この記事をまとめると

■デンマークのハイパーカーメーカー「ゼンヴォ」が最新作の「オーロラ」を発表

■アグレッシブなRWDの「アジル」と快適性と最高速を追求した4WDの「ター」の2グレードを用意

■オーロラの価格は259万ユーロ(約4億1180万円)を予定している

デンマークにもとびきりのハイパーカーメーカーがあった

 デンマークに本社を持つハイパーカーメーカー、ゼンヴォは、その最新モデルとしてハイブリッドの「オーロラ」を、先日開催されたモントレーカーウィークで発表した。その販売は2026年から開始される予定で、RWDの駆動方式でアグレッシブなサーキット走行にフォーカスした「Agil(アジル)」と、快適性と最高速を追求した4WDの「Tur(ター)」という2グレードが、各々50台限定生産される予定となっている。

 ちなみにアジルとはデンマーク語で「俊敏」、ターとは同じく「ツーリング」を意味する言葉であるから、そのグレードのネーミングにも各々のモデルのキャラクターは明確に表現されている。

 両車のデザインは、基本的なシルエットでは変わるところはないが、アジルには大型のリヤウイングなどさまざまなエアロデバイスが装備され、より大きなダウンフォースを得ることを意識していることがわかる。

 一方のターは、ボディのシルエットそのものが持つ美しさをダイレクトに表現した、じつにエレガントなスタイル。どちらを好むかは、まさにカスタマーの趣味によるといってもよい。

 オーロラに使用されるカーボンモノコックは、スペインのマネージング・コンポジット社と共同開発されたもので、これは「タイプZM1」と呼ばれるモジュラー型。ウエイトはわずかに120kgに抑えられている一方、捻じり剛性は63500N/度とブガッティ・ヴェイロンのそれを超えるとゼンヴォは発表している。

 また、モジュラー型の特長を生かして、ゼンヴォは今後生産されるハイパーカーにも、このZM1型タブを使用する予定であるという。

6.6リッターV12クワッドターボ+ツインモーター

 ミッドに搭載されるエンジンは、マーレーとの共同開発による6.6リッターのV型12気筒クワッドターボ。これはもちろんオーロラのために新開発されたもので、こちらもモジュラー構造を持ち合わせている。

 ゼンヴォが計画する次回作は、もしかするとオーロラよりもコンパクトでポピュラーな価格が設定された、V型8気筒、あるいはV型6気筒エンジンを搭載するモデルになるのかもしれない。参考までにオーロラの価格は259万ユーロ(約4億1180万円)から。

 それでブランド・イメージを作り上げ、その先に量産モデルを用意するのは、最近では良く見られる手法だ。

 オーロラのパワーユニットは、前で触れたV型12気筒クワッドターボエンジンに、アジルでは7速ミッションとの間に1基の、ターではさらに2基のエレクトリックモーターを組み合わせるPHEVとして設計されている。

 エンジンの最高出力は1250馬力。エレクトリックモーターは1基あたり200馬力を発揮する予定だというから、結果アジルは1450馬力、ターは1850馬力の最高出力を得る計算になる。ハイパーカーとしては十分な説得力を持つスペックだろう。

 かつてあのケーニグゼグが極北のハイパーカーメーカーと呼ばれ、そして大きな成功を収めたように、ゼンヴォもまたデンマークという地から、ハイパーカーブランドとしての地位を確立することができるだろうか。