この記事をまとめると

■ボディやホイールの洗車をする人が多いが、エンジンルームは洗わない方がいい

■エンジンルームは濡れたウエスで拭くほか、細い棒などを使って狭い箇所を掃除する

■新車であれば先にエンジンルームにコーティングをしておくと汚れが蓄積しづらい

エンジンルームはどうやって綺麗にする?

 普段から洗車をしっかり行っている自動車ユーザーでも、なかなか手が進まないのがエンジンルームのクリーニングではないだろうか。なにしろそこにはエンジン本体はもちろん、さまざまな補器類、コードが詰め込まれ(最近はダウンサイジングエンジンでエンジンルームがスカスカなクルマもあるが)手を入れることを拒んでいるかのようだ。

 しかし、クルマ好きだからこそ、ボンネットを開けないと見えないエンジンルームまで綺麗にしたいと思うのは当然だ。クラブミーティングなどに行くと、開けっ放しのボンネットのなかは、「これでもかっ!」とピカピカなクルマばかり。自分の愛車も同じようにしたいと思えるはずだ。

 まず、愛車のボンネットを開けてみて、汚れが薄汚れ程度の場合は、数枚のウエスとエンジンルームクリーナー、ウエスを割りばしなどの先に巻いた”エンジンルーム棒”、そしてブラシ、バケツの水と軍手を用意しよう。軍手はエンジンルーム内の鋭利なパーツから手を守るためだ。

 さて、いよいよ作業開始だが、大前提として、エンジンOFFかつ、エンジンルームが冷えているときに行うこと。走行後、エンジンやエンジンルームが熱々の状態で作業するのは絶対にNG。火傷する。

 基本は水で固く絞ったウエスで手の入る部分の汚れを拭きあげていく。ホコリがメインなら、それだけでもパッと見、綺麗になる。ただ、手が入りにくい場所も少なくないはず。そこで準備した、割りばしの先に水で固く絞ったウエスを巻いたもので、隙間や裏側をゴシゴシ。ウエスが入らない凹み部分や細かいパーツは使い古しの歯ブラシなどでやさしくブラッシングすればいい(強くこするのはNG。ブラシでかき出した汚れはウエスで拭きとる)。

 ただ、ウエスで拭くだけと”エンジンルーム棒”、そしてブラシを併用するのとでは、汚れの落ち方、汚れが落ちる範囲がまるで違うはずである。

頑固な汚れには洗車グッズを使うのもアリ

 が、エンジンルーム内のクリーニングを長年サボッたクルマの場合、エンジンルーム内は油分を含むしつこい汚れが付着しているはず。

 となると、ウエスやブラシだけのクリーニングでは汚れを落としきれない。そこで登場するのが、あらゆる汚れに対応してくれるクルマ用のマルチクリーナー。これをタオルやウエスにとって(スプレーして)、汚れのひどいところを拭きあげる。マルチクリーナーは直接スプレーしてもよさそうだが、エンジンルーム内は精密機械、電子部品の集合体。下手にスプレーするとなにが起こるかわからないから、タオルやウエスにとって使うと安全だ(明らかに部品のない塗装面は直接スプレーしてもいいだろう。ただし自己責任で……)。

 もちろん、マルチクリーナーを使ったあとは、乾いたウエスで丁寧に拭き上げる。クリーナー成分が残ったままだと、その後、かえってホコリや汚れを呼ぶことになるから要注意。

 以上が、素人がエンジンルーム内をクリーニングする基本的な作業、範囲になる。このほかにも、プロも使うエンジンルームクリーナーも市販されているが、作業後、水洗いする必要があるため、どの部分、どのパーツを水から守るためにカバーすべきか、のノウハウがなければ、やめたほうがいい。

 ここで紹介した以上の、ショーカーレベルまで(新車のように)綺麗にするには、やはりプロに任せるのが安心。料金も5000円〜とそれほど高額ではない。プロならではの電子部品などに配慮した”丸洗い”を行ってくれるのだ。

 ちなみに1980〜90年代の日本の洗車ブームにかかわり、多くの洗車に関するガイド本、ビデオ、TV/ラジオ出演を行ってきた筆者は、クルマが納車されたその日に「エンジンルームを汚れにくくする」作業を行っている。そう、エンジンルームのセルフコーティングである。市販の”ふき取り不要”のコーティング剤で、エンジンルームの隅々までコートし、汚れを付着しにくくしてしまうのだ。それを新車の綺麗なうちに済ませれば作業が楽だし効率がいいのだ(クリーニング作業不要!)。

 コーティングは付属のスポンジはもちろん、ウエスや先のエンジンルームクリーニングでも使った、割りばしの先にウエスを巻いたものなどを総動員して細部まできっちりコーティングしたい。けっこう大変な作業だが、それだけで将来の汚れの付着が低減すると思えば、筆者は頑張れる。もちろん、エンジンルームを常に綺麗にしておけば、液量不足などのトラブルを発見しやすく、未然に防ぐこともできるメリットもあるのだ。