AFX通信によると、米政府の情報機関は、テロとの闘いに関して16の関連機関の横断的な統一見解を「国家情報評価(NIE)」としてまとめ、「イラクでの戦争は、イスラム急進主義の台頭を招き、世界中でテロの脅威を増加させた」とイラク戦争を総括していた。24日付けのニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストの両紙が、機密情報扱いの文書に近い筋の話として報じたもので、2003年3月のイラク戦争後以来、最も包括的な評価報告書とみられている。

  NIEの「グローバル・テロリズムの潮流:米国との関連性」と題する報告書のなかでは、イラクでの宗派・部族間対立がイスラム過激派への人材供給源となっていると指摘、「2001年9月11日の米同時多発テロ以後、米国は国際テロ組織アル・カイダに壊滅的な打撃を与えたが、 根本的なイスラム過激派ネットワークは逆に拡散する結果となった」とテロが増幅したと結論付けている。

  中間選挙を6週間後に控え与党・共和党にとっては、また新たな悪材料が表面化した格好となっている。イラク戦争の是非をめぐり劣勢に立たされているブッシュ大統領は中間選挙に向けた演説のなかで、「イラクはテロとの戦いの最前線であり、そこからの撤兵を求めるような中道左派の野党に、わが国の治安を任せられはしない」と、イラク戦争の正当性を堅持するとともに、同政権が治安の番人になっていることを改めて強調している。

  ただ、情報機関からリークされた機密情報に関して米民主党指導部からは、ブッシュ政権の失政の明白な証拠だとして素早い反応が示されている。エドワード・ケネディ上院議員は同日、「この文書は、イラク戦争についてブッシュ大統領が進めてきた偽りの議論にとどめをさすものだ」との声明のなかで厳しく批判。

  これに対して、ホワイトハウスでは機密情報についてコメントしない慣例を示したうえで、報道については「完全な文書に基づくものではない」と述べるにとどめた。  一方、共和党では選挙を目前に独自の路線が打ち出されるなど足並みに乱れがみられているなか21日には、対テロ関連法案でマケイン上院議員らへ配慮する形でブッシュ政権側が妥協案を示し、共和党内の亀裂を回避した。次々と吹き荒れる共和党への逆風について、今回の機密情報も含めて、党指導部は問題の火消しに躍起だ。ジョン・マケイン上院議員はCBSテレビの報道番組“フェイス・ザ・ネイション”のインタビューのなかで、「イラクでなければアフガニスタンで、アフガニスタンでなければまた別のどこかで、テロ集団は勢力拡大を図るだろう」との見方を示す。また、上院院内総務のビル・フロスト議員も、有権者は情報機関の報告書によって動かされることはないとし、共和党の治安政策を評価するだろうと述べていた。 【了】