アンマンの女の子 とてもフレンドリーな娘が多い

写真拡大

―[《祝単行本化》「バツいちおじさん、世界一周花嫁探しの旅」リターンズ]―

突然、嫁さんにフラれて独身になったTVディレクター。御年、46歳。英語もロクにしゃべれない彼が選んだ道は、新たな花嫁を探す世界一周旅行だった――。当サイトにて、2015年から約4年にわたり人気連載として大いに注目を集めた「英語力ゼロのバツいちおじさんが挑む世界一周花嫁探しの旅」がこの度、単行本化される。本連載では描き切れなかった結末まで、余すことなく一冊にまとめたという。その偉業を祝し、連載第1回目からの全文再配信を決定。第1回からプレイバックする! *  *  *

2015年10月から始まった46歳のバツイチおじさんによるノンフィクション巨編「世界一周花嫁探しの旅」ですが、著者の意向によりまもなく完結を迎えようとしています。前回、砂漠のど真ん中で水も持たず遭難してしまったバツイチおじさん。果たしてどのようにしてこの窮地を抜け出したのか? そして、なぜこの旅をやめることにしたのか? 世界23か国にまたがって繰り広げた恋するズンドコ中年の自分探しの旅、今回は最終章第2話をお届けします!

【第43話 さよなら、バツイチおじさん・中篇】

砂漠のど真ん中で一人。逃げ込める建物もなければ水もない。バスもクルマも通らず、助けが来る気配がないまま2時間が経過。俺はそこに横たわり、自分の運命を受け入れようとしました。
その時です。一台の乗用車が走ってきました。初めは幻を見ているように感じました。しかし、幻ではありません。俺はなんとか起き上がり全身で身振り手振りをしました。

「ヘルプミー!ヘルプミー!」

魂で叫びました。

「頼むから俺に気づいてくれ!」

車は止まってくれました。50代くらいの白いムスリムの宗教服を着たおじさんがアラビア語で話しかけてきました。何を言ってるのか全然わかりません。英語と日本語で状況を説明すると、車に乗せてくれくれました。おじさんは運転しながらアラビア語でしゃべりかけ、1.5リットルの水を差し出してくれました。俺はお礼を言うことなく、すべての水を飲み干しました。

「うまい!!」

こんなにおいしい水は人生で初めてだ。水が禁止されてた時代のバスケの夏合宿終わりの水よりうまい!

「サンキュー」

するとおじさんは優しい目でにこりと笑いました。そして、そのままおじさんは病院まで送って行ってくれることに。診断は英語でよくわからないのですが、メニエール病の一種だとのことです。それ以来、この旅ではずっと耳鳴りと目まいに悩まされることとなってしまいました。疲れると必ず発症します。厄介な病気を抱えてしまいました。

敬虔なイスラムの国オマーン。伝統的なイスラムの衣装と信仰深いムスリムの人々に初めは少し警戒心を抱いてましたが、とっても親切なおじさんのおかげで彼らへの印象が変わりました。おじさんの優しい笑顔が今でも頭にこびりついて離れません。

「シュクラン(ありがとうございました)」

【11・12か国目 カタール・ヨルダン】

その後、オマーン国際空港・おまーんこくさいくうこう(下ネタではなく本当にあります)からカタールを経由し、ヨルダンの首都アンマンに入りました。アンマンではコーダホテルという宿に泊まりました。コーダホテルのコーダは2004年にイラクでテロリストに殺害された香田さんの名前を忘れることがないようにと付けられた名前とのことです。(気になったので取材をしましたが、実際はクリフホテルから香田さんは出発したとのこと。しかし、香田さんの名前に追悼の意を表して名前をつけたのではないかとのことです)

ここには中東を旅してきたバックパッカーが多く滞在していたため、イスラムの国々を旅する上で割と濃い情報交換ができました。そこで語り合った30代後半の日本人男性はシリア大学出身でアラビア語がペラペラのカメラマンなのですが、テロリスト(おそらくISだと思うとのこと)に捕まり、頭に銃を突きつけられ殺されかけた経験があるとのことでした。彼がシリア大学在学中、別の日本人カメラマンから通訳と現地のコーディネーターを頼まれたそうです。彼はシリア人を一人雇い、自分は通訳としてカメラマンの撮影に協力したそうです。