「脂肪豊胸」を美容外科医が解説 ダウンタイム期間や定着率・効果の持ちも紹介

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脂肪豊胸手術に興味はあっても、ダウンタイムなどが気になって一歩を踏み出せない人も多いようです。一体、手術後はどれくらいのダウンタイムがあるのでしょうか? また効果の持ちを長くするための秘訣は? 銀座3丁目・BANNAI美容クリニックの坂内先生にMedical DOC編集部が聞きました。

豊胸手術の種類と特徴 脂肪豊胸やシリコンバッグ等の違い

編集部

豊胸手術の種類には、どのようなものがあるのですか?

坂内先生

豊胸手術の種類は、主に次の3種類があります。

・シリコンバッグ豊胸
・ヒアルロン酸豊胸
・脂肪豊胸

それぞれ特徴やメリット、デメリットが異なりますが、このうち、日本美容外科学会が推奨しているのはシリコンバッグ豊胸と脂肪豊胸です。

編集部

それぞれ、どのような特徴があるのですか?

坂内先生

まずシリコンバッグ豊胸は、シリコンバッグを胸の部分に入れてバストアップを図ります。シリコンバッグの大きさに合わせて胸を大きくすることができるので、1回の手術でも理想のサイズにバストアップできるというメリットがあります。一方で、数cmの傷跡が残る、経年劣化するため入れ替えが必要になるので効果は半永久的でない、長期間入れることで肋骨がえぐれたように変形する、シリコンバッグが破損するリスクがある、胸の動きや感触が不自然、カプセル拘縮が起きるなどのデメリットもあります。

編集部

ヒアルロン酸豊胸には、どのような特徴がありますか?

坂内先生

ヒアルロン酸豊胸は、胸にヒアルロン酸を注入してバストアップを図る方法です。注射をするだけなのでダウンタイムが短く、痛みも少ないというメリットはありますが、感触が硬い、バストに動きが出ない、しこりになるリスクが高い、持続期間が短い、最大で1カップアップするのが限界といったデメリットもあります。

編集部

ヒアルロン酸豊胸はトラブルも多いと聞きました。

坂内先生

ヒアルロン酸成分が背中側など不自然な位置に移動してしまうこともありますし、なにより一度注入したら取り出せないということが最大のリスク。すべてのヒアルロン酸が自然に溶けてなくなるわけではありません。ヒアルロン酸を溶解する薬剤もありますが、それでも完全に溶けるとも限りません。また、その後やり直しのため脂肪豊胸手術を受けようと思っても、ヒアルロン酸豊胸の後だと膨らみが悪く、修正するのが難しいという難点もあります。それらを踏まえ、2022年秋に日本美容外科学会からヒアルロン酸豊胸は豊胸目的におすすめしないという発表がありました。

編集部

脂肪豊胸とはどのような方法ですか?

坂内先生

お腹や太もも、二の腕などから自分の脂肪を吸引してバストに注入する方法です。自分の細胞を利用するのでアレルギー反応が起きず、安全性が高いのがメリットです。また触り心地や動きなども自然で、痩せなければ効果は半永久的というのも特徴。シリコンバッグは術後、マンモグラフィの検査を受けられないことが多いのですが、脂肪豊胸なら可能です。

脂肪豊胸の手術後に必要なダウンタイム期間はどれくらい? ダウンタイム中の注意点やアフターケアも知りたい

編集部

脂肪豊胸が一番自然で、メリットも多い術式という感じがします。しかし、ダウンタイムもあるのですよね。

坂内先生

はい。手術ですから、脂肪豊胸だけでなくシリコンバッグ豊胸にもダウンタイムがあります。ただし、シリコンバッグ豊胸では胸だけに症状が出ますが、脂肪豊胸の場合には脂肪を吸引したところと、脂肪を注入したところに症状が出ます。

編集部

脂肪豊胸の場合には、どのような症状が出るのですか?

坂内先生

一般に、以下のような症状が出るとされています。

・患部の腫れ
・内出血
・痛み
・脂肪を吸引した部分に皮膚の拘縮
など

編集部

どれくらいの期間、症状が続くのですか?

坂内先生

脂肪を注入した部分のダウンタイムはそれほど長くなく、胸の痛みは1週間程度でおさまります。一方、脂肪を吸引した部分の痛みはもう少し長く続き、痛みのピークは翌日で、そこから徐々に軽くなり、術後3日前後にはピーク時の7割くらい、術後7日前後にはピーク時の3~4割に痛みが治まる人が多いようです。しかし完全に痛みがなくなるには3週間程度かかる人が多いです。内出血や腫れも術後3~7日がピークで、そこから徐々に引いていきます。

編集部

ダウンタイムの間、気をつけなければならないことは?

坂内先生

術後48時間は動くのを必要最小限にし、あまり動き回らないことです。動き回ると血圧が上がって内出血がひどくなるリスクがあります。また、術後1週間は患部を圧迫して回復を促すため、ガードルを24時間着用することも大切です。

編集部

いつ頃まで運動を控えた方が良いのですか?

坂内先生

運動の程度にもよりますが、術後1か月くらいは安静にしておいた方が良いでしょう。

脂肪豊胸は手術後どれくらい持つ? 豊胸の定着率・確率を上げることはできる?

編集部

脂肪豊胸は術後、どれくらい持つのですか?

坂内先生

先述の通り、痩せることがなければ効果は半永久的に持続します。またもっと大きくしたいという場合には、何度でも繰り返すことができるので、仕上がりが不安な方も安心して手術を受けていただけると思います。

編集部

定着率を高めるために、気をつけることはありますか?

坂内先生

日常生活では喫煙とダイエットに気をつけましょう。喫煙は脂肪の定着を阻害するリスクがあります。また特に術後3か月は脂肪が定着するために大事な時期なので、この期間はダイエットをせず、胸に休息と栄養を与えましょう。

編集部

そのほか、手術の際に気をつけることはありますか?

坂内先生

脂肪の定着は個人差が大きく、また、脂肪を注入できる量には限度があり、それを超えて注入した場合には、ほとんど体に吸収されてしまいます。それだけでなく脂肪壊死やしこりの多発などデメリットも大きくなります。また、脂肪を入れすぎると内部の圧力が上がり、脂肪が傷んでしまい、逆に最終的な定着率が低下してしまうこともありますから注意しましょう。

編集部

注入量はどれぐらいが目安ですか?

坂内先生

一つの目安としてですが、片側250ccを超えて脂肪を入れることのないようにしましょう。

編集部

そのほかに大切なことはありますか?

坂内先生

脂肪を吸引するときに脂肪をなるべく傷めない、酸素に触れさせないということも大事です。脂肪豊胸は、ただ脂肪を吸引して入れればいいというものではなく、細かなところまで気をつけて手術を行わなければならないもの。ですから経験豊富で、実績のあるクリニックを選ぶようにしましょう。

編集部

最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあれば。

坂内先生

豊胸手術は誰がやっても同じ結果になるわけではありません。医師の腕によってバストの形など仕上がりが異なるだけでなく、ダウンタイムも違います。そのため、バストの仕上がりに後悔しないためには症例写真をしっかり見せてもらい、技術のある医師を選びましょう。また、定着率については、残念ながら「定着率を上げる方法」はほとんど存在しないため、「いかにして定着率を下げないか」が肝心になります。最近では、定着率を上げるために幹細胞によるさまざまなオプションを用意している美容外科もありますが、実際のところそれらは基礎研究ほど効果がでないこと多いというのが現状です。PRや広告だけを鵜呑みにするのではなく、知識と技術力の高い医師を選ぶことが、満足のいく豊胸手術につながると思います。

編集部まとめ

豊胸手術を受けたいけれどダウンタイムなど不安が多いという場合には、まずはカウンセリングを利用して、疑問に感じる点をすべて解消すること。疑問や不安に対し、真摯に対応してくれる医師を選ぶことが、満足のいく豊胸手術の第一歩です。

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