世界最高峰と称されるプレミアリーグ。球際での圧倒的な激しさも魅力の1つだ。(C)Getty Images

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 プレーレベル、人気、ビジネス面のどこを取っても世界最高峰と称されるのが、スーパースターがこぞって集まるプレミアリーグだ。フットボールの母国なだけにその歴史は長く、前身のフットボールリーグは世界最古となる1888年に創設された。

 対してJリーグは今年で30周年。日本サッカーが目ざすべきリーグの1つではあるが、そもそも両者の間には積み重ねた年月に大きな差がある。

『ABEMA』のプレミアリーグ中継で解説を務める鄭大世氏に「Jリーグとプレミアリーグの違い」を尋ねると、真っ先に飛び出した答えはやはり歴史だった。

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 まず、歴史が1番大きな差だと思います。プレミアリーグは100年以上の歴史がある。まだ30年のJリーグと比べるのは酷ですが、やっぱり歴史に紐づいた人気や、観客動員数が大きいですよね。マーケティング面では、J1でも空席が目立つ。

 僕は韓国のKリーグを見ているので、アジアの中では断トツで人気だとは思うんですけど、まだまだ経済的な部分で…。プレミアリーグの平均年俸は一昔前で3億6000万円と言われていて、今はもっと圧倒的に上がっていると思うので。そこの部分で差を感じます。

 Jリーグは海外の選手が入りづらいところもあると思います。イングランドはヨーロッパの選手たちはフリーで、外国人枠にはならないわけじゃないですか。そういった部分でリーグレベルの向上を考えた時に、制度と地政学じゃないですけど、場所の理がないのはJリーグですよね。どうしても遠いので。リーグのレベルを上げるうえで、経済面プラス、地政学的な部分でもプレミアリーグとの差は、認めざるを得ない状況ですね。

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 日本や韓国、ドイツでプレーしたほか、北朝鮮代表としてワールドカップも戦ったレジェンドはさらに、レフェリングの差を指摘。現役時代から思うところがあったようだ。

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 Jリーグで1番マイナスの部分はレフェリングだと思ったんですよね。余計なところでファウルを取るし、明らかにもらいに行ってるところでもファウルを取るし。選手を引退した今だから言えますが、レフェリングが選手の成長を勝手に邪魔している。

 倒れたらバンバン取ってくれるから、みんなすぐ簡単に倒れる。『プレータイムを長くするために、時間稼ぎのところを厳しくする』って言ってるくせに、ファウルをめっちゃ取って、『めっちゃ相反してるやん』っていつも思って。『そこ止めちゃダメでしょ』っていうのをプレーヤーとしても感じました。

 僕はドイツに行って帰ってきて…。パソコンの中で、1つのブラウザでブンデスリーガを流して、1つのブラウザでJリーグを流して一緒に見たりするんですけど、やっぱりブンデスとかは“不器用”なんですよ。それはプレミアリーグもまったく同じ話で、同じ系統。ブンデスとプレミアリーグは同じ側だと思います。

 
 人間ってやっぱり格闘技が好きなように、人と人のぶつかり合いとか、激しいプレーに血がたぎるっていうか、興奮を覚えてアドレナリンが出る。それが楽しいんですけど、Jリーグの場合はクリーンすぎて、本当にただのスポーツに見えるっていうか。本田圭佑が言ってたバスケットじゃないですけど、もう、そういう風に見えてくるんですよね。その差は否めなくて。だからスポーツと格闘技の違いっていうか、その差はすごく感じています。

 プレミアリーグの選手たちは、どうにかしてノーファウルで、ルールの中でアイデアを築いて壊すかを考えてて。だから、もちろんカードも多いし、激しいタフなプレーも多い。だけどJリーグはファウルの中で紳士的なことを重要視しますよね。そういうんじゃなくて、やっぱり戦いなので、相手をどれだけ苦しめたかの意識がJリーグは低いなとすごく感じます。プレミアリーグは真逆で、どうにかして、少しでも有利にするためにって。

 でも、Jリーグは近年ちょっと、レフェリングの意識が変わってきて、ちょっとやっぱり流すようになった。欧州基準に合わせるように。ここ5年ぐらいはそうなっているので、すごくこれは良いことだと思っています。

 だから今、日韓戦で結構、(欧州に比べてファウルを比較的簡単に取る)韓国は日本に対して諦めムードに入ってるんですよ。それの大きな要因はレフェリングだと思います。戦える選手たちが増えて、ヨーロッパでプレーする選手が増えて、今の時代は日本が日韓戦で有利な状況だと思う。そこに起因しているのはやっぱりレフェリングかなって。

取材・構成●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

 今回、取材に応じてくれた鄭大世氏が解説を務める『ABEMA』のプレミアリーグ中継の直近試合は、9月16日(土)夜11時キックオフのマンチェスター・ユナイテッド対ブライトン。『ABEMA』では同試合を無料生中継する。「三笘ってる」「ミトマーチ」などお馴染みのフレーズでX(旧Twitter)のトレンド入りする鄭大世氏の新たなパワーワードにも注目したい。

 なお、『ABEMA』では一部の注目試合にて、試合開始30分前からスタジオで解説者が試合の注目ポイントを話すコーナーを用意。試合観戦をより楽しむために活用していきたい。

「ABEMA」「プレミアリーグ2023-24シーズン マンチェスター・ユナイテッドvsブライトン」 放送概要
日時:2023年9月16日(土)夜10時30分〜(KO夜11時〜)
視聴URL:
※ABEMAでは試合キックオフ30分前から実況・解説のコーナーをお届けいたします。