、下取り車も入荷せず、中古車価格を下げる作用が生じにくい。

 そのために、販売の好調な軽自動車やコンパクトカーは、フルモデルチェンジによって中古車価格が下がり、納期の長い高価格車は、中古車価格も高値安定型になる状態が続いている。