【秋バテ、自律神経の乱れ、免疫力低下に】塩麹の旨味噌サムギョプサル

暮らしを維持し続ける。それだけで結構みんな頑張っている。だから、たまの“頑張らない日”に、頑張らなくても、自分を養い、満たすことができるご自愛レシピをご紹介。今回は、自律神経の乱れによる秋バテや免疫力低下に効く「塩麹の旨味噌サムギョプサル」。薬膳の智慧を借り、3工程で心も体も満たす一品をどうぞ。
監修:山口りりこ 薬剤師、国際中医師、薬膳師
やまぐち・りりこ/株式会社kampo lab代表取締役社長。星薬科大学を卒業後、薬日本堂に入社。漢方や薬膳に魅了され、黒龍江中医薬大学日本校・遼寧中医薬大学日本校にて国際中医師・国際薬膳師を取得。現在は、無添加食品の複合施設〈食良品店 FOOD LAB〉を運営する傍ら、漢方薬店〈kampo's〉にて、漢方相談、薬膳相談、薬膳商品プロデュース、企業の商品監修などを行う。
レシピ制作:川島良太さん 食料品店〈FOOD LAB〉シェフ、フードコーディネーター
5年間有機野菜とワインの専門店で修行を積み、2014年には鶏とワインの専門店〈pollo〉をオーナーシェフとして開業。2022年食料品店〈FOOD LAB〉の立ち上げに携わり、シェフとして日々メニュー開発に取り組んでいる。
季節と体質を重んじる、薬膳の基本
薬膳のベースとなっている中医学では、体の構成要素を「気」「血」「水」と考え、この3つが過不足なく循環している状態を健康と捉えます。そして、これらを司るのが「肝」「心」「脾」「肺」「腎」といういわゆる五臓。(※西洋医学が指す臓器名と異なります。)
中医学では、五臓を含め、心身は季節など自然界の影響を大きく受けるとされ、季節を考慮し、自分の体質に合った養生が勧められています。ゆえに、生活習慣の乱れやケア不足で五臓のいずれかの機能が低下すると、「気」「血」「水」が不足したり、流れが滞り不調の原因に。
そこで、自分の体質や季節に合わせた適切な食事やセルフケアなど養生法を怠らないことが健やかさを維持するのに重要なのです。記事下部に簡単な体質チェックを用意したので、ぜひ自分に合った養生法をチェックしてみて下さいね。
乾燥に注意! 「肺」の機能低下で自律神経が乱れやすい季節
厳しい暑さも少しずつ和らいできて、少しは体も楽になると思った矢先、なんとなく重だるい感じが…。それ、自律神経の乱れによる秋バテです。
秋は、乾燥の燥邪(そうじゃ)が体に大きな影響を及ぼす季節で、五臓では「気」=エネルギーと「水」=潤いを全身に巡らせる役割を担う「肺」が活発に。「気」と「水」が体表面に行き届くことでバリア機能(=免疫)が維持されています。
中医学でいう「肺」はのどや気管を含めた呼吸器としての肺だけではなく、深部では大腸、表層では皮膚も「肺」に含む。ゆえに、大腸の乱れが免疫力の低下や肌荒れに繋がったり、喉が乾燥すると風邪をひきやすくなるのは、中医学的な捉え方ではごく自然なことなのです。
「肺」が厄介なのは、乾燥を嫌う一方、溜め込みすぎるのもNGなところ。内側に適度な潤いを保持しながら、発散もする必要があります。汗をあまりかけず、発散がうまくいかないと、体温調節する力が弱くなり、自律神経が乱れ、これが秋バテにつながるのです。
この季節のおすすめ養生法は“入浴で汗をかくこと”
乾燥に気をつけながらも、しっかり入浴をして発散力を高めることがこの季節に必要な養生の一つです。10〜15分でじんわりと汗をかけるくらいの温度が理想。ストレスが溜まってイライラする時は、柑橘やミント系の香り、逆に不安感が強い時は甘めのフローラルな香りの入浴剤がおすすめ。
秋バテ、自律神経の乱れ、免疫力低下に効く。塩麹の旨味噌サムギョプサル
味噌、塩麹といった発酵食品を使用することで、腸内環境を整え、「肺」の機能を高めます。潤いを与える力がある豚肉と蜂蜜は乾燥しやすい秋に。生姜と唐辛子を少量入れることで、適度な発散要素を加え、全体として「肺」の機能を高め、秋バテに抗う力を養います。
【こんな症状に効く!】秋バテ解消、免疫力アップ、腸内環境改善、美肌
【食材の効果効能】*豚バラと蜂蜜…潤いを与える*生姜と唐辛子…発散*味噌、塩麹…腸内環境を整える
材料
豚バラブロック:250g塩麹:大1ごま油:大2
[A]コチュジャン:大1味噌:小1蜂蜜:大1すりおろし生姜:小1ごま油:小1ゴマ:適量
[盛り付け]薬味セット:1パックサンチュ:1パック
作り方
【1】厚めにスライスした豚バラと塩麹、ごま油を袋に入れて揉む。
【2】タレの材料[A]を全て混ぜる。
【3】フライパンで弱火でじっくり焼く。焼き上がったら、薬味とサンチュと一緒に盛り付けてタレを付けて食べる。
おすすめの薬膳プラスアルファ食材
・陳皮(みかんの皮):胃腸の機能を高め消化を助ける。
簡単体質チェック〜秋冬編〜
簡単な体質チェックで自分のタイプを診断。今回のレシピは「自律神経お疲れタイプ」の方に特におすすめです。
バリアー不足タイプ
Check Point疲れやすい花粉症、アレルギー、蕁麻疹など出やすい胃腸が弱い
おすすめの食材・穀類、芋類、きのこなど甘みを感じる食材・梨、大根、百合根、豆腐など白い食材
おすすめの養生法バリアー機能は「気」の役割。疲れを溜め込まないことが大切。胃腸を休めることで効率良く食べたものをエネルギーに変えてくれます。
カピカピ乾燥タイプ
Check Point喉が乾燥しやすいコロコロ便、硬い便になりがち顔や手足裏がほてりやすい
おすすめの食材・ごま、アーモンド・くるみなどナッツ類・納豆、山芋、蜂蜜などとろりとした食材
おすすめの養生法乾燥は皮膚だけに注目しがちですが、体内も潤い不足になります。汗をかくような辛い食材は控えて、睡眠をしっかり取ることが大切。
自律神経お疲れタイプ
Check Point呼吸があさいイライラしやすい季節の変わり目、環境の変化にストレス
おすすめの食材・玉ねぎ、にら、カイワレ大根など辛味食材・ほうれん草、小松菜、ケールなど緑色食材
おすすめの養生法発散と潤いのバランスが大切。何かに偏らないように、辛いものをとる時には潤す食材を。忙しいときには、1週間の中で調整するなどストレスを溜め込まないことが大切。
photo_Hikari Koki text&edit_Hinako Hase