『騒音性難聴』を疑う初期症状・どれくらいの騒音で発症するかご存知ですか?

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騒音性難聴は文字通り騒音が原因の難聴です。かつては金属加工所・工事現場など騒音がする場所で働く人が発症しやすく職業性難聴ともいわれていました。

しかし近年では、スポーツイベント・ライブなどのレジャー騒音による難聴や、スマホなどの携帯音楽プレーヤーによる難聴も問題視されています。

スマホなどの携帯音楽プレーヤーが身近なものとなり、ヘッドホン・イヤホンなどを使って長時間・大音量で音楽などを聴く人が増えてきているためです。

騒音性難聴になってしまうと聴力の改善は難しいため予防と早期発見が重要です。本記事では、騒音性難聴の原因・症状・分類・検査方法について解説します。

スマホなどの携帯音楽プレーヤーで長時間・大音量で音楽を聞いている人や、聞こえが悪いと感じている人の今後の参考になれば幸いです。

騒音性難聴の原因や分類

騒音性難聴とはどのような病気ですか?

騒音性難聴とは長時間大きな音にさらされると発症する可能性がある難聴です。金属研磨・鋲打・圧延などの著しい騒音を発する場所で、長年業務に従事する人に発生しやすい難聴でした。
しかし職場環境の改善が進み、現在は減少傾向にあります。現在問題視されているのが、スマホなどの携帯音楽プレーヤーによる難聴です。ヘッドホンやイヤホンを使って音楽を聞く人が増えてきており、その習慣が原因となって難聴を発症する人が増えてきているのです。
大きな音は人間に対し心理的影響・生理機能への影響・聴覚への影響を与えます。ある程度の音は気にならない人もいますが、人によっては大きなストレスになるでしょう。より大きな音は生理機能にも影響し、中枢神経の興奮・心血管系への負荷の増大・エネルギー消費の増大といった現象を起こします。
さらに大きな音になると音を感じるための感覚細胞を破壊し難聴を引き起こすのです。

原因を教えてください。

騒音性難聴の原因は、おおむね 85dB以上の大きな音です。音とは波動であり人間の鼓膜を振動させます。その鼓膜から発生する振動エネルギーが内耳にある感覚細胞(有毛細胞)に伝わることで人間は音を認識しているのです。
ヘッドホンやイヤホンで長時間・大音量で音楽を聞いていると、この有毛細胞が振動エネルギーで徐々に破壊されてしまうことが原因で難聴になっていきます。こうした騒音性難聴では高音域から聞こえなくなり次第に聞こえる音域が狭くなります。
また聞こえている音域でもより大きな音でなくては聞こえなくなっていくのが特徴です。あわせて徐々に聞こえなくなるため、自分では聞こえなくなったと気付きにくく、周囲の人から指摘され驚く人もいるでしょう。

自覚症状はあるのですか?

騒音性難聴は初期の段階では自覚症状があまりありません。騒音性難聴の初期は、4,000Hz付近の比較的高い音域から聞こえなくなるという特徴があります。電子体温計などの電子音が聞こえなくなっているのですが、日常生活での会話にはあまり支障がないためで、聞こえなくなっていると自覚しにくいのです。
しかし、次第に聞こえない音域が広がり聞き間違いが多くなると、難聴かもしれないという自覚が出てきます。また難聴以外の自覚症状には、耳鳴りめまい耳の閉塞感などがあります。
日常的に大きな音にさらされている人で、こうした症状がある場合は騒音性難聴の疑いがありますので、可及的速やかに検査を受けましょう。

騒音性難聴の分類について教えてください。

騒音性難聴は「音響性聴器障害」と呼ばれ、急性の「急性音響性聴器障害」と慢性の「慢性音響性聴器障害」に分類されます。爆発音・コンサート・ライブなど短時間に大きな音に晒されることで発症する難聴が、急性音響性聴器障害です。
一方、慢性音響性聴器障害は毎日大きな音に晒され、少しずつ難聴が進行していきます。急性音響性聴器障害は症状を自覚できますが、慢性音響性聴器障害は自覚症状がありません。そのため症状が進行し、気づいたら手遅れになっていたというケースが多いです。

騒音性難聴の検査や診断

騒音性難聴の検査方法を教えてください。

騒音性難聴はオージオメーターを用いて検査します。騒音が発生する職場には、騒音健診の努力義務があり、実施時期は雇用開始時・配置転換時・定期・離職時です。
雇用開始時・配置転換時は、250・500・1,000・2,000・4,000・8,000Hzの帯域別聴力検査を行い、定期・離職時は1,000・4,000Hzでの検査を行います。検査を行うのは騒音レベル40dB以下の静かな環境が原則で、防音室(防音ボックス)が望ましいとされています。
職業病でもある騒音性難聴を早期発見し、健康被害を最小限にとどめるよう積極的に騒音健診を受診しましょう。

どのように診断されるのですか?

騒音障害防止のためのガイドラインによると騒音性難聴は、聞こえる音域と音の大きさにより以下のように診断されます。

健常者:高音域・会話領域ともに30dB未満。

要観察者(前駆期の症状が認められる):高音域30dB~50dB 、会話領域30dB未満。

要観察者(軽度の聴力低下が認められる):高音域50dB以上、会話領域30dB~40dB

要管理者(中度以上の聴力低下が認められる):高音域50dB以上、会話領域40dB以上

要観察者と診断された人は、騒音レベルが85~90dBの場所で作業するときには耳栓などの聴覚保護器具の使用が推奨されます。また要管理者と診断された人は、聴覚保護器具の使用・騒音作業時間の短縮・配置転換などが必要です。

治療する方法はありますか?

非常に残念ですが、現在の医学では騒音性難聴で低下した聴力を元に戻すことはできません。低下した聴力は元に戻せないため現状維持が目標になります。騒音性難聴は予防と早期発見が重要ですので、面倒でも必ず職場の騒音健診を受けてください。

騒音性難聴の予防と注意点

騒音性難聴を予防する方法を教えてください。

騒音性難聴を予防するためには、耳を休ませること・音量を下げることが大事です。音量を小さくし、聴く時間を短くすることで耳への負担を軽減できます。WHOが提唱している音量は、80dBです。走行中の電車内とほぼ同じくらいの音量で、ヘッドホン・イヤホンをしていても他人と会話ができます。
会話をしていて声が大きくなる場合は音量が高い可能性があるので、音量を下げるようにしましょう。安全に使用する目安として、ヘッドホン・イヤホンの使用は80dBの音量で1週間に40時間までとされています。1日あたり約5時間半です。
定期的に耳を休ませるためにも、1時間に10分は音楽などを聴かないようにしましょう。ヘッドホン・イヤホンは付けたまま音楽だけを切れば耳栓となり、周囲の音の音量を軽減できます。

普段の生活で注意することはありますか?

普段の生活では、高音域が聞こえない・耳鳴り・めまい・耳の閉塞感といった初期症状を見逃さないよう気を付けましょう。生活の中での高音域には電子体温計の音・時計のアラームなどがありますので、これらの音が聞こえるか注意してください。
休日はできるだけ騒音を避けて耳を労わることも大切です。騒音性難聴になってしまった人は、聞こえないからといって大音量で音楽を流したりテレビを見たりする前に、適切な対策を耳鼻咽喉科に相談しましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

普段からヘッドホン・イヤホンを使って大音量・長時間音楽を聴くことが多い人にとって、騒音性難聴は大きな健康問題になりうる可能性が高いです。騒音性難聴で低下してしまった聴力は元に戻せませんので、何よりも予防と早期発見が重要になります。
本人が気付かないうちに騒音性難聴になってしまっている可能性もありますので、耳鳴り・めまい・耳の閉塞感などがある場合は、速やかに耳鼻咽喉科で検査してもらいましょう。

編集部まとめ


騒音性難聴は長期に渡り大きな音にさらされると発症する可能性がある難聴で、何よりも予防と早期発見が大切です。

耳を休ませること・音量を下げることが予防に繋がります。ヘッドホン・イヤホンで音楽を聴くことが多い人は音量を下げ、適度に休憩を入れるようにしましょう。

騒音性難聴では高音域から聞こえが悪くなります。

時計のアラームや電子体温計の音が聞き取りにくいと感じたなら、騒音性難聴の疑いがありますので速やかに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

参考文献

ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)について(e-ヘルスネット)

騒音障害防止のためのガイドラインの解説