神はテロップに宿る16話|バカリズム

今やテレビに欠かせない文字テロップ。出演者もテロップに載るパワーワードを繰り出すトーク力が求められています。そこで人気番組の中から、テレビっ子編集者の綿貫大介が気になる有名人のテロップを収集。これを見れば、今のテレビが見えてくる!?
バカリズムが描いた贅沢すぎる“無駄”時間。
『R-1』の辛口審査員としての存在感を思えば、ピン芸人の頂点といっていいのではないだろうか。今や出役としても裏方としても、テレビに欠かせない存在になっているバカリズム。レギュラー番組がたくさんあるのに、ネタ作りもして脚本も書いていて……本当にいつ寝ているんだろう。ドラマ『ブラッシュアップライフ』(日テレ系)のヒットもまだ記憶に新しいが、『アンタウォッチマン!』(テレ朝系)では、脚本家として制作秘話を振り返っていた。人生を何度もやり直すこのドラマ。特徴は「いつまでこの3人はしゃべっているんだ?」と思うほど、1つのシチュエーションに対するセリフ量が非常に多いことだった。しかも『渡る世間は鬼ばかり』のような独特な言い回しではない。あくまで役者本人が素でしゃべっているかのような自然さで、まさに私たちが普段しているとりとめのない会話そのものだった。そこにはバカリズムの若手時代の思い出が反映されているそう。思い返せば友達の家で朝までダラダラする時間が一番楽しかった。何も起こらないけど、ずっとみんなで笑っていた時間の尊さが、ドラマ内の女性同士のおしゃべりという形で再現されていたのだ。
可処分時間の奪い合いが盛んな現代では、SNSを開けばすぐに時間は溶けてしまう。誰かと無駄な時間を過ごすなんて、今となってはむしろ贅沢すぎることなのかもしれない。これからは気持ちに余裕が持てないときこそ『ブラッシュアップライフ』を見返して、改めて無駄時間の素晴らしさを再確認していきたい。もちろん、倍速なしで。
綿貫大介
わたぬき・だいすけ/編集者でテレビっ子。夏の月9が久々に王道の恋愛群像劇と聞いてびっくり。はたしてリアリティショーに勝てるのか!?
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