頭痛と片頭痛(偏頭痛)の違いを脳神経外科専門医が徹底解説

写真拡大 (全4枚)

「頭痛」は疾患名ではなく症状の名前なので、様々な発症メカニズムがあると言われています。今回は、頭痛の中でも比較的よく聞く「片頭痛(偏頭痛)」をはじめとする、頭痛の種類と対処法について、「さくら脳神経クリニック」の小池先生に解説していただきました。

片頭痛(偏頭痛)の特徴や原因を医師が解説 こめかみ辺りがズキズキ痛む頭痛は片頭痛?

編集部

まず、片頭痛について教えてください。

小池先生

片頭痛は、日本国内において非常に有病率の高い疾患で、片頭痛に悩んでいる人は日本人の5~10%にも及ぶと言われています。とくに女性ホルモンと関係があるため、若年女性に多いとされています。片頭痛は日常生活にも影響を及ぼし、症状が強い場合は仕事を休まざるを得ない人なども多くいらっしゃいます。

編集部

どんな痛みが片頭痛なのですか? 頭の片側が痛むのですか?

小池先生

名前から片側のイメージが強いですが、両側の場合もあります。ほかにも、「ズキンズキンと脈を打つような痛み」「ストレスや気圧の変化で悪化する」「1時間~数日続く」「匂いに過敏になる」「吐き気を伴う」などの特徴があります。また、片頭痛の前兆として「ギザギザと眩しい光が見える」「気持ちが悪くなる」などを訴える人も多い一方で、前兆のない頭痛を訴える人も約半数はいらっしゃいます。

編集部

「偏頭痛」とは違うのですか?

小池先生

偏頭痛と片頭痛は、病態的には同じものを指していますが、医学用語としては「片頭痛」です。

片頭痛(偏頭痛)以外の頭痛の種類 「緊張型頭痛」「群発頭痛」などの原因と主な症状

編集部

では、片頭痛は普通の頭痛とは違うのですか?

小池先生

片頭痛は頭痛の一部ですね。頭痛にはいくつか種類があり、そのうちの1つが片頭痛ということです。

編集部

頭痛には、ほかにも種類があるのですか?

小池先生

はい、頭痛には様々な種類があります。まず、器質的疾患(実際に脳そのものに問題が起きて発症する病気)を「一次性頭痛」と言います。一方で、脳に問題がない状態で頭痛が起こるものが「二次性頭痛」となり、二日酔いや熱中症などの体調不良を起因とするもの以外に、「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」などがあります。

編集部

もう少し詳しく知りたいです。まずは緊張型頭痛からお願いします。

小池先生

緊張型頭痛も片頭痛と同様、多くの人にみられる頭痛です。肩・首のこり、筋肉の緊張、精神的ストレスなどが原因で、首の後ろからこめかみにかけてギュッと圧迫されるような痛みが起こります。片頭痛とは異なり、吐き気などは伴わないことが多い傾向にあります。以前は、デスクワークや精神的なストレスの多い社会人に多いと言われていましたが、最近ではスマートフォンやパソコンの普及などにより、小学生でも緊張型頭痛となるケースが増えています。

編集部

では、群発頭痛とは?

小池先生

群発頭痛は20~40代の男性に比較的多くみられます。頭痛に加え、目の周りや目の奥に強烈な痛みが症状として表れるのが群発頭痛の特徴です。また、目の充血や流涙、目の周りの腫れ、鼻汁・鼻詰まりなどがみられることもあります。痛みが非常に強いため、日常生活への影響も大きい頭痛です。数カ月~数年ごとに頭痛が出現し、一度症状が出ると15分~3時間ほど強い頭痛が1~2カ月間続きます。症状が強い場合には酸素療法や入院が必要となる場合もあります。

片頭痛緊張型頭痛群発頭痛

女性に多い筋肉の緊張や精神的ストレスなどが原因で発症する20~40代の男性に多い

脈を打つような痛み圧迫されるような痛み頭痛・目の周りに強烈な痛み

1時間~数日続く首の後ろ~こめかみの痛み痛みのある期間と出ない期間を繰り返す

吐き気を伴う吐き気は伴わない鼻汁・鼻詰まりを伴うこともある

頭痛・片頭痛(偏頭痛)の症状が出たときの対処法・日常生活でできる対策と治療法を医師が紹介

編集部

なぜ、片頭痛が起こるのですか?

小池先生

片頭痛のメカニズムは、はっきりとはわかっていません。脳そのものに原因があるという「中枢神経要因説」や、三叉神経やそれが取り巻く血管などが原因という「三叉神経要因説」などがあります。加えて、先述した「女性ホルモンや気圧などと関係する」とも言われています。

編集部

片頭痛の対処法について教えてください。

小池先生

まずは安静にして、ストレスや周りの環境などからの影響を受けない状況に身を置きましょう。対処法は人それぞれですが、例えば「暗い部屋でゆっくりする」「コーヒーなどのカフェインの入っている飲み物を飲む」「市販の頭痛薬を飲む」などで症状を緩和させている人も多いようです。また、病院で片頭痛の診断がついていれば、片頭痛用の痛み止めを使用している人もいらっしゃいます。

編集部

どんな薬が使えるのですか?

小池先生

2021年までは、セロトニン神経系に作用する「トリプタン製剤」や、予防を目的として「バルプロ酸ナトリウム」「カルシウム拮抗薬」「ベータ遮断薬」などが用いられていました。そして2021年より、新たに「ヒト化抗CGRPモノクローナル製剤」という注射薬で、片頭痛の発作の頻度を抑える治療も選択できるようになりました。さらに2022年6月からは、頭痛発作が強く出てしまった時の追加の痛み止めとして「ラスミジタン」が発売されました。いずれの薬も、医療機関でのみ処方されます。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

小池先生

頭痛、とくに片頭痛の治療において、市販の痛み止めを使って対処している人は多数いらっしゃいますが、効果が不十分で薬の過剰内服になっていることも多く見受けられます。市販薬の飲み過ぎにより「薬物乱用性頭痛」になると、治療に難渋することもあります。病院での処方薬を使用することで生活の質を改善したり、痛み止めの乱用を予防したりすることもできます。自分の頭痛を片頭痛と決めつけず、しっかりと診断をしてもらい、治療方針を理解・納得したうえで進めていくことが大事です。頭痛で困っている人は、医療機関への相談をまずはご検討ください。相談先を決める際は、「頭痛に対応している」とホームページなどで明記している脳神経外科や脳神経内科であれば、より詳細に診断してくれるのでおすすめです。

編集部まとめ

今回は、片頭痛をはじめとする頭痛の種類と対処法について解説していただきました。頭痛と一口に言ってもいくつか種類があり、メカニズムがはっきりとわかっていないものも多いようです。だからこそ、頭痛に対応している専門医の意見を聞きながら、自分にあった対処法や治療法を見つけていくのが大事なのですね。最近は治療の選択肢も増えているので、頭痛で困っていたら専門医に相談してみてくださいね。

近くの脳神経外科を探す