『最高の教師』(日本テレビ)公式サイトより

日テレ系列土曜ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』の九条(松岡茉優)と、2019年放送の日テレ系列日曜ドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』の柊一颯(菅田将暉)がそれぞれに発するメッセージは、どこか似ている。

制作陣のほとんどが共通していることからも、コンセプトが共通していることは自明の理と言えるだろう。

柊が伝えてきたこと、そして、九条が伝えようとしていることとは?『最高の教師』最終回に向けての展開も合わせて予想したい。

◆噂や陰口に惑わされず、“自分”を守る方法

9月2日に放送された『最高の教師』7話を見ながら、九条が繰り返し生徒たちに伝える言葉を聞きながら、『3年A組』の柊の声を思い出した。7話では、転落死してしまった同級生・鵜久森叶(芦田愛菜)の死の真相について、九条、そして生徒たちが向き合うシーンが描かれる。

九条は繰り返した。もっとも避けなければいけないのは、勝手な憶測や推測で彼女を語ること。「思う、だろう、違いない……。そんな言葉で彼女を語ることは、言葉を失ってしまった人への冒涜だと思いませんか?」と続ける九条は、いつものように淡々としていながら、発する言葉の一つひとつに念を込めているようだった。

鵜久森の死について、世間は好き勝手なことを言うだろう。学校側も、この件についてどこまで真摯に対応してくれるか怪しい。それでも、この教室の人間だけは変わらなくてはいけない。まずは、この教室から変わるのだ、と訴えかける。

◆名言「悪意にまみれたナイフ」

『3年A組』の柊も、一歩立ち止まり、自分の頭で考えをめぐらせることの重要性を説いていた。パワハラ疑惑をかけられた教師を、SNS上で炎上させてやろうと企んだ生徒があらわれたことを機に、「変わってくれ」「悪意にまみれたナイフで、汚れなき魂を傷つけないように」と繰り返していた。

憶測、推測、噂、陰口……。九条の言うように、「人の意見は得てして、そう考えるほうが自然だというほうへ流れていく」ものだ。なぜなら、そのほうが楽だからである。

一歩だけ、踏みとどまってみる。面倒だけれど、一呼吸分だけ、考えをめぐらせてみる。その一瞬の間が、もしかしたら、他者の心を守ることにつながるかもしれない。それがひいては、自分の内なる声に集中し、自分の心をも守ることにつながるはずだ。

◆衝撃的なスタートだった『最高の教師』

『最高の教師』は、1話の冒頭、卒業式を迎えた九条が何者かに突き落とされ、転落死してしまう時点からはじまる。

なぜか九条は亡くならず、次に目が覚めた瞬間には、一年前の始業式の日に戻っていた。つまり、いわゆるタイムリープ。九条を突き落とした腕に、彼女が担任する3年D組への所属を示す腕章がついていたことから、真犯人は教え子の誰かであることが想定される。

九条は、2周目の人生をやり直しながら、生徒一人ひとりと向き合うことで、自分を突き落とした犯人を見つけようとしている。果たして、それは誰なのか?

◆九条を突き落とした“真犯人”は?

9月9日に放送された8話では、問題児が集まるとされている3年D組のなかでも厄介者の筆頭・相楽(加藤清史郎)が、涙ながらに謝罪した。鵜久森を追い詰め、彼女の“死”のきっかけにもなった彼。九条の言葉によってこれまでのことを詫びる選択をしたが、実質的に手を下したのは彼ではない。

実は、鵜久森が亡くなった当日、相楽の知り合いである浜岡(青木柚)が学校に忍び込んでいたことがわかる。彼がやってきた理由は「3年D組の生徒から依頼を受けたから」。報酬さえあればどんなことでも引き受ける浜岡にとって、お得意様は相楽だけではなかった、ということか。

鵜久森は、自分にとって不都合となるものを守るために亡くなった、とも考えられる。彼女が命を賭して守ろうとしたもの。それを手に入れられるのは、彼女と友人として交流を深めつつあった阿久津(藤ゆみあ)か、東風谷(當真あみ)か、それとも星崎(奥平大兼)か。鵜久森の死に関連している彼らが、九条の死にも関連している可能性は、大いに高いと思われる。

<文/北村有>

【北村有】
葬儀業界を経て2018年からフリーランス。映画やドラマなどエンタメジャンルを中心に、コラムや取材記事を執筆。菅田将暉が好き。