「人との関係構築」には3つのフェーズがあり、それぞれ目的・必要なスキルが異なります(写真:shimi/PIXTA)

「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」 と心理学者のアドラーが考えたように、ほぼ全ての人が人間関係で悩んだ経験があるのではないでしょうか。

「人から嫌われたくない」「飲み会のような場を避けたい」「面白いことを言わないといけない」。そんな悩みを一度でも感じたことのある方にオススメなのが「笑いの力」を利用すること。

元お笑い芸人である中北朋宏氏は、芸人引退後に未経験でコンサル業界に転職し、「笑いの技術」を駆使して3年でナンバーワンに。その後、起業して株式会社俺を設立。現在は芸人のセカンドキャリア・転職を支援する「芸人ネクスト」と、「お笑い」と「コミュニケーション」を掛け合わせた、心理的安全性や営業力を向上させる独自のノウハウ「コメディケーション」を260社、2万6000人以上に提供しています。

最新刊『おもしろい人が無意識にしている 神雑談力』では、中北氏のこれまでの経験から培った「笑いをビジネスに活かす技術」を網羅。

以下では、「9割のビジネスパーソンができていないメラビアンの法則」について解説します。

あなたの人間関係は「どの段階」なのか

今日は、あなたが就職した会社への出社初日だったとしましょう。


最初の人間関係の悩みといえば、

「職場に馴染めるだろうか」

「上司・先輩は話しやすい人だろうか」

「同僚に気の合う人はいるだろうか」

だと思います。

つまり「人間関係を開始するためにはどうすればいいか?」で悩むことが多いと思います。

これに悩まない人は、異常なほどの自信家か、はたまた誰からも嫌われたことのないコミュニケーションの化身だと私は思います。

当然ですが、これらの悩みは「あなただけ」に限った話ではなく、数多くの人が同じような悩みを抱えています

私の職業柄、多くの企業様で「職場の人間関係で悩んでいる」という内容の話をお伺いします。

ただ、どのフェーズで悩んでいるかが整理されておらず、何から手をつければ解決するかが導き出せず混乱している方が多くいます。

では人間関係のフェーズにはどのようなものがあるのでしょうか。

仕事の人間関係は3段階しかない

ここで最初に押さえていただきたいのは、前記事「元芸人がコンサル業界でNo.1になった“神雑談力”」でも紹介したように「人との関係構築」には3つのフェーズがあるということです。

それぞれ目的があり、必要なスキルも異なります。

ヾ愀験始:この人は良い印象だ
関係継続:この人をもっと知りたい
4愀舷執漫Г海凌佑領呂砲覆蠅燭

今回は、「ヾ愀験始:この人は良い印象だ」と、相手が興味を抱くためには何が必要かについて説明していければと思います。

基本的に小難しいことはいっさいなし。

この記事に目を通した瞬間から使えるスキルをお渡しします。読み終えたらすぐにでも、外へ駆け出し、コンビニの店員の方と関わるか、もしくはオンラインミーティングを設定して実践してください。スキルの効果を実感していただけると思います。


人との関係構築には、3つのフェーズがある。「相手からどう思われると良いのか」を言語化すると、それぞれのフェーズごとに必要なスキルが違うことがわかる(図:『神雑談力』より)

もし、関係開始の目的である「この人は良い印象だ」ではなく、他の目的、例えば「この人は面白そうだ」「この人と話をしてみたい」などが良いと感じる方は、別の目的に置き換えていただいてかまいません。

ぜひ、自分に合う目的設定をして読んでいただけると効果が発揮されやすいです。

まず絶対に押さえないといけない理論を今から紹介します。

まず1つ目の理論として、「メラビアンの法則」をご紹介します。ご存じの方も多いのではないでしょうか。ただ、多くの方が「見た目が重要です……」などの表面的な理解で思考停止し、本来のメラビアンの法則の活用方法まで行きついていないことがほとんどです。

メラビアンの法則:本当の使い方

もし、あなたが表面的な理解であるのであれば、今日がメラビアンの法則について真に理解した日としていただければと思います。

真に理解すれば必ずあなたに大きな変化を及ぼすことをお約束します。

関係開始の時点では、この理論は、絶対に外せない理論となります。

まずは、一般的な部分から説明していきます。メラビアンの法則では、人は人の印象を判断するときに「視覚情報55%」「聴覚情報38%」「言語情報7%」の割合で判断しています。


「視覚情報・聴覚情報・言語情報」の3つの情報で人は、人を判断している。この3つの情報さえコントロールできれば、自分の印象を簡単に操作できる(図:『神雑談力』より)

つまり「視覚情報=見た目」だけで印象を判断してしまう、という法則です。たいていの方は、ここで法則の理解を終えています

お待たせしました。真に理解するための入り口はここからです……。

一方で、この「視覚情報・聴覚情報・言語情報」という3つの情報だけで人は人を100%判断しているのであれば、この3つの情報さえ自分でコントロールすることができれば自分の印象を簡単に操作することができるのです。

つまり、3つの情報さえ演出してしまえば、相手に良い印象を簡単に与えることができるということです。

「はい。そう言われましても……」

そんな声が聞こえてきそうです。安心してください。わかりやすく具体例をお出しします。

お笑い芸人の場合:オードリーの春日俊彰さん
・ 視覚情報:ピンク色のベスト・テクノカットの髪型・ゆっくりと歩く
・ 聴覚情報:ゆっくりと話す
・ 言語情報:ご飯を食べて「うまし」と言う・数個の一発ギャグを所有

ビジネスパーソン:あるベンチャーの創業社長
・ 視覚情報:オレンジ色のジャケット・ネクタイ・携帯ケース・キャリーケース(コーポレートカラーを使用)
・ 聴覚情報:声が大きい・はっきりと断定的に話す
・ 言語情報:「日本の未来」「自分の大きなビジョン」など、過去ではなく未来について語る

お笑い芸人でいうとオードリーの春日さんが、非常にわかりやすいと思います。相手に与える印象として「只者ではない・異質なもの」として、メラビアンの法則を使い自己プロデュースをされていることがわかります。

また、ビジネスパーソンでいうとある会社の創業社長は、業界で噂になるほどオレンジ一色です。相手に与える印象として「先駆者・活気がある」などの印象を狙い通りに得ることができています。


自己プロデュースのための具体的要素。9割のビジネスパーソンは、意識できていない部分であり意識するだけで「簡単に周囲から抜きん出られる」(図:『神雑談力』より)

「テクノカットやオレンジと言われても……」など、この2人のように相手に強く印象を与える必要がなく「この人は感じがいい人だ」で十分であれば、視覚情報に「笑顔」を加えるだけでも十分な効果を発揮します。ご安心ください。

お笑い芸人からビジネスの世界に入ってきた時に、私は1つ確信したことがあります。

それは何かというと 「簡単に周囲から抜きん出られる」 ということです。

平凡な才能しかない私が、6年で起業するまで力がつきました。なぜそれが実現できたかというと、私が出会ってきたビジネスパーソンの90%以上の方々が、自己プロデュースへの意識が著しく低いからです。

「なぜその服装か?」を言語化できているか

自分をアピールし他者と差別化することが当たり前のお笑いの世界にいた私からすると「もったいない」の一言です。

例えば、

「なぜ、その色のシャツ・ネクタイを身につけるのか?」
「なぜ、その腕時計なのか?」
「なぜ、その言葉を使っているのか?」
「なぜ、そんな表情で働くのか?」
「なぜ、その場所に住んでいるのか?」


など、ほとんどの方は何の意図やストーリーもなく日々を過ごしています。

また、問題なのは自分達が意図しない印象を他者に与えてしまっていることに気づいていないことです。

おそらく残念ではありますが……、今までの人生であなたと関わってきた人の大半は、あなたを『ドラゴンクエスト』の村人Aとしてしか認識していないと思います。

それほど、人に「自分の印象を残す」ということはハードルが高いということです。

ぜひ、自分の目的に合わせて自分のキャラクターを作成してみてください。

成果が出た「自己プロデュース具体例」を紹介

今の時代、SNSを活用した個人のブランディングが盛んに行われています。あなたが何かを発信していきたいのであれば必ず作成していただくことをお勧めします。

このようにメラビアンの法則の要素を全て埋めると、軸が一本通り視覚情報にも奥行きと厚みが増します。村人Aというプログラミングされた同じことを繰り返し伝えるキャラクターから、やっと「あなた」として周囲が認知してくれるでしょう。

やり方のイメージが湧かないという方は、お笑い芸人や職場で「この人、キャラクターが濃い」という人がいれば、3つの情報で分解してみると何が要因でキャラクターが濃いのかが見えてくると思います。

最後に、私が「社会人として成果が出ていなかった時」と、「株式会社俺の経営者になり自己プロデュースをして売り上げが2.5倍になった時」の比較として写真を掲載しておきます。すごく恥ずかしいのでせめて笑ってやってください。


(写真:著者提供)

どうでしょうか。正直、自己プロデュースの効果って絶大でしょ?

さて、次回の記事は「笑顔の効果」と「無礼な人はコスト」について書いていきます。そして、私がお笑い芸人時代に最も感動した大物芸人さんとの実体験を実名でお話ししていきます。

次回もお楽しみに!

(中北 朋宏 : 俺 代表取締役社長)