XFN-ASIAによると、18日午前のロンドン外為市場で、円は対ドルで118円台を付け、円安が加速した。これは、16日に閉幕したG7(先進7カ国財務相・中銀行総裁会議)で、最近の円安について、議論されなかったことから、市場参加者の間で、円売りが加速したもの。また、円は対ユーロでも円安が進んだ。午前10時34分(日本時間同日午後6時34分)時点で、ドル・円は、シンガポール市場の終値1ドル=117.97円からロンドン市場では118.23円と118円台に円安が進み、また、対ユーロでも1ユーロ=149.44円から149.64円に円安が進んだ。

  G7で採択された共同声明では、新興市場国、特に、経常黒字が急増している中国の人民元相場の一段の柔軟化を要求するだけにとどまり、最近の円安の進行についての言及が避けられた。ニューヨーク銀行のアナリスト、シモン・デリック氏は「谷垣蔵相がG7議長国だったので、日本としては、何としてでも円が共同声明に盛り込まれないようにするために全力を出したことは容易に推測できるところだ」と述べている。

  ただ、谷垣蔵相は、記者団に対し、「G7会合では円とユーロについての特段の議論はなかった」と述べているが、ECB(欧州中央銀行)のトリシェ総裁は「我々は日本がゼロ金利から脱したことや経済が広範囲で回復してきていることから、円はこうした状況の変化を反映して行くことになるという認識で一致した」と述べている。

  最近の円安は、日本の通貨当局が円安に誘導しているというよりも、日本の投資家が、金利の高い外国の資産への投資を強めている結果と生じていると見られている。BNPパリバ銀行のアナリストは、ユーロが対円で、1ユーロ=149.85円の当面の抵抗線を突破すれば、ユーロは次の抵抗線と見られる150.75円に向かって、一段の円安に向かう可能性があると予想している。また、18日には、米国の第2四半期経常収支と7月の対米投資の統計が発表されるが、対米資本投資で大幅な資本流入が示されれば、経常赤字の拡大によるドル売り材料を相殺、むしろ、ドルを押し上げる可能性があると見られている。【了】

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