再上場したエキサイト、いま何やってる?業績や株価は? 検索エンジンで一時代【よくわかる企業分析】

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就職先や転職先、投資先を選ぶとき、会社の業績だけでなく従業員数や給与の増減も気になりませんか?

上場企業の財務諸表から社員の給与情報などをさぐる「のぞき見! となりの会社」。今回取り上げるのは、2023年4月19日に東証スタンダード市場に「再上場」したエキサイトホールディングスです。

2004年に上場、2018年にTOBで上場廃止に

エキサイトは1997年、米Excite社の日本における100%子会社として伊藤忠商事や伊藤忠テクノサイエンスなどが出資して設立されました。ポータルサイト「Excite」は、一時はYahoo!やInfoseek、Lycosなどと並ぶ大手検索エンジンの一角を占めていました。

しかし、Excite社を買収した親会社の@Home Networksが2001年に経営破綻し、エキサイトは伊藤忠商事の子会社に。2002年にはGoogleと提携して独自の検索エンジン開発から撤退し、ブロードバンド接続サービスを開始します。

2004年には「エキサイトブログ」を開始し、ネット広告収入を伸ばしながら株式をJASDAQに店頭公開。レシピサイトや動画共有サービス、カウンセリングサービス、音楽レーベル、携帯電話向けサービスなどをリリースし、2012年には海外展開も始めました。

2018年10月にはTOBにより、元伊藤忠商事、元サイバーエージェントの西條晋一氏が率いるXTech HP社の完全子会社に。同年11月に東証ジャスダック市場における上場を廃止しました。

2020年10月に純粋持株会社制へ移行し、現社名へ商号変更。2023年4月に東証スタンダード市場への「再上場」を果たしています。

ポータルサイトとブロードバンドは継続

エキサイトホールディングスは現在、「プラットフォーム事業」「ブロードバンド事業」「SaaS・DX事業」の3つの事業を展開しています。

プラットフォーム事業は、ポータルサイト「エキサイト」上で展開する情報サービス「ウーマンエキサイト」や「エキサイトニュース」「エキサイト電話占い」「エキサイトお悩み相談」のほか、子供向けサプリ飲料「セノバス+」、マウスピース矯正の「エミニナル」、M&Aアドバイザリーの「M&A BASE」を展開しています。

ブロードバンド事業は、インターネットサービスプロバイダの「BBエキサイト」、格安SIMサービスの「エキサイトモバイル」を展開しています。

上記2事業は、主にTOB前からの既存事業(「セノバス+」「エミニナル」「M&A BASE」を除く)。TOB後に始めた新規事業が、SaaS・DX事業です。

SaaS・DX事業は、経営管理クラウド「KUROTEN」、ウェビナーPDCAクラウドの「FanGrowth」、BtoB向け後払い決済・請求代行サービス「SAISON INVOICE」、サブスク導入支援ツール「サブする」を展開しています。

2023年3月期のセグメント別売上高構成比は、ブロードバンド事業が36.77億円で48.8%、プラットフォーム事業が32.06億円で42.6%、SaaS・DX事業が6.48億円で8.6%です。

同営業利益は、プラットフォーム事業が6.83億円、ブロードバンド事業が6.49億円のそれぞれ黒字。SaaS・DX事業は1.63億円の赤字でした。

4期連続最終赤字からTOB後に急改善

ここでエキサイト/エキサイトホールディングスの近年の業績の推移を見てみましょう。

なお、2019年3月期はTOB前、2020年3月期以降はTOB後、再上場は2023年4月です。

エキサイト/エキサイトホールディングスの売上高は、TOB後に右肩上がりに伸びています。2019年3月期から2023年3月期までの年平均成長率(CAGR)は7.3%。

成長を牽引するプラットフォーム事業は、TOB後に売上高が1.5倍に伸びています。ただし、この中には既存事業に加え、2021年2月に販売開始した「セノバス+」と、同年8月の「エミニナル」といったD2C新規事業を含みます。

また、TOB前には2016年3月期から4期連続の最終赤字を計上していましたが、TOBの翌年から利益を生み出しています。営業利益率8.3%はIT関連サービスとしては低い水準であり、今後の改善が期待されます。

なお、2024年3月期の第1四半期の連結業績は、売上高18.15億円、営業利益1.02億円、四半期純利益5300万円。期末予想は売上高76.50億円、営業利益6.30億円、当期純利益4.55億円なので、単純計算では順調とはいえない状況です。

既存事業で人員削減、新規事業で中途採用募集中

エキサイト/エキサイトホールディングスの従業員数は、TOB前の2016年3月期末には262人いましたが、翌期以降は251人、240人と減少していました。

TOB後の2021年3月期からは214人、194人、174人とさらに減少しており、コストダウンによって利益を生み出してきたことがうかがえます。

2023年3月期のエキサイトホールディングスの従業員数(単体)は、純粋持株会社につき16人。平均年齢は40.9歳、平均勤続年数は9.4年、平均年間給与は637.8万円です。

エキサイトグループの採用サイトを見ると、新卒採用のほか、「ビジネス職」「エンジニア職」「デザイナー職」といった職種での中途採用の募集が行われています。

ビジネス職で募集しているのは、SaaS・DX事業のみ。「KUROTEN」の経営コンサルタント職は、SaaS導入に向けて顧客企業の管理会計や財務会計にまつわるコンサルティング業務を行う仕事です。

想定年収は800〜1500万円(40時間分の時間外手当込み)。フレックスタイム制(コアタイム10:00〜15:00)で、週3〜4回程度のリモートワークを実施。年収とは別に月5,000円のリモート手当が支給されるとのことです。

新規事業の成否が将来を決める?

エキサイトホールディングスは、2023年4月19日に東証スタンダード市場に上場。初値は公開価格1340円を26.9%上回る1700円となりました。

翌4月20日には1,949円の高値をつけましたが、その後は急落し、8月14日には888円の安値に。現在はやや持ち直して、1000円前後を推移しています。

赤字続きだったエキサイトグループの業績はTOB後に改善し、利益を生み出せるようになりました。ただし売上の柱はTOB前と変わらず「プラットフォーム事業」と「ブロードバンド事業」で、売上増とともにコストダウンを進めています。

TOB後の新規事業で将来の利益の柱としたい「SaaS・DX事業」は、2023年3月期には赤字。インターネット広告市場に陰りが見える中、この領域の事業の成否が、会社の成長の鍵を握ると見られます。(こたつ経営研究所)