「間違いなく緩みが出た」欧州の難敵トルコに4−2でも、皆無だった“快勝感”。それこそが日本代表が成長した証し

ドイツに4−1と歴史的大勝を飾った森保ジャパンは、その3日後の9月12日、2002年のワールドカップで3位、EURO2008でベスト4の実績がある欧州の難敵トルコに4−2で勝利した。それでも、“会心の白星”とはいえない印象だった。
前半で3点をリードしながら、あっさり2失点。落ち着いたゲーム運びができなくなり、キャプテンの遠藤航を投入し、伊東純也の4点目で見送られたとはいえ、三笘薫をスタンバイさせる状況に陥ってしまったのは、反省すべき点だろう。
森保一監督が前日にスタメンの大幅入れ替えを明言していたとはいえ、ドイツ戦から左SB伊藤洋輝以外の10人を変更したのはやや驚きだった。
とりわけ、右SBの毎熊晟矢とボランチの伊藤敦樹の“国内組”は大抜擢とも言えたが、前者は1アシスト、後者は豪快なミドルシュートで代表初ゴールをマークするなど躍動。三笘薫に代わって左サイドハーフを担い、2ゴールを挙げた中村敬斗とともに評価を上げた。
【PHOTO】日本代表のトルコ戦出場17選手&監督の採点・寸評。2人が7点台の高評価。MOMは2ゴールの13番
それでも、初キャップを刻んだ毎熊は開口一番、「失点シーンのフリーキックの部分が、本当に悔しい」と吐露し、空中戦で競り負けた場面を悔やんだ。
CBでフル出場した谷口彰悟も「余裕ができすぎちゃったのかなと。不用意なロストも増えてきましたし、後ろもそれに対する準備もちょっとずつ遅れてきて、流れはあまりよくなかったので、もう一度ゲームをコントロールするところは課題」と、隙を生まれた点を認めている。
厳しい言葉を発したのは、途中出場の冨安健洋だ。「ちょっと緩みは出ましたよね、間違いなく。日本代表だけじゃなくトルコも」と指摘。「まず緩みを出さないようにやっていかないといけない」「今日の試合は4−2で、スッキリ勝ったわけではないですし、その感覚というのは僕だけじゃなく、他の選手たちも持っているのは間違いない」と課題を述べている。
「ドイツ戦の後ほどすっきりした感じはなかったですし、後味が悪いとまではいかないですけど、完勝でもなかった。自分たちが難しい状況を招いたと思うので、まず前半の最後に1点取られたところも含めて、ゲームマネジメントは、今日の試合はちょっとうまくいかなかったのかなと思います」
ドイツ戦と比較してしまう状況もあるとはいえ、欧州勢から4ゴールを奪っても、選手たちがこういった言葉が聞こえてくる。それこそが、日本代表が成長している証左だと思う。
取材・文●江國森(サッカーダイジェストWeb編集部/現地特派)