宇都宮で次世代型路面電車LRTが開業、どこがスゴい?
先日、栃木県の宇都宮市でLRTが開業しました。LRTは「次世代型路面電車」とも呼ばれるもので、今回開業した芳賀・宇都宮LRTの距離は14.6km、完全に新しく敷設した路線です。計画から30年も経ちましたが、今のところ好評なようです。そのLRTですが、どこが次世代型で、どのような魅力があるのでしょうか?8月30日放送『多田しげおの気分爽快!!〜朝からP•O•N』では、鉄道ジャーナリストの梅原淳さんがLRTについて解説しました。
LRTは何が次世代?
そもそもLRTは、普通の路面電車と何が異なるのでしょうか。
梅原さん「路面電車の乗りやすさや手軽さ、建設費の安さなどの長所はそのまま残して、スピードを少し速くしたり、専用の線路を走って自動車との競合を避けるとか、バリアフリーに特化した車両に置き換えて。
本当に言葉どおりで、次世代の路面電車ですね」
今までの路面電車は平均10km程度ですが、LRTはその2、3倍ほど速いそうですので、都市の地下鉄ぐらいの速さを目指しているようです。
また、電車が通る際には信号が青になったり、立体交差を作ったりと、走りやすい環境が整っているそうです。
そして「バリアフリー」とは、最近の路面電車でも採用されていますが、床面が低くなっているために乗り降りがしやすくなっている仕様です。
LRTは次世代型ということですが、機能以外にも単純に見た目がカッコいいということもあります。
海外ではすでに普及
一方で、海外でLRTはどれぐらい普及しているのでしょうか?
梅原さん「だいたい1970年代の北米やヨーロッパで路面電車を改良しましょうということで。
路面電車はやっぱり信号待ちがあるから、大都市では地下を通ろうとか、立体高架で高架橋を通ろうとか考えて。
郊外は道路を一緒に走ってるとか、そのような路面電車がアメリカやカナダ、ドイツで誕生しました」
確かに旅番組などで外国の街を映す時、路面電車が走っている光景を見かけます。
梅原さん「床面が低い電車というのは、フランスのストラスブールというところで初めて走ったといわれていて、市場の中をずっと走っているので、ビックリするんですよね」
LRTのメリット
それだけ浸透しているということは、LRTのメリットは大きいようです。
梅原さん「何といっても路面電車はどこを走っているのかわかりやすいので、観光に来られた方でも使いやすいですし、バスと比べて線路が見えているのでどこに行くのかもわかりやすい。
特に低い床の電車はカッコいいですから、街の中を走っていてもシンボル的な存在になったり、美観にも優れていて、排気ガスも出さない。
また、例えば地下鉄や新交通システム、モノレールを作ろうということに比べて、建設費が安いんですね。
地下鉄ですと1km線路を作って100億円以上というところが、その半分以下ぐらいで作ることができるというメリットがあります」
LRTのデメリット
逆にデメリットはあるのでしょうか?
梅原さん「LRTの特徴なんですけど、街の中を走っているので、地下鉄と比べてどうしてもちょっと遅いのが難点ですね。
あと、車両が大型のバスぐらいの大きさしかありませんから、1つの車両にせいぜい100人ぐらいしか乗れませんから、お客さんの多いところでは難しいですし、連接型のバスが専用の車線で走っているのとあんまり変わらなかったり。
バスのほうが建設費は安いので、どちらがいいかなというふうになって、なかなか手を挙げる所が出てこなかったということですね」
では今後、日本でLRTは増えていくのでしょうか?
梅原さん「私が考えますには、宇都宮のように新しく整備されるところはもちろん出てくるとは思うんですけれども、それよりも今走っている路面電車、例えば愛知県でしたら豊橋鉄道がLRTに改良されたり、各地の路面電車が改良される可能性はありますね。
あと、自動車も自動運転や無人運転が実験されていますけど、鉄道のほうがまだ決められた所を走るので実用化しやすいという面がありますね」
人口減少によって、LRTの需要は増えていくかもしれませんね。
最後に梅原さんは「鉄道の長所を生かしながら発展していくといいなあと思いますね」とまとめました。
(岡本)
多田しげおの気分爽快!!〜朝からP・O・N
2023年08月30日07時21分〜抜粋(Radikoタイムフリー)