「ファミコンがひとりぼっちだった僕を救ってくれた」と語るフジタ

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「ファミコンがひとりぼっちだった僕を救ってくれた」と語るフジタ。その語り口からは、ファミコンに対する深い感謝と愛情が存分に感じ取れた

1983年に誕生したファミコンの生誕40周年を祝して、ゲームに造詣の深い芸人のフジタから、当時の思い出話と合わせてファミコンが社会に与えた影響について語っていただくロングインタビュー。

ファミコンの革新的だったポイントや、いち早くAIを取り入れたソフト、音楽的・芸術的な観点から見た影響力について語っていただいた前編に続き、エンターテイメント性やテクノロジーなどへの影響を考察する後編をお届けする。
(前編はこちら)

【写真】5か所あるというフジタのゲーム倉庫の一件

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◆高橋名人は、YouTuberやプロゲーマーのはしり?

――ファミコンの影響力と言えば、エンターテイメントの分野に及ぼしたものも大きいと思います。

フジタ まあファミコン自体がエンタメですからね(笑)。当時の子供向けの大きな娯楽と言えばファミコンくらいしかなかったと思います。どれくらい人気だったかというと、ファミコンが発売されてから2年後の1985年に、ハドソンが「全国キャラバン」というゲーム大会を主催したんです。夏休みの間、毎日全国各地でゲーム大会を開いて回るという。これなんてeスポーツのはしりみたいなものでしょうね。当時の国内での盛り上がりという意味では、今のeスポーツよりはるかに上だったと思います。

――今調べたところによれば、第1回の参加者は約9万人だそうです。参加者だけでこの人数というのは相当な人気ですね。

フジタ 賞金が出るわけでもないのにそれだけの人数が集まったのは、当時の子供に人気だったコロコロコミックとのタイアップも理由でしょうけど、やっぱりファミコン自体の影響力がすごかったからだと思います。ひとつのタイトルに対して、多くの人が熱狂することで一種のムーブメントのようなものになっていた。「全国キャラバン」で言うなら『スターフォース』とか『スターソルジャー』ですよね。のちに、別メーカーさんも対抗して似たような大会を開いてはいましたが、やっぱり最も影響力が大きかったのは「全国キャラバン」でしょうね。

――フジタさんご自身は、「全国キャラバン」に参加されました?

フジタ 『スターフォース』と『スターソルジャー』、あと『ヘクター'87』の大会は出ましたね。ファミコンではないですが、『ストリートファイター供戮梁膕颪盻个董∋爐未曚疋廛譽い靴泙靴拭幣弌法いずれにせよ、みんなで集まってひとつのゲームに熱中して競い合うというのは、現代のeスポーツに通ずるものがあると思います。海外では今でも『ドンキーコング』の大会とかをやっているみたいですしね。

――大袈裟に言うとeスポーツの原点は「キャラバン」にある、と?

フジタ 大袈裟ですけど、「大規模ゲーム大会」というくくりならそう言ってもいいのでは(笑)。でも、僕のようなYouTubeで喋りながらゲーム実況をする人の原点が、キャラバンを盛り上げていた「高橋名人」にあるのは確かです。名人はもともとハドソンの営業の人だったわけですけど、喋りながらゲームをやって、その面白さを伝えるのが仕事。そういう意味ではYouTuberやプロゲーマーのはしりだと思います。

高橋名人ご自身は名人と呼ばれていても、実は「むしろゲームは下手だった」と仰っているくらいで、特別ゲームが上手かったわけではないんですよ。でも、とにかく見せ方が上手かったし、トーク量がすごい。僕もゲーム実況をするときは高橋名人を見習って、隙間を作らないようにとにかく喋るようにしています。

――トークスキルよりもトーク量ですか?

フジタ そうです、質ではなく量。高橋名人とは仕事でご一緒する機会が多いんですが、とにかくよく喋る方で。そのぶんカットされることも多いんですけど(笑)、内容よりもとにかく喋りまくるんです。間が空いてしまうと変な感じになってしまってよろしくないので、ずっとしゃべり続けるというのは意外と大事なことなんですよ。

見ているお客さんを楽しませなきゃいけない実感というのは僕もあって、僕は子供の頃、家庭の事情で孤独だったんですが、家に友だちが集まって『スーパーマリオ』なんかのプレイを喋りながら見せて楽しんでいて、僕のプレイで友だちが喜んでくれるのが本当に好きだったし、うれしかったんですよね。もしかしたらその時の経験が今に繋がっているのかもしれません。


5か所あるというフジタのゲーム倉庫の一件。ファミコンソフトだけでなく、ゲーム機本体や周辺機器が雑多に並ぶ。ゲーム好きにとっては夢のような空間だ

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◆拡張性の高さは、現代のゲームハード並み!

――テクノロジーの分野と言っていいのか分からないですが、ファミコンは周辺機器の種類も豊富ですよね。

フジタ ありましたね。「パックス パワーグローブ」とか(笑)。グローブ型のコントローラーで、センサーで認識するとか、聞いていると楽しそうな要素がいっぱい詰まっているんですが、あれはいかんせん技術が追いついていなかったですね......。アイデアは本当に素晴らしかったと思います。ただ、ああいう技術者の挑戦の積み重ねが、例えばWiiのリモコンやヌンチャク、ひいてはNintendo Switchの最新技術にも繋がっているかもしれないですよね。

WiiやWiiUでカラオケのソフトが出てヒットしますけど、実はファミコンにもカラオケのソフト(カラオケスタジオ)があって。そういうことを20年以上前から考えられる可能性がファミコンにあったっていうのがすごいことですよね。

――ディスクシステムも秀逸な周辺機器ですよね。

フジタ カセットが5〜6000円の時代で、ディスクカードだと定価が2500円くらい。書き換えだと500円で出来ちゃうという、お財布に優しいつくりでした。だからクソゲーを掴まされても安心という気持ちもあって(笑)。と思いきや、ディスクシステムで最初に出たタイトルが『ゼルダの伝説』。最初から最高のものが出来てしまったせいで、その後の開発者さんたちは本当に大変だったと思います。

あとディスクシステムは、3Dシステム用のゴーグルとかもあったんです。これもニンテンドー3DSや、VRゴーグルのはしりといえばはしりだと思いますよ。まあこちらは3D酔いをしない代わりに、ほとんど立体としては見えなかったんですけどね(笑)。

でもこうやってファミコンを用いていろんな先駆者たちがアイデアを残してくれたおかげで、技術力がついた現代にきちんとした商品として世に出るようになったということもあると思うので、とにかくすべての開発者のみなさんには感謝の一言ですね。


ディスクシステムも当然のごとく複数台所有しているフジタ。イジェクトボタンが飛び出した本体には、何かのゲームカードが入れっぱなし?

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◆国際的な価値は現在も上昇中!

――フジタさんは1000種類超あると言われるファミコンソフトをコンプリートしているのも含めて、現在ゲームソフトを約3万本以上所有されているそうですが、ファミコンソフトは海外のコレクターにも人気があると聞きます。

フジタ そうですね。生産はストップしているのに、国内に残った美品がどんどん海外のコレクターに買われて絶対数が減っているから、ずっと価値は上がりっぱなしです。特にアメリカやスペインあたりのコレクターが多いようですね。

あとはファミコン世代だった人が40代、50代になってある程度お金を使えるようになって「ソフトを全部集めてみよう」と思って集め始める方も多いんですよ。そういった状況なので、僕が集め始めた頃に比べるとコンプリートするのはなかなか大変だと思います。中には投資目的で集める人もいるので、今からソフト単体だけでも全部集めようとすると、ざっくり5〜600万くらいかかるかもしれないですね。

――先ほど仰っていた、ファミコンソフトの海外流出についてはどうお考えですか?

フジタ 「本当に好きな人に買ってもらいたい」とか、「国内で大切に保管するべきだ」とかいろんな意見もあるようですが、個人的には「買った人が正義」だと思います。知り合いのゲーム店の店主さんも「誰でもいいから買ってくれるほうがありがたい」と仰ってましたし、海外に流出してほしくないという人は、海外の人に買われる前に買い占めましょう!(笑)

――確実に確保するならそれが一番ですよね。それでは最後に、フジタさんが思う「ファミコンが後世に与えた最も大きな影響」についてお伺いできますか?

フジタ やはり「ゲーム」という文化を家庭に持ち込んだのが、ファミコンの偉大な功績の一つだと思います。それまでもいくつかゲーム機は出ていたんですが、ファミコンという低価格かつ高品質の商品の誕生で、ファミコン以前・ファミコン以後に分けられるほど時代が大きく動いたと思います。それは任天堂の優れた技術力や、世の中のニーズをいち早く取り入れたアンテナの感度の高さが為した偉業ですよね。

これまでの40年だけでなく、これからの未来も、ファミコンは様々な形で世の中に影響を与え続けると確信しています!


フジタ氏の所有するプレミアカセットの一部。箱・説明書付きの『グラディウス アルキメンデス編』や『オバケのQ太郎 ワンワンパニック』ゴールドカセットなど、世にほぼ出回らない貴重な逸品ばかり

【写真】5か所あるというフジタのゲーム倉庫の一件

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●フジタ 
グレープカンパニー所属のゲーム芸人。1977年7月21日生まれ、東京都吉祥寺出身。全所有ソフトは3万本を超える国内屈指のゲームコレクターで、独自の視点でゲームにツッコミを入れるネタのほか、日本全国でファミコンソフトを買い集めるYouTube動画も人気。近年は、認知症の父との確執に迫った『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ)も話題に。 

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取材・文/石綿 寛(樹想社) 撮影/山添 太