ジェンダーレスに配慮した「だれでもトイレ」設置が呼んだ波紋
ジェンダーレスに配慮した「だれでもトイレ」の設置が広がっています。性別に関わらず使用できるトイレのあり方がいま問われていますが、一方で「女性専用トイレが少なくなった」という声を受け、改修工事を行うケースも出てきているそうです。8月5日放送の『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、大石邦彦アナウンサーが「だれでもトイレ」について解説します。
性的マイノリティーは”10人に1人”
”多様性の時代”と呼ばれて久しいですが、近年は、多様な”性”のあり方も認められるようになってきています。
大石「100人いれば、100通りの性があるわけです」
生物学的な性と、性的指向や心の性が違うことがあります。
例えば「身体は男性、心は女性」、その逆もあります。
その他、表現・仕草・服装などの組み合わせでできあがっていると大石。
「LGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クエスチョニング=性的指向が決まっていない人)」という言葉も最近よく耳にします。
性的マイノリティはいまや10人にひとりが当てはまると言われており、もはや「マイノリティ(少数)」ではなくなっているようです。
大石「ずいぶんと多いわけですよね」
過剰対応してしまったケースも
現状、日本で主なトイレの種類は、男性用トイレ・女性用トイレ・多機能トイレの3種類。
最近のアンケート結果によると、「職場のトイレ環境にストレスを感じている」というトランスジェンダーの方は「7割近く」と圧倒的に高かったそうです。
大石「だから、『だれでもトイレ』がいいんだと」
トランスジェンダーの方が利用したいのは「だれでもトイレ」。
つまり、誰でも使える広めのトイレ。
いわゆる「多機能トイレ」もこれに当たりますが、障害者の方の利用も想定されているため、使用するのに気まずい瞬間があるとの意見もあります。
「だれでもトイレ」の設置が広がる中、今年4月、東京・新宿にできた東急の複合施設「歌舞伎町タワー」2階にできたトイレが波紋を広げているそうです。
問題があるとされた構成は、男性2室、女性2室、ジェンダーレスの「だれでもトイレ」8室というもの。
大石「新宿歌舞伎町の場所柄もあるのかな、と思ったんですけども」
SNSなどで「女性トイレが少なくなった」という批判があり、今後「歌舞伎町タワー」では改修工事が行われるそうです。
大石「多様性を意識したんでしょうけども…多様な性への配慮が実は欠けていたともみえますよね」
トランスジェンダーを優先しすぎてしまったケースといえそうです。
大石「そのへんはバランスがあるのかな、っていうふうに思いますね」
最高裁が示した判断は?
また経済産業省のトイレ使用を巡り、最高裁で大切な裁判がありました。
ある50代のトランスジェンダーの職員が使用できるトイレを制限されていたため、使いづらさから訴えを起こしたのです。
最高裁が下した判断は、「職員が自由にトイレを使うことについて、トラブルが生じる想定は難しい。職員に不利益を甘受させるだけの具体的な事情は見当たらない」との結論でした。
これにより、経産省の対応は違法とみなされました。
大石「あくまでも、個別の事例に対する判断だと注文をつけています」
また、最高裁は「これからは特定のトイレではなく、不特定多数の公衆トイレのあり方まで改めて議論する必要がある」と注文をつけているようです。
大石「とっても大事な判断だと思ってます」
トイレは大切な職場環境のひとつ。性的マイノリティーの方が働きやすい環境整備を後押ししてくれる裁判結果になった、と理解を示す大石でした。
(nachtm)
大石邦彦のNOW ON SHARE!
2023年08月05日11時44分〜抜粋(Radikoタイムフリー)